報道発表資料

この記事を印刷
1997年12月16日

金採掘に起因する水銀の健康影響に関する国際ワークショップについて

国立水俣病総合研究センターは、11月26、27日の両日、フィリピン共和国保健省との共催により、同国の首都マニラにおいて、日本、フィリピン共和国、カナダ及びインドネシア共和国の研究者及び行政官(153名)の参加を得て、「金採掘に起因する水銀の健康影響に関する国際ワークショップ」を開催した。

開催の経緯

 開発途上国を中心に金採掘に伴う水銀汚染が地域住民の健康に及ぼす影響が懸念されていることから、国立水俣病総合研究センターでは、国際環境研究協力の一環として、各国の汚染実態や健康影響を明らかにし、健康被害の未然防止に資するよう、1994年には「アマゾン川流域における水銀による健康に関する国際ワークショップ(ブラジル連邦共和国リオ・デ・ジャネイロ市)」を、1996年には「各国の金精錬に伴う水銀の運命と環境対策に関する国際ワークショップ(インドネシア共和国タンゲラ市)」を開催してきた。
 今回は、11月26、27日の2日間にわたり、フィリピン共和国保健省との共催により、「金採掘に起因する水銀の環境汚染と健康に及ぼす影響」をテーマに、日本(国立水俣病総合研究センター所長滝澤行雄ほか9名)、フィリピン共和国、カナダ及びインドネシア共和国の4ヶ国の研究者及び行政官(153名)の参加を得て開催した。

ワークショップの内容・成果

 ワークショップでは当センターより、水銀による健康影響など病理学的、臨床医学的観点からの研究成果を発表するとともに、モニタリング手法、患者の認定制度等について報告した。
フィリピン側からは金鉱山及び水銀鉱山の近郊・周辺の住民の調査及び環境中の汚染状況についての報告がなされた。
 その他の参加国からは環境中の一般水域における水銀汚染の研究結果、現地住民(イヌイット(カナダ))の生活の現状と汚染問題が報告された。
 ワークショップでは、これらの報告をもとに、今後の調査研究や水銀汚染対策について、日本の経験を踏まえ、積極的な討議が行われた。

 なお、11月28日には当センターの研究者4名がフィリピン共和国保健省と共同で、金採掘に伴う水銀汚染が懸念されているミンダナオ島ダバオ地区を視察した。

今後の予定

 当センターでは、本ワークショップの成果を踏まえ、フィリピンとの共同研究、技術協力等を進めていく予定である。

連絡先
環境庁国立水俣病総合環境センター
(Tel 0966-63-3111)
国際・総合研究部
 部       長 :赤木 洋勝
 国際・情報室長  :鈴  雄藏