報道発表資料

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1999年03月25日

「環境保全コストの把握及び公表に関するガイドライン~環境会計の確立に向けて(中間とりまとめ)」の公表について

3月25日に「環境保全コストの把握及び公表に関するガイドライン~環境会計 の確立に向けて(中間とりまとめ)」の公表を行った。
 このガイドラインは、平成8年に設置された「環境保全コストの把握に関する検 討会」における調査検討を踏まえた成果として発表するものである。
 今後は、今回のガイドライン案をベースに関係者からの意見聴取を行い、来年度 内を目途にガイドラインの完成を目指すとともに、その普及定着を図る。

1.環境庁の取組姿勢
  「環境会計」とは、従来、企業の財務分析の中に反映されにくかった環境保全に関する投資及び経費とその効果を正確に把握するための仕組みである。企業にとっては自社の環境保全への取組を定量的に示し、事業活動の環境保全の費用対効果を向上させることが可能となる。国民にとっては、企業の環境への取組状況を同じ尺度で比較する際に有効なツールとなる。
  環境庁では、我が国に環境会計の手法を確立し、普及することは環境政策の上で有意 義であると考え、その動きを支援するための取組を推進している。その一環として、今回のガイドライン案を公表し、企業における環境保全コストの把握や環境報告書での活用を容易にし、環境保全活動が促進されることを目指している。

2.取組の経緯
  毎年実施している「環境にやさしい企業行動調査」では、企業の多くが環境保全コストの把握の必要性を感じているが、現状では「定義や範囲がはっきりせず、どのように集計すべきか解らない」等の問題点が指摘されており、また、上場及び非上場企業の5割以上が環境保全コストに関する指針等を必要としていることが示されている。
  こうした結果を受けて、環境庁では、平成8年に「環境保全コストの把握に関する検討会(座長:河野 正男 横浜国立大学教授)」を設置し調査検討を進めてきた。 今般公表するガイドライン案は、その検討会の議論を踏まえた成果として発表するものである。

3.今後の予定
  今後は、今回のガイドライン案をベースに関係者からの意見聴取を行い、来年度内を目途にガイドラインの完成を目指すとともに、その普及定着を図る。

4.ガイドライン案の骨子

 1)

 環境保全コストの把握・公表の意義と効果

  1. 環境コストの把握が健全な事業経営にとって必要不可欠の要素となりつつある。
  2. 環境保全コストの公表が事業者を評価する尺度となりつつある。
  3. 環境保全コストの把握・公表のためのガイドラインの必要性が高まっている。
 2) 環境保全コストの定義
  「環境保全コスト」とは、環境保全のための投資額と当期費用と定義する。
 3) 環境保全の定義
  「環境保全」とは、事業者等の事業活動により環境に加えられる影響で、環境保全 上の支障の原因となるおそれのある環境負荷の低減のための取組と定義する。
 4) 集計に当たっての基本的考え方
  環境規制順守のため又は環境負荷低減のためのみに支出されたコストは全額、 その他のコストは通常コストとの差額等を集計することを原則とする。
 5) 環境保全の取組等との関係
  環境保全コストに対応する取組内容、効果、環境負荷データ等が環境報告書に記載 されることが望ましい。
 6)

環境保全コストの分類

  1. 環境負荷低減に直接的に要したコスト(例:公害防止施設等)
  2. 環境負荷低減に間接的に要したコスト(例:環境マネジメント等)
  3. 生産、販売した製品等の使用・廃棄に伴う環境負荷低減のためのコスト (例:リサイクル、回収、再商品化等)
  4. 環境負荷低減のための研究開発コスト(環境R&Dコスト)
  5. 環境負荷低減のための社会的取組に関するコスト (例:事業所及び周辺の環境改善対策等)
  6. その他環境保全に関連したコスト
 7)

環境保全コストの具体的分類

  1. 環境保全コストの上記分類に該当する具体的なコストの当てはめ方について 詳しく記載している。
  2. 環境報告書における記載方法について留意点を付記している。
 8)

環境保全コストの把握に当たって

 事業者の実状に即した利用ができるよう、段階的な取組や勘定科目の取捨選択、 追加を許容している。

 9)

環境保全コストの公表に当たって

 環境報告書による公表を前提とした、モデル集計表を2種類添付している。

関連:環境保全コストガイドホームページ

「環境保全コストの把握及び公表に関するガイドライン」
~環境会計の確立に向けて~中間とりまとめ


連絡先
環境庁企画調整局調査企画室
室長:小木津 敏也 (6250)
 補佐:川上 毅   (6251)
 担当:木村 恒二  (6252)