報道発表資料

この記事を印刷
1999年06月17日

生物多様性国家戦略の点検結果(第3回)について

生物多様性国家戦略に基づく国の施策の実施状況について、生物多様性条約関係省庁連絡会議として第3回の点検を行い、本日開催された同連絡会議において、平成10年度の施策の状況と今後の課題に関する点検結果が了承された。
 今回の点検は平成10年度に実施した施策を主な対象として行い、生物多様性保全のための新たな地域指定、哺乳類・鳥類、汽水・淡水魚類のレッドリストの改訂、ノグチゲラ保護増殖事業や中国から贈呈されたトキの飼育の開始、地域との協力や各省庁の連携による河川、海岸、森林などを活用した教育・普及啓発の取組、生物多様性の現状把握やその保全のために必要な情報の収集、管理、提供を行う生物多様性情報システムの運用が開始されるなどの取組が関係省庁において進められたことが示された。
 また、今回の点検作業と併せて実施した関係する主要な公益団体の取組状況調査においても、引き続き各種の取組が行われている状況が明らかになった。
 他方、地域レベルでの取組の促進などが今後の各省庁共通の課題として位置づけられた。
 この点検結果については、本日の公表の後、約1ヶ月間にわたり、国民の意見を募集し、取りまとめ関係省庁等にも提供し、関係省庁等の各種施策への生物多様性の観点の組込みを徹底していく。

1 国家戦略の点検について

 生物多様性国家戦略第4部第3節において「生物多様性条約関係省庁連絡会議は、国家戦略に基づく施策の円滑な推進を図るため、毎年、その実施状況を点検し、その結果を公表する。」こととされていることに基づくもので、今回が第3回である。

2 対象施策

 今回の点検は原則として、国が、

  • 平成10年度に実施した、
  • 生物多様性の保全又はその構成要素の持続可能な利用に関わる施策のうち、
  • 主として当該年度に新たに取組が開始されたか、新たな進展があったもの及び継続施策にあっては重要なもの

を対象にした。

3 点検作業の取りまとめ方法

  • 関係省庁連絡会議の構成省庁において、それぞれの施策について個別にその内容を概括した個票を作成、これを事務局(環境庁)で国家戦略の構成に沿って整理し、原データとして取りまとめた。
  • 国家戦略の記述を11の主要な施策分野に再整理し、それぞれの分野ごとに個票の施策の記述をもとに、取組の状況を要約、記載するとともに、今後重点的に取り組むべき事項について今後の課題として記述した(資料1)。

4 点検結果の概要は、以下のとおり。

  • 国の基本方針又は計画との連携については、関係行政機関相互の緊密な連携・協力を確保するなどにより、「21世紀の国土のグランドデザイン」の総合的かつ効果的な推進を図るための取組が行われた。
  • 保護地域の指定及び管理については、自然公園、鳥獣保護区などの保護地域の見直しや生息地保護区、天然記念物、保護林について新たな指定等が進められた。
  • 国土空間の特性に応じた保全については、多様な生き物が生息する身近な自然を回復・整備し、ネットワーク化を図る自然共生型地域づくり事業などが推進された。
  • 野生動植物の保護管理としては、哺乳類・鳥類、汽水・淡水魚類のレッドリストの改訂・公表やノグチゲラ保護増殖事業が開始されるなどの取組が行われた。また、中国から贈呈されたトキの飼育が佐渡トキ保護センターにおいて開始された。
  • 社会資本整備に伴う生物多様性保全への配慮としては、環境影響評価法に基づき、対象事業の種類ごとに生物多様性の確保及び生態系の保全を含めた環境影響評価に係る技術指針が制定されるとともに、生物多様性の確保等に関する環境影響評価の具体的な技術手法について検討が進められた。
  • 農林水産業、野外レクレーション及び観光や遺伝資源の保存と利用などの分野においても、生物多様性の構成要素の持続可能な利用という観点に配慮した取組が行われた。
  • 教育及び普及啓発については、地域の協力や各省庁の連携等により、海辺、河川、森林などの活用による取組、天然記念物の整備活用などの取組、自然体験学習を推進する総合環境学習ゾーン・モデル事業などが進められた。
  • 現状把握及び調査研究については、生物多様性センターが開設され、生物多様性情報システム(J-IBIS)の運用が開始されるなどの取組が進められた。
  • 国際協力については、各種条約に基づく取組や多国間又は2国間の協力のほか、NGO等への支援などの様々な分野にわたり、種々の取組が行われた。

5 公益団体における取組

 今回の点検作業に当たっては、国による取組の把握だけでなく、民間団体(生物多様 性に関わる主要な公益法人に限定)による取組についても、関係省庁連絡会議としてアンケート調査を実施し、その結果を取りまとめた(資料2)。

6 国民意見の募集について

(1)点検結果資料の入手方法

 以下の方法により情報を提供いたします。

  • 本事務局(環境庁自然保護局計画課)において資料の配布
  • インターネットによる閲覧(近日中に掲載予定)
    :環境庁ホームページ(http://www.eic.or.jp/eanet)
    (掲載資料は、記者発表資料、点検報告書本文及び公益団体の取組状況のアンケート結果)
  • 郵便による送付
    郵送を希望される方は、270円切手を添付した返信用封筒(A4版、住所氏名を明記)を同封の上、下記宛先まで御連絡ください。
    (資料は、記者発表資料、点検報告書本文、国の取組状況個票及び公益団体の取組状況のアンケート結果)
  • (2)意見の提出方法

    • 郵送、ファクス又は電子メールにより受け付けます。御意見の様式は問いませんが、標題、該当する点検項目を明記してください。
       なお、内容については公表を前提としたものとします(意見の公表の際、匿名を希望される方はその旨明記してください)。
    • 提出期限 平成11年7月16日(金)(必着)
     生物多様性条約関係省庁連絡会議事務局  
      宛 先:〒100-8975
           東京都千代田区霞ヶ関1-2-2 
           環境庁自然保護局計画課内 
       TEL:03-3581-3351 ex.6439/6482 
       FAX:03-3591-3228        
      E-mail:biodiv@eanet.go.jp     
                  (担当:田中/伊巻)

    生物多様性国家戦略の点検結果(第3回)

    連絡先
    環境庁生物多様性条約関係省庁連絡会議
    (事務局:環境庁自然保護局計画課)
     課 長 小林 光  (6430)
     企画官 柴垣 泰介(6490)
     担 当 伊巻(6482)/田中(6439)