報道発表資料

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1999年03月29日

G8環境大臣会合の結果について

  3月26日(金)から28日(日)まで、ドイツのシュヴェリーンにおいて、G8環境大臣会合が開催され、我が国から真鍋大臣が出席した。
 今回の会合においては、「グローバリゼーションと環境保護」、「気候変動」、「環境と運輸」等を議題として議論が行われ、その成果はコミュニケとして取りまとめられた。
 本会合の成果は、議長国であるドイツのトリッティン環境大臣から、本年6月のケルン・サミットの議長であるシュレーダー首相に報告される予定である。

1.概要

日  時

平成11年3月26日(金)~28日(日)
場  所 ドイツ(シュヴェリーン) シュヴェリーン城
議  題
我が国 真鍋大臣
ドイツ トリッティン環境・自然保護・原子力安全大臣
カナダ ステュワート環境大臣
フランス ヴォワネ国土整備・環境大臣
イタリア ロンキ環境大臣
ロシア ダニリアン環境保護国家委員会議長
イギリス プレスコット副首相
ミーチャー環境担当大臣
アメリカ ブラウナー環境保護庁長官
欧州委員会 カリー環境総局長

2.コミュニケの概要
 今回の会合の成果は、コミュニケとしてとりまとめられ、特に強調(ハイライト)すべき行動として、次の事項がとりあげられている。

 (1)

 グローバリゼーションと環境保護 

  • 首尾一貫し、グローバルかつ環境上責任ある多国間協定及び制度の枠組みを確保するための努力を強化すること。
  • 環境基準や標準(ノルム)の設定、一般的承認及び継続的改善に関する国際協力を促進すること。
  • 以下の項目を含む「貿易と環境」の問題が次期WTO交渉の主要課題に組み入れられることを確保すること。
    • 効果的な参加を確保するため、WTOの透明性と市民社会への公開性を高めること。
    • 多国間環境協定(MEAs)の一貫性を保持し、MEAsとWTOルールの関係を明らかにすること。
    • 新ラウンドの環境又は持続可能な開発上のレビューを行うこと。
    • WTOとUNEP、他の環境関係国際機関及び多国間環境協定事務局との協力を強化すること。
  • 環境の側面を国際金融機関及び輸出信用機関の業務によりよく統合すること。
  • 国際債務軽減のイニシアティブが真に持続可能な開発に貢献すべきことを強調すること。
  • 予防的(プレコーショナリー)アプローチの原則に従い、科学的知見の不足が環境行動から逃避する理由に使われるべきでないことを強調すること。
  • 多国間の環境及び持続可能な開発に係るフォーラムに対し、その決定や合意の実施に関する進捗状況の評価や報告をより効果的なものとするよう奨励すること

 (2)

気候変動

  • 京都議定書の早期発効の観点から、ブエノス・アイレス行動計画の実施、特に、京都メカニズムの実施及び協力で包括的な遵守レジームに係る決定に関し時宜を得た進展 を図るべく作業を行うこと。
  • 温室効果ガス排出の相当の削減を達成するための国内措置を策定し、実施するとともに、政策措置に関する「優良事例(ベスト・プラクティス)」に係る経験を交流し、 来年に進展をレビューするために、直ちに行動を起こすこと。
  • 特に、資金メカニズム、技術開発・移転及び対処能力の育成を通じ、途上国の既に行われている取組を歓迎し、彼らを支援すること。
  • 貧困を撲滅し、持続可能な開発を達成するという途上国の正当なニーズを十分考慮しつつ、温室効果ガスの排出を緩和するよう途上国を奨励することによって、京都プロ セスへの地球規模の参加を徐々に促進すること。

 (3)

環境と運輸

  • 運輸部門におけるCO2とそれ以外の温室効果ガス排出削減のために効果的な行動をとること。
 (4)

バイオセイフティ

  • 遅くとも2000年5月の第5回締約国会議までに実際に機能する効果的なバイオセイフティ議定書に係る合意を得るよう行動すること。
 (5)

