報道発表資料
環境庁は、海外において日系企業が環境保全を図りつつ事業を行えるよう、進出先国の環境規制の状況、それに対応した先駆的取組をしている企業の事例等に関する情報・事例集づくり(日系企業の海外活動に係る環境配慮動向調査)を関係各位の協力を得つつ行っている。この度その初年度の結果として、フィリピンにおける情報・事例集がまとまった。
1. | 調査の背景 |
環境庁が実施した「在外日系企業の環境配慮活動動向調査」(平成7年度)において、海外に進出している日系企業にアンケート調査を行ったところ、日本政府に期待することとして「各国の環境に関する情報提供(マニュアルの作成)」に対し多数回答があった。 | |
2. | 調査の目的 |
上記調査結果を受けて、日系企業の海外活動に係る環境配慮への先駆的取組や経験に関する具体的な事例を収集し、情報として取りまとめ広く提供することにより、現在途上国で活動している他の企業やこれから進出しようとする企業が、今後より望ましい環境配慮を行うための参考とすることを目的に、初年度はフィリピンを対象国として調査を実施した。 | |
3. | 調査の実施方法 |
フィリピンに進出している日系企業に対し、環境配慮に関する具体的な取組事例についての現地実状調査を行うとともに、フィリピン政府に対し、環境規制の状況についてヒアリング等を行った。 | |
4. | 調査結果 |
フィリピンにおける現行の環境規制及び将来の規制強化に対応するため、各種処理装置の導入を行う事例に加え、製造工程の見直しによる汚染物質の排出削減(クリーンテクノロジー)を行い省エネ・省資源も同時に達成する事例が見られた。さらには、国際的にも通用する環境マネジメントシステム構築の努力を行う企業もあり、積極的な取組が明らかとなった。 | |
5. | 今後の対応 |
当庁としては、この情報・事例集をフィリピン日本人商工会議所をはじめとする関係者に広く配布することにより、既にフィリピンに進出している日系企業による環境への取組の更なる充実及び今後フィリピンに進出しようとする企業による環境保全への適切な取組の実施促進を図ることとしている。 また今後は、日系企業の進出の多い他の国において同様の調査を行う予定である。 |
(参考)各章の概要
第1章 | フィリピンにおける環境問題の現状と法規制等の動向 |
フィリピンにおける環境の状況、環境行政組織、法・規制の内容等についてまとめている。 | |
第2章 | 排水処理関連の事例 |
電子部品等を製造する企業によるクロム含有排水の適正処理、基板洗浄工程からの排水の処理、メッキ排水からのシアン除去、水質分析ラボの自社保有についての事例を紹介している。 | |
第3章 | 製造工程の工夫による環境負荷低減の事例 |
塗装工程等におけるクリーンテクノロジーの導入、省エネルギーへの取組等の事例を紹介している。 | |
第4章 | その他の取組の事例 |
グループ企業が一体となっての環境対策への取組み、工場内での廃棄物焼却炉の建設、中堅企業による低コストでの幅広い環境配慮、ノンフロン冷蔵庫の開発・販売、水不足に悩む地元への井戸の寄贈の事例を紹介している。 | |
第5章 | 環境マネジメントシステムを構築した事例 |
日本本社と一体となった環境マネジメントシステムの構築、社内の環境目標策定、ISO14001取得に向けた取組み、従業員の環境教育等の事例を紹介している。 | |
第6章 | フィリピン進出日系企業による座談会 |
進出した日系企業による座談会を行い、取り組んだ環境問題、環境規制の適用状況、廃棄物処理、従業員教育、外注先も巻き込んだ環境への取組の必要性等についての意見をまとめている。 |
- 連絡先
- 環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課環境協力室
室 長 :後藤正之(内線6742)
補 佐 :辻 昌美(内線6744)