報道発表資料

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1997年12月02日

気候変動枠組条約第3回締約国会議の概要(12月2日(火)分)

 気候変動枠組条約第3回締約国会議の12月2日の状況については以下のとおり。

1.日程

 1日の全体委員会で設置することが決められた3つの交渉グループ(QELROsのグループ、4条1項を中心としたグループ、組織的事項のグループ)が開催された。
 QELROsのグループについてはエストラーダ大使が議長を、4条1項を中心としたグループについてはスウェーデンのボシェーレン大使とアンティグアアンドバブーダのジョンアッシュ大使が共同議長を、組織的事項のグループについては在ジンバブエの柴田公使が議長を務めた。
 午前にはQELROsのグループと組織的事項のグループが、午後には4条1項を中心としたグループと組織的事項のグループが、また夜にはQELROsのグループが開催された。

2.会議の概要

(1)QELROsの交渉グループ

 本日の交渉グループでは、2010年頃に90年比削減となる新たないくつかの目標の提案が行われた。午前中の会合で、カナダからの公式提案が行われた。1990年レベルから、2010年には3%削減し、2015年には更に5%(つまり合計で8%)削減するというもので、6ガス、ネット・アプローチ。
 また、夜の会合で、NZから提案があった。バジェット方式で、2010年までに一律5%削減するというもので、6ガス、シンクを含むネット・アプローチ。
 その後、バジェットが議題として取り上げられた。EUからは、これまでの単年度の目標年の考えと異なり、バジェットの考えを受け入れることができる旨の発言があった。途上国側は、透明性(transparency)の確保に懸念を示し、バジェット方式に反対。ブラジルを中心に、バジェットの概念と定義等について協議を行い、今後も議論を継続することとなった。
 さらに、差異化の議論も行われた。この問題については、田辺大使より、日本提案としてではなく、例えばということでいくつかの(2つとか3つとかの)グループに分ける考えもあるのではないかと発言。グループ分けの仕方としては、例えばということでバブルを用いるEUと非EUに分ける。更に非EUをこれまでの政策努力のパフォーマンスにより2つに分けるなど。これに対し、EUとしては、経済的に同水準にある国の中でEUだけが高い目標というのは受け入れられないとして、EUより低い目標は是認できない旨の表明があった。差異化については、スイスを中心に個別の調整を行い、引き続き議論することとなった。
 夜の会議では、対象ガス、シンク、補償基金、クリーン開発基金について議論が行われた。
 対象ガスについては、事務局より、6ガスを対象とした場合の目標値等に関するデータを提示、説明。米国、ノルウェー等が6ガスを支持。我が国より、HFCは、90年以降、CFCの代替品として使用が開始されたという点で他のガスと異なることを強調。イランは、PFCは長寿命であり影響も長期にわたり及ぶことから対象に加えることが妥当と発言。エストラーダ議長より、私案として、京都議定書では3ガスとし、COP4において対象に組み込むことを検討すべきガスを別のAnnexに書き込むという提案あり。これに対し、3ガス用と6ガス用の2つの目標ができてしまい、取り扱いが不明確になること等を理由に反対があったため、事務局でまずドラフト作成を試み、後日それを基に議論することとなった。
 シンクについては、非公式会合のラビナ議長から、断続的に二国間又は小会合を開催しているが、グロス派(排出源のみ)とネット派(吸収源を加える)でまだ議論が収斂しておらず、締切である2日中にはまとめられそうもないので、もう少し時間がほしい旨報告があった。シンクについては、明晩、当グループで再度議論することとなった。
 3条17項の補償基金については途上国側は、条約に基づくものであり必要であるとし、我が国を含む先進国側は、これに反対するという従来の主張が繰り返され、再度議論されることとなった。
 3条18項のクリーン開発基金についても、途上国側は賛成、先進国側は反対の主張を行ったが、これについてはブラジルを中心とした小グループで議論を行い、明晩に当グループにおいて再度議論することとなった。

(2)4条1項(途上国問題)を中心としたグループ

 12条(全締約国の既存の義務の履行の促進)に関しては、先進国グループと途上国グループの意見が対立したままで、結論は得られず、議長が各国の意見を踏まえた修正案を作成することとなった。
 13条(資金、技術の移転)に関しては、EU意見が提出されたが、時間切れとなり、散会した。
 次回会合は、3日に行われることとなった。時間、場所は未定。
 なお、途上国の問題については、大木議長が精力的に個別の交渉を並行して行っているところ。

(3)組織的事項のグループ

 組織的事項としては、議定書案14条に掲げるMOP(議定書の締約国会議)がどのような範囲の権限を持つかについて、また、27条にある本議定書の発効要件についての議論が行われたが、結論は出なかった。
 さらに、17条(不遵守措置)、18条(多国間協議)についての議論が行われたが、意見は収斂しなかった。

連絡先
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