報道発表資料
本会合においては、一昨年11月に新潟で開催された第3回専門家会合において、「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク構想」が採択されたことを受け、ネットワークの詳細設計及び設立のスケジュール等について議論が行われる。
環境庁としては、本会合の成果を踏まえ、可能な限り早期にネットワークを設立するべく、今後とも努力してまいりたい。
1 開催の趣旨
我が国が属する東アジア地域においては、その急速な経済成長に伴い、大気汚染問題、酸性雨問題に直面している。酸性雨問題は地球環境問題の一つであり、その解決のためには、国を超えて地域内の各国が協調して取組むことが必要不可欠である。
環境庁においては、本地域における共同の取組の第一歩として、各国における酸性雨モニタリングの実施及びそのネットワーク化を内容とする「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク構想」を提唱し、これまで3回にわたり専門家会合(第1回:93年10月、富山。第2回:95年3月、東京。第3回:95年11月、新潟)を開催してきた。その結果、第3回会合において、東アジア地域に酸性雨のモニタリングネットワークを設立することが合意され、「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク構想」が採択された。
第4回目となる今回会合においては、これら3回にわたる会合の成果を踏まえ、同構想の具体化に向けてさらに踏み込んだ議論を行うこととしている。また、これにあわせ、酸性雨モニタリングの手法を統一し、測定データの信頼性を確保することを目指し、酸性雨モニタリングの技術マニュアル及びガイドラインを策定することとしている。
2 主催
環境庁、広島県及び広島市
3 日時
平成9年2月4日(火)、5日(水)、6日(木)
4 場所
広島国際会議場 ダリア
〒730 広島市中区中島町1-5(平和記念公園内)
電話:082-242-7777
5 プログラム
別紙のとおり
6 参加者(予定)
(1) 関係国からの参加 10か国21名の酸性雨専門家
中国(4名)、インドネシア(3名)、韓国(3名)、マレーシア(3名)、モンゴル(1名)、フィリピン(2名)、シンガポール(1名)、ロシア(1名)、タイ(2名)、ベトナム(1名)
(2) 関係国際機関等 6機関6名の酸性雨専門家
世界銀行 国連環境計画国際環境技術センター(UNEP/IETC)
オーストラリア連邦科学産業研究庁(CSIRO)
ノルウェー大気研究所(NILU、欧州監視評価計画の化学調整センター)
米国国家海洋大気局(NOAA)
独国ノルトライン・ウエストファーレン州環境局
(3) 日本からの参加者 約30名
環境庁、関係省庁、酸性雨研究者
(4) その他 約100名
地方自治体担当者、研究者等
7 主要討議事項
(1) 東アジア酸性雨モニタリングネットワークの具体化に向けた議論
第3回会合において「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク構想」が採択されたことを受け、ネットワークの詳細設計及び設立のスケジュールについて検討を行う。
(2) 酸性雨モニタリング技術マニュアル等に関する議論
第2回会合で採択された「東アジア地域酸性雨モニタリングガイドライン」を補完・強化するために必要な技術マニュアル、ガイドラインについて、検討・採択を行う。
8 使用言語
日本語及び英語(同時通訳あり)
9 その他
会合の成果については、会合終了後(2月6日午後12時30分目途)、現地において記者発表する予定。
別紙
1997年2月4日(火)~6日(木)、広島国際会議場 |
2月4日(火) 9:30 歓迎の挨拶等 10:00 これまでの経緯及び第4回会合のねらい 10:40 ネットワークの構築へ向けての取組状況の報告 中国、インドネシア、日本、韓国、タイ 12:20 13:30 ネットワークの具体化に向けた議論 (1) 講演 .1 欧州監視評価計画(EMEP)設立の経過 .2 関係国際機関における酸性雨関連活動 (2) 議論 17:00 2月5日(水) 9:30 ネットワークの具体化に向けた議論 (前日に引き続き議論) 12:00 13:30 技術マニュアル等に関する議論 .1 湿性沈着モニタリングに関する技術マニュアル .2 乾性沈着モニタリングに関するガイドライン .3 土壌・植生影響モニタリングに関する技術マニュアル .4 陸水影響モニタリングに関する技術マニュアル 17:00 2月6日(木) 9:30 総括討議及び議長サマリーの採択 12:00 閉会の挨拶
