報道発表資料

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1997年12月05日

気候変動枠組条約第3回締約国会議の概要(12月4日(木)分)

 気候変動枠組条約第3回締約国会議の12月4日の状況については以下のとおり。

1.日程

 午前にはQELROsの交渉グループ、組織的事項の交渉グループ及び政策措置の交渉グループが、午後には政策措置の交渉グループ、条約4条1項(全締約国の義務)に係る交渉グループ及び組織的事項の交渉グループが、また、夜には全体委員会が開催された。
 なお、8~9日に開催されるハイレベルセグメントの演説の順番リストが配布された。

2.会議の概要

(1)QELROsの交渉グループ

{1} EUバブル関連(4条)
 日本よりEUバブルに対する我が国の懸念(不公平性、不透明性、責任の所在等)を踏まえ、4条の改正条文提案を説明。米国等も修正の提案を行った。これに対しEUは、従来と同様の反論。各国より、賛成、反対それぞれの意見が出され、EU、米、日、豪等によるコンタクトグループ(議長はノルウェー)を設置して議論し、夜の全体委員会に報告することとなった。
{2} 推計方法(5条)
 非公式協議の結果を受けて、5条についてほぼ合意がなされた。
{3} シンク(吸収源)(10条)
 非公式会合のフィリピン・ラビナ議長より現在もなお協議中であり、午後も二国間の協議を中心に行い、夜の全体委員会には案を出したい旨報告。
{4} ボローイング(排出目標を達成するための十分な削減を行えなかった場合、次の目標期間から必要な排出量を前借りする措置)(3条14項)
 議長より、米等はその必要性を主張しているものの、大勢は反対であるとして、議長テキストから削除されることとなった。
{5} その他
 methodology(排出量等の推計方法)に関する締約国会議決定案を全体委員会に送ることが了承された。また、議定書の採択に際し、議定書案の鑑文となる締約国会議決定案が紹介された。

(2)組織的事項の交渉グループ

{1} 午前には、14条(締約国会議)、17条(多国間協議プロセス)、18条(不遵守)、27条(発効要件)について、コンタクトグループの結果報告が行われた。その他、組織に関するいくつかの条文について法的観点から検討し、意見が分かれる点の絞り込みを行った。
{2} 午後には、8条(通報)及び9条(レビュー)の組織的事項について整理が行われた。

(3)政策措置の交渉グループ

 議定書第2条に関する全体会議議長試案が配布された。各国の賛同を得て、この文案を議論のベースとすることに合意。

(4)条約4条1項(全締約国の義務)を中心とした交渉グループ

 以下の経過について、4日夜開催の全体委員会に報告することとされ、議論は引き続き5日午前中に行うこととされた。

{1} 12条(全締約国の義務)について
 シェレーン議長から、関係者による非公式協議において整理された条文案について説明が行われた。
{2} 13条(支援のための資金メカニズム)
 アッシュ共同議長から、非公式協議の結果を踏まえた修文案が口頭で示された。これに関して、先進国からは、議長修正案では、条約に規定されたメカニズムを通じた資金協力が削除されていた点に反発する旨の発言が行われた。それ以外の点については、概ね受け入れられる見込みであるが、修文案を文書で示した上、5日に再度協議が行われることとなった。

(5)シンクについてのコンタクトグループ

 シンクについては非公式会合において、ラビナ議長より新たな交渉テキストが提示されたが、議論は平行線をたどり、吸収量の導入に慎重なものから、吸収量の導入を早期に全面的に行う案まで、3つのオプションをまとめた上、レベルを上げて討議するためこの試案を全体委員会に提示することとなった。

(6)全体委員会

{1} QELROsの交渉グループ
 エストラーダ議長より、ボローイング(3条14項)の削除、経済移行国の扱い(3条3項、4項)及び推計方法(5条)の決定等、これまでの交渉グループ会合で決着した部分を中心に報告。
{2} バジェット
 ブラジルより、「バジェット」という言葉自体に「予算」という経済的なイメージがあることから好ましくなく、より環境保全に近い意味として「コミットメント・ピリオド」、「トータル・エミッション」を提案したがまとまらず、今後も引き続き議論。
{3} 補償基金
 イランから非公式会合の報告。補償基金については、考え方がよくないとして強く反対する国と形態にとらわれず何らかのファンドが必要として強く支持する国があり、要調整。
{4} EUバブル
 コンタクトグループの議長役のノルウェーから明確にしなければならない部分がまだ残っている旨報告があり、明日の午前中までに結論を出すよう要請がなされた。
{5} 10条問題(非Annex[1]国の自主的参加)
 メキシコが交渉グループでの協議状況を報告。今後も引き続き検討することとなった。
{6} EUバブル
 コンタクトグループの議長役のノルウェーから明確にしなければならない部分がまだ残っている旨報告があり、明日の午前中までに結論を出すよう要請がなされた。
{7}

シンク

ラビナ議長より、11月30日より精力的に非公式会

合を開催した結果として、まだ多くの括弧が付いているものの、3条に係る案が示された。その内容としては、

{1} QELROsはグロスアプローチによる。
{2} 現時点では限定的な形でシンクを取り込むことを考える。
{3} 各国は本件に係る様々なデータをSBSTAに提供し、第一回の締約国会議あるいは
 それ以降のできるだけ早い時期に方法、規則を検討し、できるだけ早く取り込む。
なお、上記{2}のオプションとして、A、B、Cの3案が示されている。
エストラーダ議長より、限定的に取り込むものとして、新規造林、植林、森林伐採及び木材収穫とするオプションCに焦点を当てて議論を進めることを提案し、議論された。
A、B案支持の発言なし。
C案は日本、AOSIS(小島嶼国連合)が支持。
豪はすべてのオプションに反対。代わりに独自のオプションD(すべての吸収源、排出源を含める)を提案。これをロシアが支持。
米は、C案に吸収源の対象として森林管理及び森林保護を加えることを提案。これを加、アイスランド、ウルグアイ、ブラジルが支持。
「エ」議長も米案でまとめようとしたところ、カリブ諸国、我が国等が反対。
英はEU案としてパラ2をすべて括弧に入れ、閣僚セグメント会合までシンクに係る議論を延期することを提案。

 結局、5日10時から全体委員会を再開することとし、散会した。

(7)その他

 議長となった大木大臣は、途上国問題の解決に向けて、精力的に途上国のリーダーを中心にバイの会談を続けている。

連絡先
環境庁報道サブ担当
名 執 芳 博
       辻   昌 美
       升 本   潔
KICH 705-1234内線2506
      直通705-2868
宝ヶ池プリンスホテル
      712-1111内線810
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