報道発表資料
新潟県上越市地先公有水面におけるふ頭・保管施設用地、発電所用地等の整備の
ために行われる直江津港荒浜ふ頭地区公有水面埋立、及び愛知県知多郡武豊町地先
公有水面における化学工業用地、食料品製造業用地等の整備のために行われる衣浦
港内公有水面埋立について、公有水面埋立法第47条第2項の規定に基づき、運輸
大臣より環境上の観点からの意見照会があったことから、平成11年3月16日付
けで水質保全対策、大気環境対策、道路交通騒音対策、計画的な環境監視等に関す
る環境庁長官に意見を提出した。
【環境庁長官の意見】
[1].直江津港荒浜ふ頭地区公有水面埋立
1. | 本埋立地の周辺の一部海域においては、近年水質の悪化傾向が見られており、将来的 に水質が悪化し、環境基準を超過する恐れがあることから、当該海域の水質保全に万全を 期するため、次の措置を講じる必要がある。 |
(1) | 関川流域における汚濁負荷の削減対策を計画的かつ着実に実施すること。 |
(2) | 公共用水域定期水質測定の結果、継続的な水質の悪化が確認又は想定された場合にお いては、関係機関と連携の上、さらに追加的な対策の実施を検討すること。 |
2. | 本埋立地の背後地域における道路交通騒音は、現況及び将来(埋立地供用時)を通じ て多くの地点で環境基準を達成しておらず、要請限度を超過する地点も見られることから 、次の措置をはじめとした積極的な道路交通騒音対策を講じる必要がある。 |
(1) | 工事中においては、建設残土や資機材の搬入に係る陸上輸送を最少限度に低減すると ともに、最新の道路交通騒音調査結果等に基づき陸上輸送の経路及び時間を継続的に検証 し、その結果により輸送経路等を見直すこと。 |
(2) | 供用時においては、関係機関と協力して、共同配送を推進し、荷役業者に対して適正 な輸送経路の利用を要請するとともに、本埋立地周辺の道路交通騒音について環境監視を 行うこと。 |
3. | 汀線変化の予測については、突堤・傾斜護岸の設置、養浜等の環境保全対策の実施を 前提としていること、及び予測結果は長期的な変動傾向を示すものであることから、汀線 後退の状況を適宜確認していくことが重要である。 このため、環境保全対策の実施前後に おいて継続して環境監視を行い、環境保全対策による効果を確認するとともに、必要に応 じ追加的な対策の実施を検討する必要がある。 |
4. | 計画予定地周辺等における生物生息・生育環境を保全するため、次の措置を講じる必要がある。 |
(1) | 頸城海岸で確認されている砂丘植物群落等の貴重な植物の保全を図るため、工事中に 影響が及ばないよう十分に配慮するとともに、定期的に環境監視を実施し、その結果を踏 まえ、必要に応じ適切な措置を講じること。 |
(2) | 汀線付近の護岸構造として採用される傾斜護岸については、その設計及び材料選定の 段階において、過去の類似事例等を参考とし、さらに検討を重ね、生物生息・生育環境の 保全の観点からより効果的な護岸構造となるよう努めること。 |
(3) | 本埋立事業と密接不可分の関係にある上越市の公共事業計画地においては、貴重な動 物・植物が確認されており、移植などの適切な保全対策が重要であるため、事業者は、貴 重な動物・植物の保全が図られるよう、移植先の検討、移植後の定着程度の定期的な確認 などについて、上越市と十分に連絡調整を行うこと。 |
[2].衣浦港内公有水面埋立
1. | 本埋立計画地の周辺海域では水質汚濁に係る環境基準を達成しておらず、富栄養化し た海域であること及び本埋立事業の実施により周辺海域の一部で水質が悪化することにかんがみ、当該海域の水質保全に万全を期するため、予測の前提となっている三河湾流域に おける下水道の整備等の水質保全対策を計画的かつ確実に実施するほか、次の措置を講じる必要がある。 |
