報道発表資料

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1997年12月04日

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令等の一部改正について

 12月5日(金)の閣議で「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令等の一部を改正する政令」が閣議決定される。
 この政令改正は、11月4日に行われた中央環境審議会答申「廃棄物に係る環境負荷低減対策の在り方について」(第一次答申)の中の最終処分基準の見直しに係る提言等を受けて、廃棄物処理法に基づく最終処分基準の強化等を行うものである。
 政令の内容のうち環境庁関連の概要は、以下のとおり。
{1} 安定型産業廃棄物から、プリント配線板、ブラウン管、石膏ボード等を除外すること
{2} 一定以上の有害物質を含む汚泥等については、廃棄物の発生施設に関わりなく、遮断型最終処分場に埋め立てることとすること
{3} PCBの化学分解処理方法を処理基準に位置付けること 等

[1] 政令改正の背景

 近年、廃棄物の量の増大に伴い、最終処分場の残余容量が逼迫するとともに、廃棄物の質の多様化等に伴い、最終処分場の浸出液から有害物質が検出されるなど、各地で最終処分場を巡るトラブルが頻発し、国民の間で廃棄物処理に対する根強い不信感が生じている。
 このような現状を踏まえ、平成8年11月に、環境庁長官は、中央環境審議会に対して「廃棄物に係る環境負荷低減対策の在り方について」の諮問を行った。
 この諮問を受けて、中央環境審議会においては、国民の安心と安全を確保し、環境への負荷の少ない持続可能な経済社会を構築するべく、廃棄物に係る環境負荷の総合的な低減対策について審議を行い、平成9年11月4日に「廃棄物に係る環境負荷低減対策の在り方について」の第1次答申が出された。
 今回の政令改正は、この答申の中の最終処分基準の見直しに係る提言等を受けて、廃棄物処理法に基づく最終処分基準の強化を行うものである。

 なお、本政令では、本年の通常国会で行われた廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)の改正及び厚生省の生活環境審議会専門委員会における検討結果を受けて、厚生省所管部分において、建設系産業廃棄物の範囲の見直し、保管基準の強化等も行われている。

[2] 政令改正の内容(環境庁関連)

1.安定型産業廃棄物に係る見直し

○改正の趣旨
 現行の安定型産業廃棄物のなかには、有機性汚濁の原因となる物質の含有・溶出、有害物質の溶出の観点からそれ自体問題があるもの、あるいはそのような汚染の原因となるような物質が付着・混入する可能性が高いものが含まれているため、現行安定型産業廃棄物の範囲を見直すとともに、安定型最終処分場に安定型産業廃棄物以外の廃棄物が入らないようにするための措置を強化する。
○改正の概要
(1)現行の安定型産業廃棄物から、以下のものを除くこととする。
 {1}プリント配線板(鉛を含むはんだが使用されているものに限る。)
 {2}ブラウン管(側面部に限る。)
 {3}鉛蓄電池の電極
 {4}鉛製の管又は板
 {5}石膏ボード
 {6}容器包装(有害物質又は有機性の物質が混入し、又は付着しないように分別して排出され、かつ、処分までの間にこれらの物質が混入し、又は付着したことがないものを除く。)
(2)安定型最終処分場において埋立処分を行う場合には、安定型産業廃棄物以外の廃棄物が混入し、又は付着するおそれのないように必要な措置を講ずるようにする。
 特に、工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた安定型産業廃棄物については、環境庁長官が定める一定の方法により混入、付着の防止措置を行うこととする。
(3)なお、既存の安定型最終処分場に対する上記(1)、(2)の適用については、本政令の施行後1年間(平成11年6月16日まで)の猶予期間を置く。

2.有害な産業廃棄物の埋立処分基準の強化

○改正の趣旨
 現在、総理府令で定める一定の基準を超えて有害物質を含んでいる汚泥等の産業廃棄物(以下「有害産業廃棄物」という。)については、特定の施設から発生したものに限り、遮断型最終処分等が義務付けられてきたが、同様の性状の廃棄物には同じ埋立処分基準を適用することが環境保全上適切であるとの観点から、有害産業廃棄物に対して、特定の施設から発生したか否かを問わず、同一の埋立処分基準を適用することとする。
○改正の概要
(1)現行の埋立処分基準において遮断型処分場における最終処分が義務付けられる有害産業廃棄物と同様の性状の産業廃棄物については、特定の施設から発生したか否かを問わず、遮断型最終処分場で埋立処分することとする。
(2)現行の埋立処分基準において、埋立の前にあらかじめ、総理府令で定める基準に適合するものとするか又は環境庁長官が定めるところにより固型化することとされていた有害産業廃棄物と同様の性状の産業廃棄物については、特定の施設から発生したか否かを問わず、総理府令で定める基準に適合するものとするか、又は環境庁長官が定めるところにより固型化することとする。

3.PCBに係る処分基準の見直し

○改正の趣旨
 PCBの処理を行う場合には、これまでは、焼却分解する方法又はPCBを除去する方法しかなかったところであるが、
 {1}化学反応による脱塩素化処理の方法
 {2}高温・高圧の水の特性を活かしてPCBを分解する、超臨界水による酸化処理の方法
 について実用化が実証されるに至った。
 これに伴い、従来保管されたままで処理がほとんど行われてこなかったPCBを含む産業廃棄物の処理の推進に資するため、上記の方法を廃棄物処理法の処分基準に位置付けることとする。
○改正の概要
(1)PCBの分解又は除去による処理を中間処分基準に位置付ける。(具体的な方法は、告示で定める。)
(2)PCBの処分に伴って生じた廃棄物の埋立処分基準を定める。具体的には、焼却、除去によるほか、告示で定める方法によることとする。

4.廃掃法施行以前の埋立地における適正処理の促進

○改正の趣旨
 廃棄物処理法施行(昭和46年9月)以前に造られた埋立地が現在でも残存しており、これらの埋立地には廃棄物処理法に基づく最終処分基準の一部が適用されていないが、今回の政令改正等により強化される規制の実効性を担保するため、当該基準を適用することとする。
○改正の概要
 廃棄物処理法の施行の際現に存していた埋立地において行う埋立処分については、平成11年6月17日以降、埋立地からの浸出液によって公共の水域及び地下水を汚染するおそれがある場合には、そのおそれがないように必要な措置を講ずることとする。

5.海洋汚染防止法施行令の改正

○改正の趣旨・概要
 海洋汚染防止法施行令には、船舶から埋立場所等に廃棄物を排出する際の排出方法に関する基準が定められているため、廃掃法施行令の埋立処分基準の改正(上記1.~3.)と同趣旨の改正を、海洋汚染防止法施行令に規定する船舶から埋め立て場所等に排出する廃棄物の排出方法に関する基準についても行うこととする。

[3] その他

○今後の予定
 事務次官等会議:12月4日(木)、
 閣議:12月5日(金)
 施行:平成10年6月17日
○厚生省所管分の改正事項
 {1}再生利用認定制度の変更手続き、
 {2}廃棄物処理施設の設置手続き(申請書等の縦覧)、
 {3}建設系廃棄物の定義の見直し、
 {4}PCBに係る廃棄物の処分基準の見直し、
 {5}保管基準の強化、
 {6}委託基準の見直し 等

連絡先
環境庁水質保全局企画課海洋環境・廃棄物対策室
室長:太田 進 (6620)
 補佐:高橋康夫(6621)