報道発表資料

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1997年12月01日

気候変動枠組条約第3回締約国会議の概要(12月1日(月)分)

12月1日、気候変動枠組条約第3回締約国会議が開会された。午前及び午後に本会議が開催され、夜には全体委員会も開催された。

[1].COP3本会議(午前)の概要

1.開会式

(1)COP2議長(ジンバブエ・チムテングウェンデ大臣)挨拶
 温暖化による危険が既に生じている旨指摘しつつ、COP2からCOP3の間の国際的検討作業の進捗状況を報告。COP3及びCOP3議長への期待を述べた上、アフリカを含む途上国が気候変動に対して脆弱である等、主として先進国の対策を求める挨拶を行った。

(2)議長選出
 COP2議長の提案により、大木環境庁長官が全会一致で議長に選出された。

(3)COP3議長挨拶
 大木大臣より、{1}先進国のリード、{2}途上国も行動をとること、{3}そのためにもパートナーシップが重要、等を述べて各国に協力を要請した。

(4)歓迎の挨拶
 小渕外務大臣、荒巻京都府知事、桝本京都市長より歓迎の挨拶があった。

(5)条約事務局長挨拶
 ザミット・クタヤール事務局長より、挨拶があった。注目される点は、産業部門が投資の際に温暖化防止を考慮した戦略が必要である、消費パターンやライフスタイルを変更する等、市民の意識の変化が必要である等を述べた点。

2.各国ステートメント

{1} タンザニア(G77+中国代表)
 先進国のコミットメントの実施がまずなされるべきである。京都会議に集まったのは先進国のこれまでの不十分な約束の強化が目的である。また、途上国は条約上の約束を既に十分果たしている。京都会議で途上国の行うことについて何ら取り決めること(エボリューション、京都後のプロセス、京都イニシアチブ等と言われるもの)は受け入れられないとの堅い立場を崩さなかった。

{2} ルクセンブルク(EU代表)
 2010年、15%の削減目標の達成は個別又は共同で行うべき。政策措置の協調的実施は重要。ベルリンマンデートでは途上国のコミットメントは、求められていない。途上国の問題については、条約7条2項を基にしたレビューが、将来について検討に価する道かもしれないと、その出口を示唆した。

{3} ロシア
 いわゆるAnnex[1]バブルという第3条の修正案を提出した。内容は、Annex[1]国総計でCO2換算で×トンを超えない。各国がネットのCO2換算の数値目標を決め、Annexとして付けるというもの(詳細は、附属書等に譲っているので、具体的内容は不明)。

{4} 米国
 京都での合意が重要である。EUバブルは問題である。差異化の考え方を理解する、ロシア提案は興味深い。米国はこれまで一律目標の立場をとっていたが、限定的で注意深い差異化の可能性を検討する用意があるとして、初めて差異化に理解を示す発言をした。

3.組織事項

(1)条約の批准状況
 現在167ヶ国+EUが締約国。

(2)手続規則の採択
 議長より、手続規則案の22条のパラ1(ビューロー構成)及び42条パラ1(採択手続き)を除き採択する提案があったが、ベネズエラ、サウジアラビア、タンザニア等が一部を除いて採択することには賛成できない旨述べ、他方、小島嶼国、オランダは42条パラ1を除き採択して差し支えない旨述べた。このため、42条以外の手続規則を事実上適用しつつ、42条につき協議を続行することとなった。

(3)議題の採択
 クウェートの改正提案の議題の中での取り扱いの順番及び6ヶ月ルールとの関係が問題とされたが、条約事務局からの説明により、説明付きで原案通り採択された。

(4)議長以外のビューローの選出
 締約国会議のビューローが構成できずかねてより問題となっていたが、関係の地域グループで産油国を入れるよう配慮がなされた結果、ビューローが選出された。副議長として、ガーナ、グルジア、カナダ、ドイツ、マーシャル諸島、ホンジュラス、ベネズエラが、SBSTA及びSBIの議長としてそれぞれ、マレイシア、セネガルが、ラポラトゥールとしてポーランドが選出された。

(5)オブザーバーの承認
 事務局文書に登載されていたNGO等の傍聴資格がすべて承認された。

[2].COP3本会議(午後)の概要

1.補助機関等からの報告及び勧告の採択

 SBSTA、SBI、条約13条に関するアドホックグループ(AG13)及びAGBMそれぞれの議長から、COP2以降の活動について報告があり、これがtake noteされるとともに、提出された決定案のうち、「98-99予算案」及び「第4回締約国会議に関する決定案」は別途採択することとし、残りは異議なく採択された。また、SBSTAの報告の一環として、IPCCボーリン前議長からIPCCの活動の成果とCOP3での決定の意義についての報告が行われた。また、報告の終了後、クタヤール事務局長より、同氏の9年間のIPCCへの貢献が評価された。
 さらに、エストラーダAGBM議長からは、8回までのAGBM会合の成果が報告された。残っている問題として、{1}GWP等と排出量の推定方法、{2}シンク、{3}第1回の議定書締約国会合において決定すべき事項、{4}ブラジル提案(Clean Development Fund 等)、{5}全締約国の将来のコミットメントの発展があり、このうち特に{5}はベルリンマンデートの枠外であり、締約国会議本会議で検討されるべきである。対策の強化についての様々な懸念は根拠のないものであり、拘束力のある目標が課せられれば、取組みには弾みがつくと期待される。また、一部の先進国及び途上国に、京都での合意を妨げるような姿勢が見られることに対する懸念が表明された。

2.全体委員会の設置

 全体委員会の設置が異議なく承認され、議長団は、AGBMの議長団をそのまま活用することとし、AGBMのエストラーダ議長がそのまま全体委員会の議長を務めることとなった。

3.本会議と全体委員会の事務振り分け

(1)全体委員会は、議定書の採択に向けた作業を担当。
(2)本会議では、エボリューション、ブラジル提案等を含む条約の将来を議論することを提案。これに対し、タンザニア(G77)、インド、中国、サウジアラビア等が、京都会議の主目的はベルリンマンデートに基づく議定書の採決であり、エボリューション等途上国のコミットメントに係る問題を議論することには反対意見を表明。米国、豪は、ベルリンマンデートの枠外のものこそ、あらゆる問題を扱う本会議で議論すべしとし、提案を支持。本件については、12月3日の本会議にて再検討することとなった。

4.今後の本会議日程

 今後、本会議は3日(水)午前と5日(金)午後に開催される。

5.ハイレベルセグメント

p>  8日から10日まで予定されており、冒頭、橋本総理の挨拶がある。現時点で136ヶ国が発言の登録をしており、3日18時に登録が締め切られる。ステートメントの時間は5分間。なお、会期は10日で終了し、延長はない旨議長から発言があった。

[3].全体委員会

 全体委員会の第1回会合が、1日の午後8時から開催され、次のとおり、明日からの非公式グループによる議論の進め方が決められた。
 {1}QELROs(エストラーダ大使の議長で2日午前開催)
 {2}組織的事項(柴田公使の議長で2日午前及び午後開催)
 {3}途上国問題(エボリューション)(2日午後開催)
 {4}シンク(2日夜開催)

連絡先
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報道サブ担当
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