報道発表資料
1.答申の概要
農薬は農薬取締法に基づき登録することが必要であり、申請のあった農薬を登録するかどうかの判断はいくつかの基準(登録保留基準)に照らし行うこととなっている。この基準のうち作物残留、土壌残留、水産動植物被害及び水質汚濁の防止に関する基準については環境庁長官が登録保留基準を設定することとなっている。
今回、10農薬に関し作物残留及び水質汚濁に係る基準値を設定又は改正することについて、中央環境審議会から答申を得たものである。(別紙参照)
なお、今回基準値を設定又は改正する10農薬及び基準値を削除する2農薬の内訳は、下表のとおりである。
作物残留に係る基準 | 1.基準値を新たに設定するもの | 5農薬 |
---|---|---|
2.適用作物の拡大等に伴い基準値を追加設定又 | 5農薬 | |
3.基準値を削除するもの (既に登録が失効したことにより削除) |
2農薬 | |
水質汚濁に係る基準 | 基準値を新たに設定するもの | 1農薬 |
(注)うち1農薬については、作物残留に係る基準値と水質汚濁に係る基準値が共に設定される。
2.環境庁としての対応
環境庁としては、この答申を受けて、8月中を目途に必要な告示の改正を行う予定である。
今次の告示改正の結果、農薬登録保留基準の設定農薬総数は下表のとおりとなる予定である。
作物残留に係る基準 | 食品規格(残留農薬基準)が適用されるもの*1 | 161農薬 |
---|---|---|
環境庁長官が個別に基準値を定めるもの | 213農薬 | |
(うち、今回新たに設定されるもの) | (5農薬) | |
合計332農薬 *2 | ||
水質汚濁に係る基準 | 環境基本法に基づく水質環境基準(健康項目)に連動して設定されたもの | 1農薬 |
環境庁長官が個別に基準値を定めるもの | 92農薬 | |
(うち、今回新たに設定されるもの) | (1農薬) | |
合計93農薬 |
注*1 作物残留に係る基準は、食品衛生法に基づく食品規格(残留農薬基準)が設定されている場合はそれを適用し、それが設定されていない場合は環境庁長官が個別に基準値を定めることとなっている。
*2 農薬によっては、一部の作物について食品規格(残留農薬基準)が設定された後、それ以外の作物について適用作物の拡大等の追加申請があった場合にこれらの作物に環境庁長官が個別に定める基準が設定されていることがあるので、両基準の合計は適用農薬数を加算したものにはならない。
別紙
1.作物残留に係る農薬登録保留基準値
○ 新規設定分5農薬
農薬名(用途) | 作物群等 | 基準値 |
---|---|---|
イマザモックスアンモニウム塩 (除草剤) シプロジニル(殺菌剤) テトラコナゾール(殺菌剤) ルフェヌロン(殺虫剤) メトミノストロビン(殺菌剤) |
大豆以外の豆類 小麦 第二大粒果実類 小麦 てんさい 第二大粒果実類 第一葉菜類 てんさい 茶 米 |
0.1ppm 0.5ppm 5 ppm 0.5ppm 0.5ppm 1 ppm 1 ppm 0.2ppm 10 ppm 0.5ppm |
○ 改正分(適用作物の拡大等に伴うもの)
5農薬 [*部分が変更分]
農薬名(用途) | 作物群等 | 基準値 |
---|---|---|
ターバシル(除草剤) ウニコナゾールP (植物成長調整剤) シプロコナゾール** (殺菌剤) フラザスルフロン (除草剤) クレソキシムメチル (殺菌剤) |
みかん みかん以外のかんきつ類* 第二大粒果実類* 米 小粒果実類 第一葉菜類* てんさい 第一大粒果実類 小粒果実類 みかん* みかん以外のかんきつ類* 小粒果実類 さとうきび 小麦 小麦以外の麦・雑穀 みかん みかん以外のかんきつ類 第一大粒果実類* 第二大粒果実類 小粒果実類* 第一果菜類* 第二果菜類 第二葉菜類 鱗茎類* てんさい* |
0.1ppm 0.1ppm* 0.1ppm* 0.1ppm 0.1ppm 0.1ppm* 0.1ppm 0.5ppm 0.5ppm* 0.1ppm* 0.1ppm* 0.1ppm 0.1ppm 0.1ppm 5 ppm 2 ppm 10 ppm 1 ppm 5 ppm 15 ppm 2 ppm 0.5ppm 2 ppm 0.1ppm 0.1ppm |
**の農薬については食品衛生法に基づく残留農薬基準も設定されている。
○ 削除分2農薬
アロキシジムナトリウム
ビンクロゾリン
2.水質汚濁に係る農薬登録保留基準値
○ 新規設定 1農薬
農薬の成分 | 用 途 | 基 準 値 |
---|---|---|
メトミノストロビン(*) | 殺菌剤 | 0.4 mg/L |
(*)の農薬については作物残留に係る農薬登録保留基準値も設定する。
(参考) 環境庁長官が定める農薬の登録保留基準
1.登録保留基準の概要
農薬を製造・販売するためには、農薬取締法に基づく農林水産大臣の登録が必要である。農薬登録に際し農林水産大臣は、申請者の提出した資料等に基づき登録検査を行い、申請農薬が次のいずれかに該当する場合はその登録を保留することとなっている(農薬登録保留基準)。このうち4)から7)までの基準は環境庁長官が定めることとなっている。
1)申請書に虚偽の記載があるとき
2)農作物等に害があるとき
3)通常の危険防止対策をとってもなお、人畜に危険を及ぼすおそれがあるとき
4)農作物等への残留が原因となり、人畜に被害が生ずるおそれがあるとき 5)土壌への残留により農作物等が汚染され、それが原因となって人畜に被害が生ずるおそれがあるとき 6)水産動植物に著しい被害を生ずるおそれがあるとき 7)水質汚濁が原因となり、人畜に被害が生ずるおそれがあるとき |
8)名称が不適切であるとき
9)薬効が著しく劣るとき
10)公定規格が定められているもので、それに適合しないとき
2.具体的な基準
1で述べた4)~7)の登録保留基準は環境庁告示により概ね以下のように定められているが、今回は、4)イ)及び7)イ)の基準について、土壌農薬部会で答申された。
4)について(作物残留に係る農薬登録保留基準)
申請された使用方法で使用された場合に農作物等に残留した農薬濃度が
ア)食品衛生法の食品規格に適合しない場合
イ)ア)が定められていない場合は環境庁長官が定める基準に適合しない場合
5)について(土壌残留に係る農薬登録保留基準)
農薬の成分物質等の土壌中での半減期が、規定されたほ場試験及び容器内試験で1年以上の場合等
6)について(水産動植物に対する毒性に係る登録保留基準)
農薬による48時間でのコイの半数致死濃度が0.1ppm以下で、かつ毒性の消失日数が7日以上の場合(水田において使用されるものに限る。)等
7)について(水質汚濁に係る農薬登録保留基準)(水田において使用するものに限る。)
ア)水田水中での農薬の150日間の平均濃度が、水質汚濁に係る環境基準(健康項目)の10倍を超える場合
イ)水質汚濁に係る環境基準(健康項目)が定められていない場合は、水田水中での農薬の150日間の平均濃度が、環境庁長官が定める基準を超える場合
- 連絡先
- 環境庁水質保全局土壌農薬課
課 長 :西尾 健(6650)
担 当 :広瀬、木村(6656)