報道発表資料

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1997年12月12日

第136回電源開発調整審議会について

第136回電源開発調整審議会は、12月15日午後2時より開催され、富津火力発電所及び稲核発電所の電源開発地点(下表参照)を含む平成9年度電源開発基本計画が審議される。当庁は、富津火力発電所について環境保全の観点から意見を述べることとしている。
1.地 点 

(1)【電源開発地点一覧】

発電所名 開発予定地 事 業 者 最大出力(kw) 備考
富津火力発電所3・4号系列 千葉県 東京電力(株) 3,040,000  火力
稲核発電所 新潟県 電源開発(株) 510  水力
合        計    (2地点) 3,040,510   
2.第136回電源開発調整審議会等における当庁発言の内容
【富津火力発電所】
<審議会意見>

 本発電所が計画されている埋立地は、その周辺地域の二酸化窒素濃度が環境基準の上限値に近い状況で推移していることや、埋立に係る一連の手続に際して、環境影響等の観点から、当初の400万kwの計画を200万kwの計画に変更した経緯に鑑み、今回の増設に当たっては、現行の200万kwの発電施設に比較して、極力環境負荷の増大を抑制する必要がある。
 ついては、通商産業省におかれては、本発電所の周辺環境及びこれまでの立地の経緯を踏まえ、環境保全対策に万全を期するよう事業者を指導されたい。

<幹事会意見>
1.  立地予定地の周辺地域においては、二酸化窒素濃度が環境基準の上限値に近く、また、大気影響が予測された範囲においては、二酸化窒素に係る環境基準の達成状況が芳しくなく、固定発生源に係る窒素酸化物総量規制地域及び自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法に基づく特定地域が存在することから、大気環境への負荷低減対策の実施が不可欠である。このため、通商産業省におかれては、下記につき事業者を適切に指導されたい。
(1)  環境負荷の少ない燃焼技術・排出ガス処理技術について、最新の技術の開発・普及状況を踏まえ、積極的な導入に努めるとともに、維持管理の徹底等による大気汚染物質の一層の排出抑制に努力すること。
(2)  既設1・2号系列等においても排出抑制対策を講じることにより、発電所全体からの窒素酸化物排出量を現状以下とすること。 
 
2.  東京湾は、水質汚濁に係る環境基準の達成状況が芳しくなく、富栄養化した海域であるとともに、総量規制の実施等の対策に努めているところであり、当該海域の温排水の影響についても慎重な配慮が望まれる海域であると認識している。
 本計画は、出力当たりの温排水排熱量は抑制されているものの、温排水の拡散範囲が拡大することから、水質及び周辺の海生生物への影響が懸念される。
 事業者においては、「工事の進捗状況及び発電所の運転開始後の状況に応じ、環境保全上特に配慮する必要がある事項が生じた場合には、適宜環境監視計画を策定してこれを実施するとともに、所要の対策を講じる」こととしているが、通商産業省におかれては、これらが適切に実施されるよう事業者を指導されたい。
 また、当庁としては、温排水による水質及び海生生物への影響を極力抑制することが望ましいと考えているので、事業者において、引き続き発電施設の熱効率の向上や排熱エネルギーのより一層の有効利用について、幅広い利用の検討が進められるよう、通商産業省におかれては、事業者を指導されたい。
○稲核発電所については意見なし
<参考>
電源開発調整審議会について
[設置根拠]電源開発促進法(昭和27年7月31日法律第283号)
 (抜粋)第8条(設置)総理府に、電源開発調整審議会(以下「審議会」という。)を置く。
     第10条(組織)審議会は、会長及び委員16人をもって組織する。
      2 会長は、内閣総理大臣をもって充てる。
      3 委員は、左に掲げる者をもって充てる。
       一~六 (略)
       七 環境庁長官
       八~九 (略)
連絡先
環境庁企画調整局環境影響評価課環境影響審査室
室  長 :小林正明(内6231)
 審査官  :和田篤也(内6288)
 担  当 :佐藤健司(内6235)