(1) | 本埋立地からの排水の処理については、燐及び窒素の処理を含め、設置時における最 高水準の高度処理施設を設置するとともに、適正な運転管理を行い、埋立地の利用に伴い 発生する新たな水質汚濁負荷量を極力削減するよう努めること。 |
(2) | 三河湾における下水道の高度処理の導入について早急に具体的な検討を行い、計画的 に整備を進めること。 |
2. | 本埋立地の背後地域においては、浮遊粒子状物質に係る大気環境基準が達成されてお らず、二酸化窒素濃度も比較的高水準で推移している。さらに、道路交通騒音については 、将来とも環境基準の超過が予測される。このため、以下の措置をはじめとした大気環境 対策、道路沿道環境対策を講じる必要がある。 |
(1) | 埋立地に立地する工場・事業場に対しては、良質燃料の使用、低NOx型燃焼機器ほ か最新の公害防止技術の導入等の大気環境対策を講じるよう指導すること。 |
(2) | 特に工事中については、臨港道路が未供用で国道247号への大型車流入交通が発生 することから、購入山土の海上輸送等により発生交通量を低減すること。 |
3. | 工事中及び埋立地利用時を通じて、関係機関と協力しつつ水質及び道路沿道大気・騒音も含めた環境監視を計画的に実施し、その結果を踏まえ適切な措置を講じる必要がある 。 |
直江津港荒浜地区公有水面埋立事業事業概要
1.事業位置
新潟県上越市大字夷浜字高ヶ濱98から同市大字遊光寺浜字砂原188を経て同市大 字下荒浜字塩場1019に至る間の地先公有水面(重要港湾直江津港港湾区域内)
2.目的
(1) | コンテナ輸送の拡大、船舶大型化等に対応した物流機能の強化・拡充(ふ頭・保管 施設用地) |
(2) | 将来の電力需要に対応したLNG火力発電所用地及び燃料補給施設の確保(発電所 用地) |
(3) | 賑わいと潤いのある港湾空間(親水性の高い緑地)の形成(緑地) |
3.出願者
新潟県
代表者 新潟県知事 平山 征夫
4.埋立面積
約99.2ha
5.土地利用計画
用途 | 面積(ha) | 構成(%) | 備考 |
---|---|---|---|
1} ふ頭用地 |
14.6
|
14.7
|
|
2} 保管施設用地 |
7.1
|
7.2
|
|
3} 発電所用地 |
69.4
|
69.9
|
|
4} 緑地 |
6.3
|
6.3
|
|
3} 道路用地 |
1.9
|
1.9※1
|
|
合計
|
99.2
|
100 ※2
|
※1 この他に土地利用の全体面積として、陸域に1.1haの道路用地がある。
※2 端数処理により面積合計は面積内訳の計と合わない。
6.埋立用材
用途 | 土量(万m3) | 構成(%) | 採取場所 |
---|---|---|---|
1}公共残土(山土) |
704.0
|
73.6
|
上越市有間川、長浜、西戸野 |
2}公共残土(建設残土) |
72.0
|
18.9
|
|
3}浚渫土 (海砂) |
181.0
|
7.5
|
直江津港荒浜ふ頭地区泊地 |
合計
|
957.0
|
100
|
7.工期
工事着手より6年間
8.これまでの主な手続きの経緯
平成8年8月9日 | 中央港湾審議会第159回計画部会において直江津港港湾計画に位置づけ |
平成10年6月2日 | 公有水面埋立免許の出願(対港湾管理者の長(新潟県知事)) |
平成10年7月27日 | 公有水面埋立免許の認可申請(対運輸大臣) |
平成10年10月2日 | 運輸大臣より公有水面埋立法に基づき環境庁長官へ意見照会 |
9.その他(関係法令)
(1) | 埋立てを行おうとする者は、都道府県知事(港湾区域内は港湾管理者の長)の免許 (国が行う場合は承認)を受けることとなっている。 【公有水面埋立法第2条、第42条】 |
(2) | 埋立区域の面積が50haを超える埋立て及び重要な港湾における埋立て等の免許(承 認)を行う場合は、主務大臣(港湾区域内は運輸大臣、その他は建設大臣)の認可を 受けることとなっている。 【公有水面埋立法第47条】 |
