報道発表資料

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1999年12月02日

「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づく「日光の社寺」の世界遺産一覧表への登録の決定について

モロッコのマラケシュで開催されている世界遺産委員会において、12月1日(現地 時間)、「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に 基づき、「日光の社寺」の世界遺産一覧表への登録が決定されたので、お知らせ します。(なお、正式な決定は委員会最終日の12月4日となります。)
 「日光の社寺」は、日本政府(環境庁、文化庁)が昨年6月、世界遺産一覧表へ の登録が適当な文化遺産に係る候補として推薦していたもの。

【登録が決定された世界遺産の概要】

(1)名  称
日光の社寺 (Shrines and Temples of Nikko)
(2)所 在 地
栃木県日光市
(3)内  容 
二荒山神社、東照宮、輪王寺の二社一寺及びそれらの境内地から成り、その中には国宝9棟、重要文化財94棟の建造物群が含まれている。
(4)担保措置
【自然公園法】日光国立公園(特別保護地区、特別地域、普通地域)
【文化財保護法】国宝、重要文化財、史跡
 ・世界遺産条約第4条及び第5条に基づき、締約国は自国の領域内に存する文化遺産及び自然遺産に関し、その保護、保存及び整備のために必要な措置をとらなくてはならないとされている。
(5)対象面積
登録資産(コア)の面積 50.8 ha、
緩衝地帯(バッファーゾーン)の面積 373.2 ha
コアの国立公園地種区分別面積 バッファーゾーンの国立公園地種区分別面積
特別保護地区 36.9ha 特別保護地区 31.1ha
第2種特別地域 8.6ha 第2種特別地域 167.4ha
第3種特別地域 4.5ha 第3種特別地域 48.1ha
普通地域 0.8ha 普通地域 122.1ha
    区域外 4.5ha
(6)登録基準
「世界遺産一覧表への文化遺産登録基準」に照らし、登録基準 i、iv、vi に適合。
(参考1) 世界遺産条約の概要

(1)条約の概要

名  称

世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約
Convention for the Protection of the World Cultural and Natural Heritage
目  的 世界の文化遺産及び自然遺産を保護するため、保護を図るべき遺産をリストアップし、締約国の拠出金から成る世界遺産基金により、各国が行う保護対策を援助する。
採択年月日 1972 年 11 月 16 日(於パリ、ユネスコ第17回総会)
発効年月日

1975 年 12 月 17 日
締約国数 158 か国( 1999 年 10 月現在)
世界遺産 現在、582(自然 117、文化 445、複合 20 )の遺産が世界遺産一覧表に記載されている。( 1998 年 12 月現在)
事務局 ユネスコ世界遺産センター(パリ)

(2)世界遺産の定義

文化遺産

歴史上、美術上、科学上顕著で普遍的価値を有する記念工作物、建造物、遺跡等
自然遺産 観賞上、学術上又は保存上顕著な普遍的価値を有する特徴ある自然の地域、脅威にさらされている動植物の種の生息地、自然の風景地等

 

(参考2) 世界遺産(文化遺産)の6つの登録基準

 

  1. 人類の創造的天才の傑作を表現するもの
  2. ある期間を通じて、又はある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、町並み計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの
  3. 現存する、又は消滅した文化的伝統又は文明の、唯一の又は少なくとも希な証拠となるもの
  4. 人類の歴史上重要な時代を例証する、ある形式の建造物、建築物群、技術の集積又は景観の顕著な例
  5. 特に、回復困難な変化の影響下で損傷されやすい状態にある場合における、ある文化(又は複数の文化)を代表する伝統的集落又は土地利用の顕著な例
  6. 顕著な普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰又は芸術的、文学的作品と、直接に又は明白に関連するもの(委員会は、この基準により一覧表への記載が認められるのは、極めて例外的な場合であり、かつ、他の文化遺産又は自然遺産の基準と関連している場合に限られるべきであると考える。)

    (世界遺産委員会「世界遺産条約履行のための作業指針」より。翻訳文は文化庁仮訳による。)

(参考3) 自然公園と文化的景観の保護

 自然公園法においては、従来より、文化景観についても自然公園の選定要件の1つとしてきた。これに基づき、厳島、日光をはじめとする文化的景観についても国立公園等の自然公園として指定し、その保護と適切な利用を図っているところ。
  このように、自然公園は、文化的景観を含む文化遺産の国内法制上の保護担保措置としての機能も持ち、重要な役割を果たしているため、今回の「日光の社寺」についても、文化庁と共同で推薦したもの。

(参考4)我が国の世界遺産

【自然遺産】

 屋久島、白神山地(以上、平成5年12月登録)

【文化遺産】

 法隆寺地域の仏教建造物、姫路城(以上、平成5年12月登録)
 古都京都の文化財(平成6年12月登録)
 白川郷・五箇山の合掌造り集落(平成7年12月登録)
 原爆ドーム、厳島神社(以上、平成8年12月登録)
 古都奈良の文化財(平成10年12月登録)
 日光の社寺(平成11年12月登録)

連絡先
環境庁自然保護局計画課
課 長 :小林  光(内線6430)
 担 当 :中島 慶二(内線6432)