報道発表資料

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1999年03月10日

悪臭防止法施行規則の一部改正等について

1.悪臭防止法では、都道府県等が悪臭の排出形態に応じ、敷地境界、気体排出口、排出水の各々について定められた範囲で規制基準を設定できるとされている。 平成7年の悪臭防止法改正で新たに導入した臭気指数規制に係る規制基準については、これらのうち、現在敷地境界に係る規制基準に関し、その範囲が設定されている。 今般、残る基準のうち、煙突等の気体排出口における臭気指数規制基準の設定方法等について、3月12日付で悪臭防止法施行規則の一部を改正する総理府令及び本総理府令の実施に必要な環境庁告示が公布され、9月13日から施行(一 部公布日に施行)されることとなった。

2.また、今回の上記総理府令の改正では、気体排出口における臭気指数規制基準の算出方法の設定のほか、災害や病気等により臭気判定士免状の更新をやむを得 ず受けられない場合の救済措置を定めている。

3.環境庁としては、残る排出水における臭気指数規制基準の設定方法について検討を進めるなど、今後とも、悪臭防止法に基づく悪臭防止対策の推進を図ってい く。

1.経緯
 平成7年に悪臭防止法が一部改正され、従来の特定の物質の排出濃度に着目した規制(物質濃度規制)に加えて、人間の嗅覚を用いて測定する方法による規制(臭気指数規制) が導入された。
 これは、ある発生源から特定悪臭物質が多種排出され、これらが相加・相乗されるなどして人の嗅覚に強く感じられて悪臭苦情の原因となるケースが生じていること(いわゆる 複合臭による悪臭の問題)、また、多種多様な未規制の悪臭原因物への実効性のある対応が困難であることが指摘されていたこと等から、これらに適切に対応するための手法とし て導入されたものである。
 また、悪臭防止法では、悪臭の排出形態に応じ、敷地境界、気体排出口、排出水の各々について規制基準を定めるとしており、臭気指数規制に係る規制基準については、これま で敷地境界に係る規制基準の設定範囲を悪臭防止法施行規則で定めている。今般、臭気指数規制に係る気体排出口の規制基準の設定方法を内容とする中央環境審議会答申「悪臭防 止対策の今後のあり方について(第二次答申)」を踏まえ、同基準の設定方法について定める悪臭防止法施行規則(総理府令)の一部改正及びその実施に必要な環境庁告示の制定 を行うこととした。
 さらに、悪臭防止法では、平成7年の臭気指数規制導入の際、地方公共団体が臭気指数の測定を委託できるものとして臭気判定士の資格制度を創設しており、その免状の更新時 期が本年7月より順次到来することとなっている。このため、災害や病気等により免状の更新をやむを得ず受けられない場合の救済措置を設けるため、上記総理府令の一部改正を 行うこととした。
 以上の総理府令及び環境庁告示については、3月12日付で公布し、9月13日付で施行(免状の更新に係る救済措置に関する規定は公布日に施行)することとした。

2.改正の内容

(1)

悪臭防止法では、都道府県知事が定める気体排出口における臭気指数規制基準(以下「第2号規制基準」という。)は、事業場敷地境界線上の規制基準値(以下「第1 号規制基準」という。)を基に、気体排出口からの臭気の拡散状況を勘案して、気体排出口における臭気排出強度(排出ガスの臭気指数及び流量を基礎として算出される値)又は 臭気指数の許容限度として定めることとなっている。これに基づき、具体的には次のような方法で、第2号規制基準を定めることとした。

  • 第1号規制基準との関係第2号規制基準は、気体排出口から拡散した臭気の地上1.5mの高さでの最大濃度が、第1号規制基準を超えないように定めるものとした。
  • 施設の性格を反映した許容限度の算出気体排出口の高さによって臭気の大気拡散が異なるため、気体排出口の高さが15メートル以上の施設と未満の施設とに分けて、次のように設定方法を定めた。
{1}

気体排出口の高さが15メートル以上の場合

・指標 :臭気排出強度
・大気拡散式 :建物の影響による拡散場の乱れ(ダウンドラフト)を考慮した大気拡散式

 悪臭発生施設は一般的に小規模施設が多く、臭気の拡散に対する建物の影響も大きいことから、建物の影響などを考慮した規制式を用い、これに建物条件や排出ガスの流量等を あてはめることにより、気体排出口からの臭気の排出量(臭気排出強度)を求めることとした。

{2}

気体排出口の高さが15メートル未満の場合

・指標 :臭気指数
・大気拡散式 :流量を測定しない簡易な方法

 気体排出口の高さの低い施設については、精度の面から見て、流量を測定しない簡易な算定方法を用いることも許容されると考えられ、また、小規模な施設についてまで流量の 測定を行うこととすることは実際上困難であることから、臭気指数による規制を行うこととした。

(2) また、臭気判定士免状の更新に関し、災害や病気等やむを得ない理由で免状の有効期間が満了する日までに手続きができない者についての救済措置規定を追加した。

3.悪臭防止法施行規則改正に伴う環境庁告示の制定・改正
 悪臭防止法施行規則の改正に併せ、本規則の実施に必要な細部の事項について示す以下の環境庁告示の改正及び制定を行うこととしている。

  • 「臭気指数の算定の方法」の一部改正について臭気排出強度の測定方法等について定めた。
  • 「周辺最大建物の高さ及び周辺最大建物と敷地境界の最短距離の算定の方法」を定める告示について臭気の拡散に影響を与える周辺最大建物の高さ及び敷地境界までの最短距離の算 出方法を定めた。
  • 「排出ガスの拡散幅及び排出ガスの流れの中心軸の上昇高さの算定の方法」を定める告示について臭気を含む排出ガスの拡散による広がりや、排出ガスのもつ温度・排出速度による 上昇高さの算出方法を定めた。

連絡先
環境庁大気保全局大気生活環境室
室  長:柏木順二(内6540)
 室長補佐:高橋達男(内6542)
 担  当:高橋一彰(内6545)