環境庁は、カゲロウ、サワガニ等の水生生物を調査することにより水質を判定する
水生生物調査の結果を取りまとめた。本調査は昭和59年度より一般市民の自主的な参
加により行われ、平成8年度は過去最高の約5万2千人が参加した。本調査では、調
査した地点(全国で 4,802地点)を出現生物により4区分の水質階級(きれいな水、
少しよごれた水、きたない水、大変きたない水)に分類している。平成8年度は、き
れいな水と判定された地点が最も多く、全体の約67%を占めた。また、平成7年度と
比較した結果、悪化と判定された地点は改善と判定された地点よりも僅かに多かっ
た。
1.主 旨
カゲロウ、サワガニ等河川に生息する水生生物は、水質汚濁等の影響を受けるところから、そこに生息する水生生物を用いてその水域の水質を判定することができる。このよう な水質調査は、一般の人にも分かりやすいものである上、高価な器具や化学分析のような特別の技術を要しないことから、誰でも参加できるという利点がある。また、調査を通じ て身近な自然に接し、水質の状況を知ることにより環境問題への関心を高めるよい機会と なる。
このため、環境庁では、水生生物による水質判定のマニュアルである「水生生物による水質の調査法・川の生き物から水質を調べよう」を作成し、全国の都道府県を通じて市民 の参加を呼びかけ、昭和59年度から全国の河川において「水生生物調査」を実施している 。
水生生物調査は、小・中・高校生を始め、婦人会等一般市民の自主的な参加により行われており、参加者は年々増加し、平成8年度においては過去最高の約5万2千人となり、 調査開始からの延べ人数は約35万1千人となった。
2.調査の概要
(1) |
調査方法 河川に生息する水生生物のうち、{1}全国各地に広く分布し、{2}分類が容易で、{3}水質に係る指標性が高い、16種を指標生物としている(参考参照)。 調査は、川辺で水生生物を採集して、指標生物に関して同定・分類を行い、地点毎に、 [1](きれいな水)、[2](少しよごれた水)、[3](きたない水)、[4](大変きたない水 )、の4区分に階級付けを行っている。 |
(2) |
参加者等 {1}参加者数等の実績
|
平成8年度 |
平成7年度 |
参加者数 |
52,082 人 |
47,113 人 |
参加団体数 |
1,953団体 |
1,799団体 |
調査地点数 |
4,802地点 |
4,724地点 |
調査河川数 |
1,519河川 |
1,604河川 |
{2}参加者の内訳・参加者数の推移
{3}参加者数の上位5都道府県
順位 |
平成8年度 |
平成7年度 |
1
|
岩 手 |
岩 手 |
2 |
福 島 |
愛 知 |
3 |
岐 阜 |
岐 阜 |
4 |
愛 知 |
福 島 |
5 |
三 重 |
兵 庫 |
{4}参加団体の内訳・参加団体数の推移
|
3.調査結果の概要
(1) |
平成8年度における水質状況(ブロック別)
{1}地点数
(単位:地点数)
|
分類 |
全国 |
北海道 東 北 |
関東 |
北陸 |
中部 |
近畿 |
中国 |
四国 |
九州 |
[1] |
3,162 |
1,181 |
171 |
114 |
462 |
364 |
284 |
212 |
376 |
[1]~[2] |
336 |
73 |
48 |
22 |
21 |
46 |
32 |
48 |
46 |
[2] |
199 |
33 |
21 |
11 |
20 |
39 |
34 |
20 |
21 |
[2]~[3] |
34 |
2 |
4 |
1 |
2 |
5 |
1 |
4 |
5 |
[3] |
600 |
134 |
95 |
18 |
117 |
125 |
44 |
35 |
32 |
[3]~[4] |
81 |
21 |
22 |
1 |
6 |
8 |
6 |
4 |
13 |
[4] |
211 |
25 |
94 |
4 |
32 |
24 |
10 |
12 |
10 |
その他 |
111 |
34 |
14 |
5 |
21 |
13 |
8 |
8 |
8 |
合計 |
4,734 |
1,513 |
469 |
176 |
681 |
624 |
417 |
343 |
511 |
|
注)地点数は、全4,802地点のうち、指標生物が出現し水質判定がされた地点の数である。
{2}構成比
(単位:%)
|
分類 |
全国 |
北海道 東 北 |
関東 |
北陸 |
中部 |
近畿 |
中国 |
四国 |
九州 |
[1] |
66.8 |
78.1 |
36.5 |
64.8 |
67.8 |
58.3 |
67.6 |
61.8 |
73.6 |
[1]~[2] |
7.1 |
4.8 |
10.2 |
12.5 |
3.1 |
7.4 |
7.7 |
14.0 |
9.0 |
[2] |
4.2 |
2.2 |
4.5 |
6.2 |
2.9 |
6.3 |
8.2 |
5.8 |
4.1 |
[2]~[3] |
0.7 |
0.8 |
0.8 |
0.6 |
0.3 |
0.8 |
0.2 |
1.2 |
1.0 |
[3] |
12.7 |
8.9 |
20.3 |
10.2 |
17.2 |
20.0 |
10.6 |
10.2 |
6.2 |
[3]~[4] |
1.7 |
1.4 |
4.7 |
0.6 |
0.9 |
1.3 |
1.4 |
1.2 |
2.5 |
[4] |
4.5 |
1.6 |
20.0 |
2.3 |
4.7 |
3.8 |
2.4 |
3.5 |
2.0 |
その他 |
2.3 |
2.2 |
3.0 |
2.8 |
3.1 |
2.1 |
1.9 |
2.3 |
1.6 |
合計 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
|
|
(2) |
水質の経年変化
{1} |
平成7年度との比較(前年度からの変化) 平成7年度と8年度にともに調査が行われた2,379地点についての変化をみると、次のとおりである。 |
{2} |
平成4年度との比較(5年間の変化) 平成4年から継続して調査が行われた516地点についての変化は次のとおりである。 |
注) |
本調査は身近な河川における簡易な水質調査であり、調査地点の選定は参加団体の自主的判断に任せている。従って、今回の調査結果から全国の河川の水質やその変化を正 確に把握するには無理があるが、平成7年度と比較した場合も、平成4年度と比較した場合もほぼ横ばいの状況となっている。 |
|
添付資料
- 連絡先
- 環境庁水質保全局水質管理課
課 長 :一方井 誠治 内線6630
補 佐 :本間 新哉 内線6633
担 当 :仲道 貴士 内線6633