報道発表資料

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1999年12月04日

ウィーン条約第5回締約国会議及びモントリオール議定書第11回締約国会合の結果について

 11月29日~12月3日の5日間にわたり、中国の北京において「オゾン層の保護のためのウィーン条約第5回締約国会議」及び「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書第11回締約国会合」が開催され、

  1. HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)の生産規制の導入、
  2. ブロモクロロメタンの規制対象物質への追加、
  3. 多数国間基金の補填

等について合意された。
  また、会合最終日には、21世紀に向けてのオゾン層保護対策の更なる取組の推進 を内容とする「北京宣言」が締約国会合の参加国により採択された。
  我が国としては、今般の締約国会合の結果を受け、所要の国内措置を講じることと している。

1.会合の概要

 ・場 所:中国・北京(Beijing International Conference Center)
 ・日 程:11月29日~12月1日 条約締約国会議及び議定書締約国会合
                (準備セグメント)
      12月2日~12月3日 条約締約国会議及び議定書締約国会合
                (ハイレベルセグメント)
 ・日本政府からの出席者:代表 中国公使 杉本信行
      環境庁、外務省、農林水産省及び通商産業省から関係者が出席。

2.主な合意事項

(1)議定書の改正等に関するEC提案の検討

 ECが提案していた議定書改正等について、参加国間で議論を行った結果、 提案内容を修正した以下の事項が決定された。

[1]HCFC関係

 
 ア.先進国における生産量規制の導入
   2004年から生産量を1989年のレベルで凍結する。
   【現状】消費量(=生産量+輸入量-輸出量)は規制されているが、
       生産量は規制されていない。
 イ.途上国における生産量規制の導入
   2016年から生産量を2015年のレベルで凍結する。
 ウ.貿易規制の導入
   2004年から非締約国との輸出入等を禁止する。

[2]臭化メチル関係

 臭化メチルの検疫及び出荷前処理用途の年間使用量を事務局へ報告することが 定められた。

[3]新規規制物質関係

 ブロモクロロメタンを規制することが定められた。

(2)2000年から2002年における多数国間基金の資金規模の決定

 2000年から2002年における多数国間基金の資金規模を4億7570万米ドル(うち 前期(1997~1999年)繰越額を除いた追加的拠出額は4億4千万米ドル)とすることが決定された。

(参考)1997~1999年の資金規模:5億4千万米ドル (この額のうち7400万米ドルは1994年~1996年の繰越金で充当され、 残りの4億6600万米ドルが追加的に拠出されたもの。)

(3)北京宣言の採択

 ホスト国の中国が強いイニシアティブを発揮し、本年7月より開発途上国に おいてCFCの規制が開始されたこと等を背景として、21世紀に向けての オゾン層の保護に関する各国の取組姿勢等を述べた「北京宣言(案)」を提案し、 案文について検討の結果、会合最終日に採択された。

(4)その他の主な決定事項

{1}先進国に対し、CFCの回収・再利用等の選択肢を含む、CFCの管理戦略を 策定し、2001年7月までに事務局に提出することを要請することが決定された。

{2}試験研究・分析用途に使用される規制物質については、現在、規制適用が除外 されているが、水中の油脂及び全石油性炭化水素の分析等の用途を2002年から 規制適用除外の対象外とすることとされた。

3.今後の開催予定

 モントリオール議定書第12回締約国会合は、2000年10月にブルキナ・ファソ (西アフリカ)で開催される予定。ウィーン条約第6回締約国会議は、3年後の 2002 年にモントリオール議定書第 14 回締約国会合と同時に開催される予定。

4.今後の対応

 我が国では、今般の締約国会合の結果を受け、所要の国内措置を講じることと している。

(参考)オゾン層保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関する モントリオール議定書

 ウィーン条約は、オゾン層保護のための国際的な枠組みを定めた条約(1985年 採択)。
  モントリオール議定書は、ウィーン条約に基づき、オゾン層を破壊する物質の 削減スケジュール等の具体的な規制措置等を定めたもの。1987年に採択され、 1990 年、1992 年、1995 年及び 1997 年の4度にわたって規制強化のための改正 等が行われてきた。
  なお、1999年11月15日現在のウィーン条約批准国数は 173、モントリオール議定書 の批准国数は 172 である。

連絡先
環境庁大気保全局企画課
課  長 桜井 康好(内6510)
    ダイヤルイン 03-5521-8287

環境庁大気保全局
室長補佐 太田志津子(内6562)
 担  当 袖野 玲子( 〃 )
    ダイヤルイン 03-5521-8291