報道発表資料
セミナーには、日本から水俣病患者、被害地域住民、関係団体、学識経験者、関係自治体職員及び環境庁職員が参加し、それぞれの立場から、水俣病の原因究明過程、健康影響、地域社会への影響等、水俣病の経験を発表し、公害の未然防止や公害が生じた際の迅速な対応の重要性を始めとする教訓をフィリピンの行政官、企業担当者、研究者、関係団体等に伝える。
(経緯)
水俣病問題の解決に当たっては、平成7年12月に閣議決定された内閣総理大臣談話において、当時の村山総理が「水俣病の悲劇を教訓として謙虚に学び、世界の国々に対し、我が国の経験や技術を活かして積極的な協力を行うなど国際的な貢献をしてまいる所存。」と表明した。
これを受けて環境庁は、特に開発途上国を中心に水俣病の経験から得た教訓を伝えるため、(財)水と緑の惑星保全機構への委託により、平成8年度にはインドネシアにおいて、同国環境省の後援を得て1回目のセミナーを開催したところである。今回のセミナーは2回目であり、水銀汚染を始めとする環境問題の解決に向け取り組んでいるフィリピンにおいて開催するものである。
(日時) | 平成10年2月12日(木)午前9時~午後6時 | |
(場所) | フィリピン国際会議場(メトロ・マニラ、パサイ市) | |
(主催) | (財)水と緑の惑星保全機構 | |
(後援) | フィリピン環境天然資源省 環境・管理におけるフィリピン第3レベル教育組織 | |
(協力) | 日本国環境庁 | |
(セミナーでの発表者) | 別紙プログラムのとおり。 | |
(フィリピン側傍聴者) | 約150人 行政担当者、企業や経済団体の環境担当者、教育関係者、学生、地域住民団体、漁業組合、環境保護団体など |
(参考)
フィリピンでは、他の開発途上国と同様、金を精錬する時に水銀を加えてアマルガムという合金を形成させ、その後、熱処理をして水銀を蒸発させることによって金を精錬する手法が用いられている。その過程で放出された水銀による環境汚染が問題となっている。
この金精錬過程で放出される水銀は無機水銀(金属水銀)であり、水俣病の原因物質であるメチル水銀(有機水銀の一種)とは異なる。しかし、一般に無機水銀は自然界で有機化されることが知られている。このため、フィリピンにおいても、金精錬に従事する労働者が無機水銀の蒸気を吸い込むことによって生じる無機水銀中毒症だけでなく、メチル水銀を含んだ魚を大量に食べることによって生じる水俣病(メチル水銀中毒症)の発生の可能性も皆無とは言えない。
平成9年11月に、フィリピンにおいて、国立水俣病総合研究センターと同国保健省との共催により開催された「金採掘に起因する水銀の健康影響に関する国際ワークショップ(国際学術会議)」におけるフィリピン側から発表された、環境中の水銀汚染の調査と、金鉱山や水銀鉱山周辺の住民健康調査についての報告や、その後の現地視察からは、現時点では、フィリピンにおけるメチル水銀中毒症の患者は確認されていない。しかし、健康被害の未然防止の観点から更なる調査・研究が求められているところである。
日本・フィリピン水俣病経験の普及啓発セミナー |
日時: | 平成10年2月12日(木)午前9時~午後6時 |
場所: | フィリピン国際会議場(メトロ・マニラ、パサイ市) |
主催: | (財)水と緑の惑星保全機構 |
後援: | フィリピン環境天然資源省環境管理局 環境・管理におけるフィリピン第3レベル教育組織 |
協力: | 日本国環境庁 |
08:30-09:00 | 出席者受付 | ||||
09:00-09:20 | 開会式 | ||||
歓迎挨拶及び出席者紹介 | |||||
マルリト・カルデナス | フィリピン環境天然資源省環境管理局長 | ||||
挨拶 | |||||
ビクター・ラモス | フィリピン環境天然資源省大臣 | ||||
大木 浩 | 日本国環境庁長官 (代読:特殊疾病対策室長石塚正敏) | ||||
遠藤 茂 | 在フィリピン日本国大使館公使 | ||||
ガイダンス | |||||
09:20-09:30 | ガイダンスビデオ放映 | ||||
09:30-09:40 | 「セミナーの目的と狙い」 | ||||
古山 浩之助 | (財)水と緑の惑星保全機構事務局長 | ||||
09:40-09:50 | 「セミナーの意義」 | ||||
ジュリアン・アメーダー | フィリピン環境天然資源省環境管理局副局長 | ||||
09:50-10:20 | 休憩 | ||||
日本からの報告1 | |||||
10:20-10:40 | 「水俣病問題の概要(その1)」 | ||||
田村 憲治 | 国立水俣病総合研究センター国際・総合部社会科学室長 | ||||
10:40-10:55 | 「水俣病問題の概要(その2)」 | ||||
石塚 正敏 | 環境庁環境保健部特殊疾病対策室長 | ||||
10:55-11:05 | 「水俣病問題と熊本県の取組」 | ||||
水本 二 | 熊本県環境生活部水俣病対策課長 | ||||
11:05-11:15 | 「水俣病問題と水俣市の取組」 | ||||
志水 恒雄 | 水俣市立水俣病資料館館長 | ||||
11:15-11:25 | 「水俣病患者として伝えたいこと」 | ||||
杉本 栄子 | 水俣市立水俣病資料館語り部 | ||||
11:25-11:35 | 「水俣病患者を家族として」 | ||||
開田 理巳子 | 水俣市立水俣病資料館語り部 | ||||
11:35-11:45 | 「NGOとしての支援活動」 | ||||
吉永 利夫 | 財団法人水俣病センター相思社 | ||||
11:45-12:25 | 質疑応答 | ||||
12:25-13:25 | 昼食(レストラン:ビア・マレイ) | ||||
13:25-14:00 | ビデオ放映「水俣湾における公害対策」 | ||||
日本からの報告2 | |||||
14:00-14:10 | 「水俣病問題と新潟県の取組」 | ||||
佐々木 和夫 | 新潟県福祉保健部参事生活衛生課長 | ||||
14:10-14:20 | 「新潟水俣病被害者として伝えたいこと」 | ||||
樋口 幸二 | 新潟水俣病被害者の会会長代行 | ||||
14:20-14:30 | 「NGOとしての支援活動」 | ||||
高野 秀男 | 新潟水俣病共闘会議事務局次長 | ||||
14:30-14:50 | 「日本の環境問題と対策」 | ||||
猿田 勝美 | 神奈川大学名誉教授 | ||||
14:50-15:30 | 質疑応答 | ||||
15:30-16:00 | 休憩 | ||||
フィリピンからの報告 | |||||
16:00-16:15 | 「フィリピンの環境問題と対策」 | ||||
ニコメデス・ブリオネス | 環境保全・管理におけるフィリピン第3レベル教育組織理事長 | ||||
16:15-16:30 | 「フィリピンの水銀汚染問題と対策」 | ||||
マルリト・カルデナス | 環境天然資源省環境管理局長 | ||||
16:30-17:10 | 質疑応答 | ||||
17:10-17:50 | 全体討議 | ||||
17:50-18:00 | 閉会式 | ||||
挨拶 | |||||
古山浩之助 | (財)水と緑の惑星保全機構事務局長 | ||||
ロジャー・グズマン | 環境保全・管理におけるフィリピン第3レベル教育組織代表取締役会議長 |
- 連絡先
- 環境庁企画調整局環境保健部保健企画課特殊疾病対策室
室 長 :石塚 正敏(内6330)
課長補佐 :正木 清郎(内6331)
担 当 :田中 良典(内6336)