報道発表資料

この記事を印刷
1998年07月16日

平成9年度ダイオキシン類排出実態調査結果について

環境庁では、ダイオキシン対策の一環として、未だ排出実態が不明な施設等を対象にダイオキシン類の濃度について調査を行った。

1.排出実態調査
 平成9年度には、焼結炉6施設、アルミニウム溶解炉4施設、未規制小型廃棄物焼却炉3施設のほか、試行的に大型ディーゼルトラック1台について、排出ガス中のダイオキシン類濃度を調査した。さらに、一般廃棄物焼却施設3施設、産業廃棄物焼却施設3施設、セメントキルン2施設、RDF焼却施設1施設の排出ガス中のダイオキシン類及びコプラナーPCBの濃度についても調査を行った。
 調査の結果、排出ガス中のダイオキシン類濃度は、焼結炉は0.010~1.1ng-TEQ/m3N、アルミニウム溶解炉は0.014~0.18ng-TEQ/m3N、大気汚染防止法の規制対象未満の規模の小型廃棄物焼却炉は9.7~600ng-TEQ/m3N、一般廃棄物焼却炉は1.5~28ng-TEQ/m3N、産業廃棄物焼却炉は11~40ng-TEQ/m3N、セメントキルンは0.031~0.41ng-TEQ/m3N、RDF焼却施設は0.0019ng-TEQ/m3N、大型ディーゼルトラックは0.00234~0.00296ng-TEQ/m3Nであった。
 また、排出ガス中のコプラナーPCB濃度をWHO-TEF(毒性等量換算濃度)で算出した結果は、一般廃棄物焼却炉は0.036~0.20ng-TEQ/m3N、産業廃棄物焼却炉は0.74~1.7ng-TEQ/m3N、セメントキルンは0.000068~0.036ng-TEQ/m3N、RDF焼却施設は0.000080ng-TEQ/m3Nであった。

2.今後の対応
 環境庁においては、引き続き排出実態が不明な施設等について、ダイオキシン類及びコプラナーPCBに係る排出実態調査を行うとともに、調査結果を踏まえて、必要な排出抑制対策の推進を検討していくこととしている。

1.調査内容
(1)調査対象及び調査検体数
 {1}焼結炉:6施設、6検体(各々1検体)
 {2}アルミニウム溶解炉:4施設、6検体(2施設は2系統の排出口で各々採取)
 {3}大気汚染防止法の規制対象未満の規模の小型廃棄物焼却炉(未規制小型焼却炉)
   :3施設、3検体
 {4}一般廃棄物焼却炉:3施設、3検体
 {5}産業廃棄物焼却炉:3施設、3検体
 {6}セメントキルン:2施設、3検体(1施設は2系統の排出口で採取)
 {7}RDF焼却施設:1施設、1検体
 {8}大型ディーゼルトラック:1台、2検体
   ・車両総重量19トン、最大積載量12トン、平成6年排出ガス規制適合。
   ・測定法は、試行として、シャシダイナモメータを使用し、ディーゼル13
    モードと同様の運転条件で、希釈トンネル法により6時間サンプリング。

(2)分析項目
 ポリ塩化ジベンゾフラン及びポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(ダイオキシン類)。なお、(1)に挙げる{4}~{7}の施設についてはコプラナーPCBもあわせて分析を行った。

2.調査結果
(1)平成9年度排出ガス中のダイオキシン類濃度調査結果(単位:ng-TEQ/m3N)

発生源 検体数 平均値 最小値~最大値
焼結炉
アルミニウム溶解炉
未規制小型廃棄物焼却炉
一般廃棄物焼却炉
産業廃棄物焼却炉
セメントキルン
RDF焼却施設
大型ディーゼルトラック







0.42
0.095
210
11
23
0.16
(0.0019)
0.00265
0.010~1.1
0.014~0.18
9.7~600
1.5~28
11~40
0.031~0.41
(0.0019)
0.00234~0.00296


(2)平成9年度排出ガス中のコプラナーPCB濃度調査結果(単位:ng-TEQ/m3N)

