報道発表資料
気候変動枠組条約第3回締約国会議は、6日(土)も会議を開き、事務レベルの論点については概ね整理を終了した。12月8日からの残り3日間は、閣僚レベル会合となり、10日昼の議定書の取りまとめに向け政治レベルの交渉が行われる。
I.この一週間の状況
1.概要
(1) | 数値目標については、各分野の議論が複雑に絡み合っているものの、米国、EU、我が国等、先進国の間では合意形成に向け、精力的な協議が重ねられている。 |
(2) | 他方、途上国の参加問題については、会議冒頭から途上国が「京都では新たな義務を一切負いたくない」とのかたくなな姿勢を示しており、その背景には、先進国の取組への不満、とりわけ米国への反発が強い。G77+中国グループは様々な利害を抱えながらも今のところその足並みを乱しておらず、南北対立の構図が最後まで残るおそれがある。 このため、議長となった大木大臣が連日水面下で精力的に途上国の代表と協議し、打開策を模索している。 |
2.個別論点についての進捗状況
(1) | 数値目標
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(2) | 途上国の参加
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II.12月6日(土)の動き
午前中には、組織的事項に関する交渉グループ及び4条1項(全締約国の義務)を中心 とした交渉グループが開催され、午後から夜にかけて全体委員会が開催された。会議の概要については以下のとおり。
1.全体委員会
(1) | 組織的事項 柴田議長から組織的事項の交渉グループでの検討状況について以下のとおり報告が行われた。
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(2) | バジェット ブラジルより、バジェットという言葉はわかりにくいとして、budgetに相当するものとしてdefined amount、budget periodに相当するものとしてcommitment periodという言葉を用いるという協議結果を報告。米国から妥協案が示され、G77+中国は7日午後のG77+中国会合で態度を決定することとなった。(従って、途上国側もバジェットを概念として認めたことになる) |
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(3) | 排出権取引(第3条10、11項) 米国、日本、EUの間の調整が続いている。EUは、排出権取引で実現してよい削減量の総削減量に対する割合の上限、政府間の排出権取引については国際的なメカニズムのもとで行うべきこと等の主張を行っている。我が国も取引に当たっての透明性などについて意見を述べている。 |
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(4) | EUバブル(4条) ノルウェーより、責任の所在に関するパラ1、4、5では合意が見られるものの、残りのパラについては非公式に交渉中との報告。議長より、議定書自体が法的拘束力を持つのに、なぜここで改めてそれを書く必要があるのか等の疑問点が挙げられ、ノルウェーはEUの構成メンバーが変わったときの各国への義務が念頭にあるとの説明を行った。 |
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(5) | 途上国への影響の考慮(3条17項) ジンバブエとウガンダが新しい妥協案を出し、大方の支持を得ているとイランより報告。これに対し、当初の基金創設案はなくなったものの、影響を減ずる措置として補償の考え方がなお含まれているため、そもそも「補償」の概念が認められないとする米、英、豪等と、妥協案を支持するサウジアラビア、ナイジェリア、中国等G77との間で対立。結局、補償以外の種々の手法を併記した新たな妥協案に括弧を付けて残すこととなった。 |
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(6) | 12条(全締約国の責務)、13条(支援のための資金メカニズム) 多くのオプションが残っており、特に、13条の「新規かつ追加的資金」の部分につき、先進国と途上国との間での意見の対立が続いている。これらの問題については、再び非公式会合で協議を行うこととなった。 |
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(7) | シンク(吸収源) 夜の非公式会合の結果がノングループのラビナ議長から報告された(グロスを基本として、新規造林、植林、森林伐採に限定してシンクを取り込むという案)。これを、日本、AOSIS等が支持。ニュージーランドは次善ではあるがなお不満。米国は留保した。EUは、吸収量を考慮しないことを最善としつつも、一応賛成。このほか多数の国が来週の閣僚セグメントに議論を持ち上げることを了承。エストラーダ議長より非公式会合の案で閣僚セグメントに諮ることとされた。 |
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(8) | クリーン開発基金 クリーン開発基金について、ブラジルよりまだある国(EU)からのコメントがないため、非公式会合が進捗しない旨報告。 |
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(9) | 政策措置(2条) 非公式会合の結果が出る予定であったが、結局出ず、7日まで待つこととなった。EUの最終判断を待つ点が多く、7日に開催されるEU環境大臣会合に期待されるところが大きい。 |
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(10) | 排出量等の推計方法 排出量等の推計方法に係る決定案が採択された。代替フロン排出量の推計方法は、実排出量を用いることとされている。また、国連決議に基づく国際的活動は、当該活動を行う国の排出量には直接算入せず、別掲にて報告することとなった。 |
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(11) | 途上国の自主的参加(10条) エストラーダ議長より、進展がない旨報告があった。 |
(参考1)議定書案の構成(*印はほぼ合意が得られたもの) *前文 *第1条(定義) 第2条(政策・措置) 第3条(数量目標) 1 (ガスの範囲、吸収源の扱い、目標年/目標期間) 2 (差異化/一律目標) * 3・4(経済移行期諸国) 5 (中間年) 6 (第10条国の目標) 7・8(第1期目標期間及び第2期目標期間) 9 (10条国の第1期目標期間) 10・11(排出権取引及び共同実施に伴う排出枠の取得及び譲渡) 12 (7~11によるバジェットの計算) 13 (バンキング) * 14 (ボローイング):削除 15 (ガスの対象範囲を含めた科学的知見の集積に伴う定期的な見直し) 16 (数量目標の対象とならないガスの扱い) 17 (途上国への影響の考慮) 18 (Clean Development Fund) 第4条(共同達成) *第5条(排出量・吸収量の推計のための方法論)(決定案:セット) 第6・7条(排出権取引、共同実施) *第8条(情報の送付) *第9条(締約国会議による議定書の実施のレビュー) 第10条(自発的参加) *第11条(締約国会議による議定書のレビュー) 第12条(条約第4条1項の推進) 第13条(資金メカニズム) 第14条(締約国会議) *第15条(事務局) *第16条(補助機関) *第17条(多国間協議手続) 第18条(不履行) *第19条(条約第14条(紛争の解決)) 第20条(議定書の改正) *第21条(附属書) *第22条(Attachment):削除 *第23条(投票) *第24条(寄託) *第25条(署名・加入) *第26条(留保) 第27条(発効要件) *第28条(脱退) *第29条(正文) 附属書A(ガス/部門) 附属書B(差異化) Attachment1(各国の排出約束) (参考2)閣僚レベル会合での主要論点 ・数値目標(対象ガス、期限等、差異化)の具体的内容 ・EUバブルの規定振り(承認手続等) ・排出枠取引、共同実施の規定振り ・政策・措置の調整の取扱い ・クリーン開発基金/メカニズムの規定振り ・支援のための資金メカニズムの規定振り ・自発的参加途上国の規定振り ・全締約国の講じる措置(条約4条1項)の規定振り ・全締約国の義務のレビュー及び強化に関する京都以降のプロセス
- 連絡先
- 環境庁京都会議取組本部
小 林 光
報道サブ担当
名 執 芳 博
辻 昌 美
升 本 潔
KICH 705-1234内線2506
直通705-2868
宝ヶ池プリンスホテル
712-1111内線810
直通723-6382