(3) | 埋立区域の面積が50haを超える埋立て及び環境保全上特別の配慮を要する埋立てに ついては、主務大臣が認可を行う場合に環境庁長官の意見を求めることとなっている 。 【公有水面埋立法第47条第2項、同法施行令第32条ノ2】 |
(4) | 閣議決定要綱に基づく環境影響評価案件に該当する。 |
(5) | 上越火力発電所の立地手続における環境影響評価については、第133回電源開発 調整審議会(1996年7月18日)において審議され、環境庁から意見は出されて いない。 |
衣浦港3号地公有水面埋立事業事業概要
1.事業位置
愛知県知多郡武豊町旭1番地及び1号地17番の2地先公有水面 (重要港湾衣浦港港湾区域内)
2.目的
(1) | 産業高度化のための工業用地の確保(化学工業、窯業、土石製品製造業用地) |
(2) | 背後地の都市計画道路の整備、住工混在の解消及び市街地整備のための都市開発用 地の確保(食料品製造業用地等) |
3.出願者
愛知県公営企業管理者
代 表 者:企業庁長 松島 淳登
4.埋立面積
約47.2ha
5.土地利用計画
用途 | 面積(ha) | 構成(%) | 備考 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
1} 化学工業用地 |
16.5
|
35.0
|
化学工業用地、道路用地 | ||||
2} 窯業・土石製品製造業用地 |
|
|
窯業・土石製品製造業用地、道路用地 | ||||
3} 窯業・土石製品製造業用地 |
|
|
窯業・土石製品製造業用地、道路用地 | ||||
4} 食料品製造業用地 |
|
|
食料品製造業用地、緑地、道路用地 | ||||
合計
|
47.2
|
100
|
※「{3}窯業・土石製品製造業用地」及び「{4}食料品製造業用地」は土地再開発用地に対応する用途。
6.埋立用材
用途 | 土量(万m3) | 構成(%) | 採取場所 |
---|---|---|---|
1} 浚渫土砂(埋立土砂) | 646.4 | 93.7 | 衣浦港内3号地地区泊地 |
2} 公共残土(埋立土砂) | 20.0 | 2.9 | 半田土木事務所管内(陸上輸送) |
3} 購入山土(表 土) | 23.6 | 3.4 | 幡豆郡吉良町(陸上輸送) |
合計
|
690.0
|
100
|
7.工期
工事着手より7年間
8.これまでの主な手続きの経緯
平成3年8月2日 | 中央港湾審議会第137回計画部会で衣浦港港湾計画に位置づけられる。 |
平成10年1月27日 | 公有水面埋立免許の出願(対港湾管理者の長(愛知県知事)) |
平成10年4月22日 | 公有水面埋立免許の認可申請(対運輸大臣) |
平成10年6月12日 | 運輸大臣より公有水面埋立法に基づき環境庁長官へ意見照会 |
9.その他(関係法令等)
(1) | 埋立てを行おうとする者は、都道府県知事(港湾区域内は港湾管理者の長)の免許 (国が行う場合は承認)を受けることとなっている。 【公有水面埋立法第2条、第42条】 |
(2) | 埋立区域の面積が50haを超える埋立て及び重要な港湾における埋立て等の免許(承 認)を行う場合は、主務大臣(港湾区域内は運輸大臣、その他は建設大臣)の認可を 受けることとなっている。 【公有水面埋立法第47条】 |
(3) | 埋立区域の面積が50haを超える埋立て及び環境保全上特別の配慮を要する埋立てに ついては、主務大臣が認可を行う場合に環境庁長官の意見を求めることとなっている 。 【公有水面埋立法第47条第2項、同法施行令第32条ノ2】 なお、当該案件は「環境保全上特別の配慮を要する埋立」に該当する(化学工業、 窯業・土石製品製造業に該当する工場が立地する埋立であって、その面積の合計が15 haを超えるもの)。 |
(4) | 閣議決定要綱に基づく環境影響評価案件に該当しない(埋立面積50ha未満)。 |
- 連絡先
- 環境庁企画調整局環境影響審査室
室 長:小林 正明(6231)
審査官:辻 祐司(6236)