発生源 検体数 平均値 最小値~最大値
一般廃棄物焼却炉
産業廃棄物焼却炉
セメントキルン
RDF焼却施設



0.12
1.2
0.013
(0.000080)
0.036~0.20
0.74~1.7
0.000068~0.036
(0.000080)


(注1)コプラナーPCBの毒性等価係数については、WHO-TEF(1997)を用いて算定した。

3.今後の対応
 環境庁としては、今後とも、ダイオキシン類の排出実態が不明な施設等について、ダイオキシン類及びコプラナーPCBに係る排出実態調査を実施し、発生源インベントリーの構築を図るとともに、関係省庁とも連携しつつ、調査結果を踏まえて必要な排出抑制対策の推進について検討していくこととしている。




                                  (参考1)

ダイオキシン類に係る指定物質抑制基準
種類 施設規模 新設施設基準 既設施設基準











4t/h以上

2t/h-4t/h

0.2t/h-2t/h

変圧器の
定格容量が
1,000キロボルト
アンペア以上
0.1ngTEQ/m3N

1ngTEQ/m3N

5ngTEQ/m3N

0.5ngTEQ/m3N
-1998.11



基準の適用
を猶予
1998.12
  -2002.11


80 ngTEQ/m3N
2002.12
-1ngTEQ/m3N
5ngTEQ/m3N

10ngTEQ/m3N

5ngTEQ/m3N


(注1)TEQは「毒性等価換算換算濃度」を意味し、2,3,7,8-TCDDの毒性に換算を行った濃度である。
(注2)ng(ナノグラム)は10億分の1グラムを表す。




                                (参考2)

           毒性等価換算濃度(TEQ)について

 ダイオキシン類の濃度については、測定により得られるダイオキシン類の各異性体の濃度値に国際毒性等価係数(I-TEF;International Toxicity Equivalen-cy Factor;表参照)を乗じて、毒性等価換算濃度(TEQ;Toxicity EquivalencyQuantity)により表すものとする。

表 ダイオキシン類に関する国際毒性等価係数

PCDD異性体 I-TEF PCDF異性体 I-TEF
2,3,7,8-TCDD
1,2,3,7,8-PCDD

1,2,3,4,7,8-HCDD
1,2,3,6,7,8-HCDD
1,2,3,7,8,9-HCDD

1,2,3,4,6,7,8-HCDD

OCDD
その他のPCDD
1
0.5

0.1
0.1
0.1

0.01

0.001
0
2,3,7,8-TCDF
1,2,3,7,8-PCDF
2,3,4,7,8-PCDF
1,2,3,4,7,8-HCDF
1,2,3,6,7,8-HCDF
1,2,3,7,8,9-HCDF
2,3,4,6,7,8-HCDF
1,2,3,4,6,7,8-HCDF
1,2,3,4,7,8,9-HCDF
OCDF
その他のPCDF
0.1
0.05
0.5
0.1
0.1
0.1
0.1
0.01
0.01
0.001
0

参考 コプラナーPCBの毒性等価係数について(WHO-TEF、1997)
IUPAC.NO. 毒性等価係数(TEF)
3,4,4',5-T4CB       #81
3,3',4,4'-T4CB       #77
3,3',4,4',5-P5CB      #126
3,3',4,4',5,5'-H6CB    #169
2',3,4,4',5-P5CB      #123
2,3',4,4',5-P5CB      #118
2,3,3',4,4'-P5CB     #105
2,3,4,4',5-P5CB      #114
2,3',4,4',5,5'-H6CB    #167
2,3,3',4,4',5-H6CB     #156
2,3,3',4,4',5'-H6CB    #157
2,3,3',4,4',5,5'-H7CB   #189
0.0001
0.0001
0.1
0.01
0.0001
0.0001
0.0001
0.0005
0.00001
0.0005
0.0005
0.0001
連絡先
環境庁大気保全局大気規制課
課 長 :飯島  孝(内6530)
 補 佐 :柳橋 泰生(内6532)
 補 佐 :佐々木裕介(内6547)

環境庁大気保全局自動車環境対策第二課
課 長 :松本 和良(内6550)
 補 佐 :野津 真生(内6552)