報道発表資料

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1999年05月24日

川鉄千葉クリーンパワーステーション計画について

環境庁は、卸供給発電(IPP)として計画されている川鉄千葉クリーンパワーステ-ション(41万kW)について、5月24日、環境保全上の観点からの意見を通産省に対して述べた。卸供給発電は、電源開発調整審議会に諮られないため、通産省がその立地に際し環境庁と調整することとしている。環境庁が卸供給発電に対して意見を述べたのは、昨年10月の神鋼神戸発電所に次いで2度目。
 環境庁の意見は、既設製鉄所も含めた大気汚染対策の実施や高濃度発生時の迅速な対応、二酸化炭素削減対策の実施などを内容としている。
 通産省では、環境庁の意見を踏まえて、事業者を指導するとしている。

1.卸供給発電について

 平成7年12月に施行された改正電気事業法により、許可を受けない非電気事業者でも入札制度を通して自由に発電事業に参入すること、いわゆる卸供給発電(IPP;Independent Power Producer)が可能となった。
 卸供給発電は、通常の発電所と異なり、電源開発調整審議会の審議の対象となっていないが、通商産業省の省議決定による環境影響評価の対象となるもの(火力発電所では15万kW以上)については、環境影響評価が実施され、それに対して環境庁が意見を述べることとしている。
 なお、環境影響評価法の全面施行後(本年6月12日以降)は、卸供給発電事業についても、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるものについては、同法に基づく環境影響評価の対象となる。

2.川鉄千葉クリーンパワーステーションの概要

事 業 者 川崎製鉄(株) 最大出力 41.04万kW
計画位置 千葉市中央区川崎町(千葉製鉄所内) 燃  料 都市ガス 約15万t/年
用  地 約2.5万m2(千葉製鉄所全体で約872万m2) 運転開始 平成14年6月
発電方式 ガスタービン及び汽力(コンバインドサイクル)

3.環境庁意見の内容

 別紙のとおり

      川鉄千葉クリーンパワーステーション計画に対する環境庁意見

 川鉄千葉クリーンパワーステーション計画は、大都市地域に設置される火力発電所の計画であり、環境保全上特段の配慮が必要とされる。こうした点を考慮し、当該計画に対し以下の意見を提出するので、通商産業省におかれては事業者を適切に指導されたい。

 1.

発電所計画地周辺の一部の大気環境測定局においては、二酸化窒素の環境基準を超 過しているため、通商産業省におかれては、下記につき事業者を適切に指導されたい。

(1) 新設発電所において、最新の燃焼技術及び排出ガス処理対策を導入するとともに、既設コンバインド発電所においても排出ガス処理対策を講じ、これら発電所からの排出ガスの厳格な管理を行うことにより、両発電所からの窒素酸化物年間排出量の合計を、事業者が既に計画しているとおり200トン未満とすること。
 特に、新設発電所については、起動時等の不安定時における窒素酸化物排出濃度の一層の低減に努めること。
(2) 本計画の実煙突高が同規模の他の発電所と比較して低く、気象条件によっては窒素酸化物の着地濃度が高濃度となるおそれがあることから、排出ガス排出速度の向上、煙流の乱れ防止等の対策による有効煙突高の確保などにより、大気環境保全上の支障を生じないよう努めること。
 また、高濃度発生時には、地元自治体の要請に迅速に対応して、既設設備を含めてばい煙排出量の削減対策を講じること。
(3) 窒素酸化物の排出等に係る事後監視結果については、既設コンバインド発電所その他の既設発生源に関するデータを含めて住民への情報提供を適切に行うこと。
 2. 東京湾は、水質汚濁に係る環境基準の達成状況が芳しくなく、富栄養化した海域であることから、当該海域に放流される温排水については慎重な配慮が望まれる。
 このため、運転開始前後における周辺海域の水質・水温及び海生生物の監視を確実 に行うよう、通商産業省におかれては事業者を適切に指導されたい。
 3. 温排水による海域への影響を抑制するとともに、製鉄所全体から発生する二酸化炭素を削減するため、発電設備における熱効率の向上や工場内外における排熱の有効利用の検討が進められるよう、通商産業省におかれては事業者を適切に指導されたい。
連絡先
環境庁企画調整局環境影響審査室
室 長  小林正明(内6231)
 審査官 瀧口博明(内6236)