報道発表資料

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1999年10月04日

「騒音の評価手法等の在り方について(自動車騒音の要請限度)」の中央環境審議会答申について

1.平成8年7月25日付けで中央環境審議会に対し諮問された「騒音の評価手法等の在り方について」のうち、自動車騒音の要請限度の評価手法等の在り方に係る中央環境審議会答申が10月6日の騒音振動部会においてまとめられ、同日環境庁長官に答申される予定。

2.本答申は
(1)新要請限度における騒音の評価手法としては、環境基準と同一の評価手法によることとし、これまでの騒音レベルの中央値(L50,T)から等価騒音レベル(LAeq,T)に変更することが適当であるとしたこと。
(2)騒音の評価手法の変更に伴い要請限度の限度値等を再検討し、新たな要請限度の限度値等を示したこと。
を主な内容とする。

3.環境庁では、本答申に基づき、「騒音規制法第17条第1項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める命令」を平成11年内に改正する予定。

[1] 経緯等

  平成8年7月25日付けで中央環境審議会に対し諮問のあった「騒音の評価手法等の在り方について」のうち、騒音に係る環境基準(以下単に「環境基準」という。)における騒音の評価手法等の在り方については、平成10年5月22日に中央環境審議会より答申された。
  これに基づき、新環境基準が平成10年9月30日に告示され、平成11年4月1日に施行されている。
  その後、「騒音規制法第17条第1項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める命令」(昭和46年6月23日総理府・厚生省令第3号)で定める自動車騒音の限度(以下「要請限度」という。)における騒音の評価手法の在り方及びこれに関連して再検討が必要となる要請限度の限度値等の在り方について、同審議会騒音振動部会騒音評価手法等専門委員会において引き続き検討が行われ、その報告がとりまとめられた。
 騒音振動部会においては、10月6日に同専門委員会報告を受理し、パブリック・コメントとして寄せられた意見も考慮して、「騒音の評価手法等の在り方について(自動車騒音の要請限度)」についての騒音振動部会報告をまとめ、同日中央環境審議会答申として環境庁長官に答申される予定。
  環境庁では、本答申に基づき、「騒音規制法第17条第1項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める命令」を平成11年内に改正する予定。

 ※自動車騒音の要請限度について
   自動車騒音がその限度を超えていることにより、道路の周辺の生活環境が著しくそこなわれていると認めるときは、都道府県知事は都道府県公安委員会に交通規制等の措置をとるよう要請するもの。

[2] 答申の内容

  別添資料1のとおり。

 
[3] パブリック・コメント募集結果
 
  中央環境審議会騒音振動部会では、「騒音の評価手法等の在り方について(自動車騒音の要請限度)」の部会報告を最終的にとりまとめるに当たり、広く国民の皆様からご意見を賜るべく、部会報告(案)を公表し、本年8月11日~9月10日までの間、ファクシミリ、郵送、及び電子メールによる意見募集(パブリック・コメント)を行った。
  今般、寄せられた意見(10件)に対する騒音振動部会の考え方をとりまとめたので公表する。なお、寄せられた意見については、分類、整理した形で案件ごとにとりまとめた。

  募集期間:平成11年8月11日~平成11年9月10日(1ヶ月間)
  意見総数:10件
      ・意見提出方法別内訳(電子メール6件、ファクシミリ3件、郵送1件)
      ・意見提出者属性別内訳(個人・男性7件、個人・女性1件、団体2件)

  主な意見とこれに対する考え方の概要は次のとおり。

(1)検討の基本的考え方
  「現行の要請限度の制度を前提とする」とあるが、現行制度が有効に機能しているか否かの検討を行うべき。

 【考え方】今回の要請限度の改正は、改正後の騒音に係る環境基準が評価手法として等価騒音レベルを採用したことを受けて、騒音の評価手法の在り方及びこれに関連して再検討が必要となる限度値等の在り方について検討を行うものであるため、騒音規制法に基づく現行要請限度の制度を前提としたものである。いただいたご意見は今後の検討の参考とさせていただきたい。

(2)要請限度値
 [1] 要請限度値は生活環境保全の見地から、もっと厳しくすべき。

 【考え方】今回の要請限度値は、現行要請限度との継続性、環境基準との整合性、騒音影響に関する科学的知見、騒音実態等の観点から審議、とりまとめられたものであり、適切なものである。さらに、学校、病院等特に静穏を必要とする施設が集合して設置されている区域については、都道府県等で別途騒音レベルを定めることができる規定も盛り込まれている。

 [2] 国道43号に係る最高裁判決における受忍限度値65dBとの関係について明確にすべきである。

 【考え方】環境基準の値と43号線訴訟で示された受忍限度の関係で、憲法違反になるのではと言うことについては、法律の専門の委員より以下の発言がされている。
   ・判決文は、個別的事情を踏まえてなされたもの。
   ・判決というものは、個別的事件の解決をする限りにおいて意味のあるもの。
   ・三権分立との関係では、裁判所は政策立案する立場にない。

(3)測定評価の位置
  騒音の測定・評価の場所において、交差点を除くことに対する妥当性や解釈、
  除外する交差点の具体的な範囲を明確にする必要がある。

 【考え方】現行要請限度においては、騒音の測定場所については、要請限度の限度値が通常の運行パターンを前提に定められているため、交差点に面する地点は除くとしている。
  ただし、交差点近辺の生活環境保全が特に問題となっている場合には、実状に応じて適宜対処するとされており、今回の改正でその運用を変更するものではない。

(4)測定・評価の日数
  1ヶ月のトラックの動きをみていると月下旬に走行台数が増加しているため、
  3日間の測定に際し、1ヶ月のうち、上旬、中旬、下旬の3回に分けて、測定・評価して欲しい。

 【考え方】1ヶ月のうちの上旬、中旬、下旬の交通量等の変動による騒音レベルの変動は十分小さい範囲であると測定データからは示されている。なお、測定日の選定に当たっては、当該道路の交通特性等を勘案することが考えられる。

(5)研究課題
  要請限度を超えている地域に対策を実施する体制と今後の課題を明確にする必要がある。

【考え方】
 ご意見の趣旨を踏まえ、答申に反映させていただいた。


 意見の内容とこれに対する考え方は別添資料2のとおり。

 今回、ご意見をお寄せいただいた方々のご協力に厚く御礼を申し上げますとともに、今後とも、環境保全行政の推進にご協力いただきますようお願い申し上げます。


添付資料

連絡先
環境庁大気保全局自動車環境対策第一課
課   長 :鈴木 安次(内線6520)
 課長補佐 :奥村 康博(内線6526)
 担   当 :滝澤  晶(内線6527)

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