報道発表資料

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1997年12月04日

気候変動枠組条約第3回締約国会議の概要(12月3日(水)分)

 気候変動枠組条約第3回締約国会議の12月3日の状況については以下のとおり。

1.日程

 午前には本会議とQELROsの交渉グループが、午後には本会議と4条1項に係る交渉グループが、また、夜にはQELROs及び4条1項に係る交渉グループが開催された。

2.会議の概要

(1)本会議

{1}財政メカニズム:GEFについての報告
 エル・アシュレイGEF事務局長からGEF活動のレビューについて報告があった。各国からはGEFの活動を高く評価する旨発言がなされた。中国からは、現在のGEFはあくまで暫定的な措置で、今後も資金メカニズムについて当然議論を継続すると認識している旨発言があった。

{2}技術移転
 本件については重要なものと認識している旨の発言が多数であった。また、中国から「必ずしも十分な技術移転が先進国から行われていない」との発言があった。我が国からは赤阪参事官が「京都イニシアティブ」について紹介。議長の提案で、今後技術移転についてはSBSTAで取り上げ、COP4の議題とすることとなった。

{3}組織的事項
 議題2(h)(COP4の開催日時及び場所)及び議題2(g)(98~99年の会議日程)については金曜の本会議で議論されることとなった。

{4}条約4条2項(a)(b)(先進締約国の安定化及び通報)の適切性の第2回レビュー
 途上国は本件は時期尚早であると主張。一方先進国(米等)は新しいレビュープロセスに入るべきことを主張。議長から、SBI及びSBSTAにおいて引き続き議論を行い、COP4の議題とする提案がなされ合意された。

{5}条約及び附属書の改正
 附属書I及びIIの改正提案、条約17条の改正提案及び条約4条3項の改正提案の3点について議論が行われた。
 附属書I及びIIの改正提案については、以下の3つの提案について議論が行われた。
 1)チェコ・スロバキアをAnnex[1]から削除
 2)チェコ、スロバキア、スロベニア、クロアチアをAnnex[1]に追加
 3)トルコをAnnex[1]・[2]から削除
 パキスタン、アゼルバイジャン、米、EU、クウェート等から、他の国との公平性を欠くこと等の理由からトルコの削除提案を支持。議長から、本件に加えAnnexの加入要件についての検討をCOP4の議題とするとの決定をCOP3で行う旨提案することの可否を5日(金)に決めることとなった。
 条約17条の改正提案(議定書採択の手続の暫定的適用)及び条約4条3項の改正提案(資金供与の手続)については、議長提案により、それぞれについて小グループを設けて協議することとされ、5日の本会議で議論することとなった。

{6}その他
 クロアチアから、国連に加盟していないユーゴスラビアがCOP3に参加することが不適切であるとの発言があった。この件については国連本部に法的見解を照会し、5日に本会議に報告すること、それまでの間、ユーゴのCOP3出席は見合わせることが決まった。

(2)QELROsの交渉グループ

 対象ガス(3条1項)については、2日の議論を踏まえ、HFC等をCOP3時点で加える案とCOP4まで検討してCO2等とは別の目標の下に置く案との二つの案が議長から示され、各国持ち帰り検討することになった。
 差異化(3条2項)については、スイスより、差異化を主張する国々の意向が報告されるにとどまった。
 経済移行国の扱い(3条3、4項)については、修正案が議長より出され、ほぼ合意。
 対象ガス以外の削減(3条16項)、排出権取引(6条)、共同実施(7条)については、特に結論は出なかった。
 推計方法(5条)については、妥協テキストを作成することになった。
 また、途上国の自主的参加(10条)については、多くの途上国は反対を表明。理由として、条約において既に自主的参加国の規定があり、また附属書[1]の見直し規定もあるため10条の必要がないことを挙げた。韓国は、自国は本条約上途上国でないと認めてもらっており10条に入らないとの発言。メキシコは、自発的参加であることが明確化されるならば、10条はあってもよいと発言。途上国間で、メキシコを中心に受け入れ可能な案を協議することとなった。
 議定書のレビュー(11条)については、修文の上、ほぼ合意に至った。

(3)4条1項を中心とした交渉グループ

 第12条(全締約国の既存の義務の履行の促進)については、2日の議論を踏まえ議長が新テキストをまとめたが、旧テキストを利用すべきと強硬に主張する国があったため、旧テキストをベースに議論が再開された。
 パラ1から順次検討したが、いずれについても2日の議論が繰り返された。先進国側が妥協案を含め説得を試みたが、新たなコミットメントに対する過剰な懸念から途上国側の主張が繰り返された。
 13条(資金、技術の移転)についても、従来どおりの先進国と途上国との対立的議論が繰り返された。
 4日15時に議論を再開することとなった。

(4)シンク(吸収源について)

 シンクについては、コンタクトグループのラビナ議長より進捗状況について報告があったが、ネットアプローチを強硬に主張するオーストラリア、ニュージーランド、ノルウェー等とその他の国々との間で議論は平行線をたどり、深夜に至り、両論を併記した案文を取りまとめたのみで議論を翌日に持ち越した。

連絡先
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