報道発表資料

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1997年12月08日

気候変動枠組条約第3回締約国会議の概要(12月8日(月)午前分 速報版)

 気候変動枠組条約第3回締約国会議では、8日、橋本総理の演説を皮切りに、閣僚レベル会合が開始された。閣僚レベル会合は約90名の大臣級以上の出席者があったが、主要国等のステートメントの概要は以下のとおり。

橋本総理

  • 先進国が、意味があり、現実的で公平な法的拘束力のある削減目標へ合意することが必要。
  • 途上国を含めた全締約国が対策の強化に進んで取り組んでいくことが必要。
  • 我が国としては、総合的、計画的に実効ある対策を講じていく。
     具体的には次の3点を中心とする。
    1. エネルギー効率改善のための制度の整備を行う。
    2. 革新的技術開発を国際協力により加速度的に推進。
    3. 人材育成、最優遇条件での円借款の供与、技術・経験の移転を三本柱とする 「京都イニシアティブ」に基づく支援等を実施する。

コスタリカ大統領

  • 本会議では3つの要素が重要である。
    1. 先進国の大幅削減。現在の数値は低すぎる。
    2. 資金供与制度の合意。先進国と途上国の連携強化。開発と環境の統合が図れる。
    3. 途上国の最善の努力が必要。削減に約束はできないが、最善の努力についての約束をする用意がある。
  • 3.の要素は、1.及び2.の状況によって決まると考える。

米国ゴア副大統領

  • 米国の提案は以下の通り。
  • 6ガスを対象とすることが必要。
  • ソースとシンクを含む土地と大気のリンクを認識。
  • それらを実現するために排出権取引、共同実施及び調査研究を提示。
  • 2012年以降に1990年レベル以下に排出量を削減。
  • 共通の問題に取り組むための全ての国の参加。
  • 厳密なモニタリングと信頼性が重要。
  • クリントン大統領との今朝の電話を踏まえ、米国代表団に対し、もし現実的な目標とタイムテーブル、市場メカニズム及び主要途上国の参加が確保されるような包括的な計画が設定されるならば、交渉の柔軟性を増加するように指示した。

COP3議長

  • 本交渉で成果を得るためには次のアプローチが必要。
  • 先進国による温室効果ガス削減の率先したコミットメント。
  • 多くの途上国による自発的なイニシャティブによる全締約国の取組の促進。

気候変動枠組条約事務局長

  • 本交渉における具体的な課題は以下の二つ。
    1. 排出量削減目標の信頼性。さらに行動のレビューや遵守における信頼性も重要。
    2. エボリューションについては、長い時間が必要であり京都で合意するのは無理。京都では、まず中心的な目標である先進国の排出量削減を優先すべき。

タンザニア(G77代表)

  • 途上国の自発的な取組を進めるには、先進国からの資金技術の移転が必要。
  • ガス毎のアプローチが望ましいが、バスケット方式も受け入れ可。
  • 本来は明確な一律削減が望ましいが、QERLOsの差異化にも同意。
  • 途上国の新たなコミットメントを求めるポスト京都プロセスには断固反対。
  • クリーン開発基金の採択を支持。

ルクセンブルク(EU議長国)

  • 附属書[1]国は率先して削減する必要。法的拘束力のある一律削減が必要。
     差異化は目標が弱くなるようなら拒否。主要先進国は大きな目標を持つべき。
  • 3+3のアプローチは支持。
  • シンクについては、科学的不確実性があり、第1回会議までに慎重な検討が必要。 柔軟性に関しては抜け道がないことを確認することが必要。排出権取引については、大幅な削減、強力な国内措置、モニタリング、制裁処置等の整備が必要。
  • 途上国に新たな約束を求めることは交渉を阻害。
  • 途上国による自発的な努力を促進するための資金メカニズムが必要。

サモア(小島嶼国連合)

  • 議定書については、
    1. 附属書I国は短期・中期的目標を明確に出してほしい。
    2. 法的拘束力のある厳格な制度を遵守してほしい。
    3. 約束見直しのメカニズムを確立してほしい。
    4. 途上国への資金援助を。
  • しっかりした措置をとらないと、ごまかしでは明るい未来を期待できない。
     意味のある合意を。

イラン

  • エボリューションは受け入れられない。

英国

  • 二酸化炭素排出量を2010年までに20%削減する目標を設定している。
  • 最も大切なことは政治的最小限でなく、最大限削減する合意を見出すこと。

インド

  • 先進国の条約に対する対応は疑問。
  • 平等性が必要。
  • 途上国の新たなコミットメントには反対。
  • 一人当たりの排出量ベースで考えるべき。

ロシア

  • 削減は何トンかという附属書I国の総量で行うべき。
  • 議定書の目標達成は原子力エネルギーの安全な形での推進にもよる。
  • ガスは3種のみ。

スウェーデン

  • 1. 科学に基づいた解決、
    2. 先進国が責任を全うすること、
    3. 信頼性に基づく解決策
     (目標を空洞化させてはいけない)が重要。
  • 吸収源、排出源取引には制限が必要。
  • EUバブルを強く支持。

オーストラリア

  • 排出量の伸びを半分以上カットする。それは一人当たりの排出量90年比4%削減を意味する。
  • ネット排出量カットのため、土地利用変化及び林業を含むコストエフェクティブな方策を検討している。
  • 差異化目標が基本。

フランス

  • バブルは公正な提案と考える。
  • 先進国が模範を示すことが重要。
  • 排出権取引、共同実施に対しては、慎重にならねばならない。まずは国内施策から。対策はネットを支持。植林を含む必要がある。QELROsについてはグロスを受け入れ可能。
  • 3ガス。
連絡先
環境庁京都会議取組本部
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       名 執 芳 博
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       升 本   潔
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