報道発表資料
気候変動枠組条約第3回締約国会議の12月5日の状況については以下のとおり。
1.日程
午前には全体委員会が、午後には本会議が、夜には全体委員会がそれぞれ公開で開かれ、また、夜には政策措置の交渉グループが開催された。
2.会議の概要
(1)全体委員会(午前)
午前には、以下の事項が取り扱われた。
{1}前夜に引き続き、各交渉グループ議長等から、次のとおり、交渉の進展状況が報告された。
- Sinkについては、エストラーダ議長が、現在も協議中と報告。
- EUバブルについては、ノルウェーが検討中と報告。
- 10条(非AnnexI国の自主的参加)については、グループ議長(メキシコ)が検討中と報告。
{2}排出量等の推計方法に係る決定案
4日のQELROsの交渉グループで配布された案に、バンカー油と航空機燃料による排出と、国連のPKOや人道援助等の多国間活動による排出を別途に計算し報告するという修文を加えた決定案について議論が行われた。我が国からは、評価の方法としては、実排出量と潜在排出量があるが、HFC、PFC、SF6については実排出量を用いるべきとの観点から、修文提案を行った。この点については、日、米、英で協議を行い、協議の整った案文を議長に提出することとなった。
{3}その他グループの報告
- 組織的事項について、柴田公使から引き続き協議中との報告あり。
- 条約4条1項(全締約国の義務)を中心とした交渉グループの議長のスウェーデンから、12条(全締約国の義務)、13条(支援のための資金メカニズム)について、ほぼ合意されたが、まだ詰める箇所があるため協議が必要との報告。
(2)全体委員会(夜)
夜には、エストラーダ議長の下で非公式協議の進捗状況の確認が行われた。
{1} | EUバブル(第4条):小グループで引き続き議論する予定。 |
{2} | シンク(吸収源):現在協議中。 |
{3} | 第3条17項(補償基金):補償基金を議定書に入れるべしとのG77の強い支持に対し、Annex1国は補償基金のコンセプト自体が問題と主張し、現在調整中。 |
{4} | 第10条(AnnexI国以外の参加問題):午前中の議論から状況変わらず。 |
{5} | 第3条18項(クリーン開発基金):6日議論をする。 |
{6} | Methodology(排出量等の推計方法)にかかる決定案:日・米・英の協議では、対象ガスの範囲に関し問題になっており、現在協議を実施中。 |
{7} | 議定書採択の手続に関する決議案:来年の3月から1年間署名のために開放する等の内容の決議案に関し、G77及び米からとりあえず検討のための時間が欲しいという意見があり引き続き検討することとなった。 |
{8} | 政策措置:協議中 |
以上のような状況であるので、6日午後の全体委員会の再開までに、各グループが議論を進めることとなり、それ以降は、全体委員会において直接に議論を進めることとした。
(3)本会議
大木議長の下で次のとおり議事が進められた。
{1}COP4関係
アルゼンチンの招致表明があり、COP4を来年11月2~13日、アルゼンチンのブ
エノスアイレスで開催することを決定。
{2}条約改正関係
- トルコのAnnex[1](対策義務を負う先進国)及び[2](資金援助義務を負う旧西側先進国)からの削除問題については、協議を行ったものの合意に至らず。
- チェコスロバキアをAnnexIから削除し、チェコ、スロバキア、スロベニア、クロアチアをAnnexIに追加する決定案が承認された。
- (1)EUから提案された議定書採択の手続の暫定的適用、(2)クウェートから提案された資金メカニズム、に関する条約改正提案については、両方ともまとまらず、(1)についてEUが撤回することを条件にクウェートも(2)を撤回する旨発言し、結局両者とも撤回された。
{3}全体委員会からの進捗状況報告
エストラーダ全体委員会議長より、次のとおり報告があった。
- 組織的事項、政策措置、条約4条1項(全締約国の義務)の3つの交渉グループをつくり、協議を行ったが、まだ最終的な結論は得られていない。QELROsについても、進展はあったが、結論に達していない。
- QELROs関係では、6ガスと3ガスの対立が引き続きあり、シンク(吸収源)の取扱いについても合意に達していない。ボローイング(排出目標を達成するための十分な削減を行えなかった場合、次の目標期間から必要な排出量を前借りする措置)に関する規定(3条14項)は、議長案から削除された。methodology(排出量等の推計方法)に関する締約国会議決定案は、まとまらなかった。
{4}途上国の参加問題
本件については、大木議長が、自分と途上国との協議を続けたい旨の発言を行った。
その直後、ニュージーランドより「次のステップ」に関する決定案の提案が行われた。
提案の内容は、2014年以降、全締約国が法的拘束力を持つコミットメントを行うべき
である(AnnexI国がQELROs、LLDCを除く他の全ての締約国が、AnnexI国の20
14年までの約束の履行を前提に排出抑制目標にコミット)、そのためのレビューを19
98年に始め、2002年までに終了する、というものである。
この提案に対し、日、米、EU等の先進国は基本的に支持。約40の途上国は、途上国
の参加問題を議論するのは時期尚早、また、ベルリンマンデートの枠外であるという理由
で反対。本件は、ビューローで取扱いを協議することとなった。
{5}ユーゴ問題
- 国連未加盟のユーゴのCOP3参加問題について、規則上明確に定められている訳ではなく、条約締約国会議において政治的に判断することとなり、議長の発議により、ユーゴに対し参加を控えるよう要請した。
(4)政策措置の交渉グループ
議長から、日、米、及びG77の代表者との打ち合わせを行ったが、個々の政策に法的
根拠を持たせることを主張するEUと、個々の政策に縛られず大枠のみを示すことを主張
する米の隔たりが大きく、進展なしとの報告があった。
2条について、議長ペーパーに基づき検討。米、EUがそれぞれの立場から若干の修正
意見を述べた。
(5)その他
組織事項、補償基金、クリーン開発基金、シンク(吸収源)、EUバブル等について、
小規模のコンタクトグループ会合が断続的に開催され、詰めの作業が行われた。
- 連絡先
- 環境庁京都会議取組本部
報道サブ担当
名 執 芳 博
辻 昌 美
升 本 潔
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宝ヶ池プリンスホテル
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