参考
第3回専門家会合で採択された「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク構想」は、5章、40パラグラフからなり、その概要は次のとおりである。
1 序
第3回専門家会合は1995年11月、新潟で開催された。第3回専門家会合は、本地域において 酸性雨のモニタリングネットワークができる限り早期に形成されるべきであることを認識し、以下に記すとおり「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク構想」を採択した。さらに、第3回専門家会合は、会合の出席者に対し、各国のモニタリングシステムの整備、自国内の関係諸機関及び適切であれば関係国際機関に対する働きかけ等、ネットワークの公式合意に向けてともに努力すべきことを強く呼びかけた。
2 ネットワーク
(1) 目的
酸性雨モニタリングネットワークの設立は、東アジア地域各国及び機関の間で酸性雨の状況に関して共通の理解を形成すること及び本地域における酸性雨による悪影響の未然防止を目的とした種々のレベルの政策決定を行ううえで必要となる酸性雨の評価のために有益な情報を提供することを目的とする。
(2) ネットワークの構造
ネットワークは次の要素により構成される。
1) 各国による酸性雨モニタリングの実施
2) モニタリングシステムに関する精度保証/精度管理(QA/QC)
3) データの報告及び情報交換システム
4) モニタリングデータの集約及び解析
5) 酸性雨モニタリングの分野における技術面での協力の促進 ほか
(3) 対象地域
北東アジア及び東南アジアを含む東アジア全域を対象とする。
(4) ネットワークセンター
ネットワークを運営するため、次の機能を有するネットワークセンターを設置する。このネットワークセンターは日本に設置されることが望ましい。
1) 参加国から報告された酸性雨モニタリングデータの収集・保管・解析を行い、その結果を定期的に報告書として公表すること
2) 参加国からの求めに応じて収集したデータを提供すること
3) 参加国に対して技術面での協力を促進すること
4) モニタリングに携わる人員の教育/訓練プログラムを開発し及び実施すること
5) 精度保証/精度管理(QA/QC)プログラムを実施すること
6) 本地域における情報交換の場を提供すること ほか
(5) 参加国
ネットワークの参加国は酸性雨モニタリングを実施し、そのデータ及び関連情報をネットワークセンターに提供する。また、ネットワークセンターに対し、ネットワークセンターが収集したモニタリングデータを求めることができる。
参加国は、測定局の設置、モニタリング機材の設置等に関し、他の参加国と相互に協力する。
(6) その他
ネットワークの運営を管理するため、管理理事会及び事務局を設置する。また、資金的事項については今後とも検討を行う必要がある。
3 ネットワークの実現に向けて
各種の要素を考慮すれば、ネットワークは、可能な限り早期に、具体的には遅くとも2000まで年に設立することが適当である。このため、次の事項を実施することが必要である:
1) 参加国におけるモニタリングシステムの整備
2) ネットワークセンター設置の準備
3) ガイドラインの充実及び技術マニュアルの整備
4) 国際協力の推進
5) ネットワークの設立に関する公式合意の形成
6) 専門家会合の開催。
4 ネットワークの将来の課題
ネットワークが設立された後も、ネットワークの拡充、洗練及び強化のため、次の作業を継続していくことが重要である。
1) 発生源インベントリーの整備
2) 酸性雨に係る数値モデルの開発
3) 生態系への悪影響の研究
4) 共同/協力による調査・研究の推進
5 終わりに(略)
- 連絡先
- 環境庁大気保全局大気規制課
課長:飯島(6530)
担当:岸部(6532)
環境庁水質保全局水質管理課
課長:南川(6630)
担当:関 (6631)
環境庁水質保全局土壌農薬課
課長:西川(6650)
担当:川村(6652)