環境分野における国連改革

  • UNEP管理理事会の最近の決議に基づき、環境分野の改革に関して国連総会の早期決定を求めること。
  • 環境政策に関する国連システム内の第一義的機関としてUNEPを強化すること
 (6)

環境と安全保障

  • 環境に起因する紛争を防止し、軽減する目的をもって、環境負荷と安全保障の関係についてさらに対応すること。
 (7)

これまでのG8環境大臣会合のフォローアップ

  • 特に、持続可能でない漁業慣行を防止し、海洋汚染に対処し、及び地球規模でのよりよい協力と調整を通じて、海洋及びその生物多様性を保護するためのさらなる行動を とること。
  • 途上国を支援するためのイニシャティブを含め、多国間環境協定を効果的に執行するためにさらなる行動をとること。
  • 環境犯罪に対処するためのさらなる行動、特にオゾン層破壊物質、有害廃棄物及び保護野生生物の違法取引に対処するためのイニシャティブをとること。
  • 特別の感受性に鑑み、子供を保護するための政策を策定するため、子供の健康に及ぼす環境影響に関する知見を引き続き改善すること。

3.今回会合における我が国の貢献
 今回の会合では、真鍋大臣より、以下の事項を強調し、また、提言等を行った。

 グローバリゼーションと環境保護

  • 貿易と環境に関し、多国間環境協定(MEAs)とWTOルールの関係を明確化することが重要である等を指摘した。

 気候変動問題

  • 京都議定書の早期発効の条件を整備するため、COP6における合意を目指して、「ブエノス・アイレス行動計画」の実施に向けた世界各国の建設的な努力が重要で あること。
  • 途上国の参加を促進するため、G8各国が協調して途上国との対話を強化するよう呼びかけたこと。
  • G8各国が国内対策に積極的に取り組む政治的意思を強くアピールすること。このため、G8各国の国内対策の優良事例(ベスト・プラクティス)の経験の交流を 行い、来年のG8環境大臣会合に報告することを提案した。

4.二国間会談
 今回の会合に際して、真鍋大臣は、ブラウナー米国環境保護庁長官、トリッティン独環境・自然保護・原子力安全大臣及びミーチャー英国環境担当大臣と二国間会談を行っ たほか、種々の機会を捉えて、プレスコット英国副首相のほか、G8各国の閣僚と意見交換を行った

 (1) 米国:ブラウナー環境保護庁長官
 地球温暖化対策について先進国の中でリーダーシップを発揮するよう強く要請した。また、日米が協力しつつ、気候変動問題に関して途上国との対話を強化していくことで 意見が一致した。また、日米間の対話の強化がますます重要になっており、次回の日米環境合同企画調整委員会をできる限り早期に開催するよう要請した結果、本年7月を目途に開催するこ とで合意した。
 (2) ドイツ:トリッテイン環境・自然保護・原子力安全大臣
 気候変動問題に関し、途上国との対話強化が重要であり、途上国のタイプに応じた適切な対応が重要である点で意見が一致した。
 京都メカニズムの数量的な上限設定について意見交換を行い、トリッティン大臣から、EUの方針は5~6月の気候変動枠組条約補助機関会合で明らかにすること等の話 があった。また、日独による技術開発の促進が重要であることについて見解の一致を見た。
 (3) 英国:プレスコット副首相及びミーチャー環境担当大臣
 プレスコット副首相とは、気候変動問題の世界各国の動向等について意見交換を行った。ミーチャー大臣とも、主に気候変動問題について意見交換を行い、両国がEUとアンブ レラグループとの橋渡しとして重要な役割を果たすことで意見の一致を見た。

5.その他
 真鍋大臣は、G8環境大臣会合に先立って、シュトゥットガルトのダイムラー・クライスラー社を訪問し、環境対策の現状の視察を行い、同社幹部と意見交換を行った。

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部企画課
補 佐 岸部和美(6721)
 専門官 佐藤邦子(6736)
 係 長 永山 透 (6755)