報道発表資料

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2000年12月21日

平成11年度公共用水域水質測定結果について

環境庁は、平成11年度に国及び地方公共団体が実施した、全国の公共用水域の水質の測定結果を取りまとめた。12月22日(金)の閣議において、環境庁長官が報告を行う。
 健康項目については、従来の23項目で環境基準達成率は99.4%と、前年とほぼ同様となっている。新たに環境基準が設定された3項目(硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、ふっ素並びにほう素)を含めた達成率は99.2%であった。
 一方、生活環境項目については、有機汚濁の代表的な水質指標であるBOD又はCODでみると、環境基準の達成率は、河川で81.5%、湖沼で45.1%、海域で74.5%、全体では過去最高の78.7%であったが、湖沼等の閉鎖性水域において、依然として環境基準の達成率が低い状況となっている。
 なお、全窒素及び全燐の環境基準達成率については、湖沼は40.6%、海域は72.6%であった。

 水質汚濁防止法に基づき、都道府県知事は、公共用水域の水質の汚濁状況を常時監視することとされており、都道府県ごとに毎年作成される測定計画に従って、国及び地方公共団体が公共用水域の水質の測定を行っている。
これは、平成11年度に国及び地方公共団体が実施した、公共用水域水質の測定結果の概要を取りまとめたものである。

1.測定地点数及び検体数

(1) 健康項目   5,889地点、314,080検体
 
(2) 生活環境項目   3,458水域、8,490地点、440,517検体

2.測定結果の概要

(1) 健康項目の環境基準の達成状況
   健康項目に係る環境基準の達成率(測定地点数に対する達成地点数の割合)は、従来の23項目については99.4%(前年度99.5%)となっており、前年度とほぼ同じであった。
 新たに環境基準が設定された硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、ふっ素並びにほう素の3項目の環境基準達成率はそれぞれ99.87%、99.51%、99.95%であり、これら3項目を含めた26項目の達成率は99.2%であった。

 

(2) 生活環境項目の環境基準の達成状況
1) BOD又はCODの環境基準の達成状況
  [1] 達成状況
   有機汚濁の代表的な水質指標(河川についてはBOD、湖沼及び海域についてはCOD)に対する環境基準の達成率(環境基準類型があてはめられた水域(以下「あてはめ水域」という。)に対する達成水域の割合)は、次のとおりである。
 
 
  平成11年度
達成率
平成10年度
達成率
平成11年度
あてはめ水域数
平成11年度
達成水域数
全体 78.7% 77.9% 3,270水域 2,573水域
河川 81.5% 81.0% 2,531水域 2,064水域
湖沼 45.1% 40.9%   142水域   64水域
海域 74.5% 73.6%   597水域   445水域
[2] これまでの推移
   BOD又はCODの環境基準の達成率を公共用水域全体でみると、測定開始以来わずかずつ上昇し、平成5年度には76.5%に達したが、平成6年度には渇水の影響により68.9%まで低下した。その後は再び向上し、平成9年度は平成5年度を上回る78.1%に達した。それ以後はほぼ横這い傾向を示してきたが平成11年度は78.7%と過去最高となった。
 水域群別では、河川のBODの環境基準の達成率は、平成5年度まで着実に向上し77.3%に達していたが、平成6年度には渇水の影響により67.9%まで低下した。その後は再び向上し、平成9年度には平成5年度を初めて上回り80%台(80.9%)となった。以後、毎年わずかながら向上し、平成11年度は過去最高の81.5%となった。
 湖沼のCODの環境基準の達成率は、平成5年度までは若干の上昇傾向はみられるものの、40%台をほぼ横這いで推移してきた。近年では、渇水の影響により水質が悪化した平成6年度以降は40%前後であったが、平成11年度には過去3番目に高い45.1%となった。
 海域のCODの環境基準の達成率は、昭和50年代半ば頃から80%前後で推移してきたが、ここ3年間は河口付近海域の水質悪化等により75%を下回り、平成11年度の達成率は過去2年度と同程度の74.5%にとどまった。
 
2) 湖沼における全窒素及び全燐の環境基準の達成状況
  [1] 達成状況
   湖沼における全窒素及び全燐のあてはめ水域は64水域であるが、このうち環境基準を達成した水域は26水域で達成率は40.6%(前年度38.3%)となっており、全窒素及び全燐の環境基準の達成率はなお低い状況にある。
[2] これまでの推移
   湖沼における全窒素及び全燐の環境基準は昭和57年に定められ、あてはめ水域数は年々増加している。平成2年度から平成11年度までの10年間、40%前後と低いレベルで推移しており、平成11年度は過去10年間で5番目の達成率であった。
 
3) 海域における全窒素及び全燐の環境基準の達成状況
  [1] 達成状況
   海域における全窒素及び全燐のあてはめ水域は124水域であるが、このうち環境基準を達成した水域は90水域で、達成率は72.6%(前年度70.5%)と昨年度より上昇した。
[2] これまでの推移
   海域における全窒素及び全燐の環境基準が平成5年に定められて以来、あてはめ水域数が年々増加しつつあり、水質の傾向を評価するには難しい面もあるが、全国的には達成率は向上してきている。

3.水質改善対策

(1) 健康項目
   健康項目については、これまで水質汚濁防止法による工場・事業場に対する排水規制の強化等により、全国的にほぼ環境基準を達成しているが、今後とも、引き続き本測定による公共用水域の水質監視を充実するとともに、その結果を踏まえて環境基準の達成維持に向けた水質保全対策の推進を図ることが必要である。
 なお、平成11年2月に環境基準が設定された硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素、ふっ素並びにほう素については、目下、排水規制等の環境負荷低減対策を導入すべく準備が進められている。
(2) 生活環境項目
   生活環境項目については、水質汚濁防止法による排水規制や下水道等の排水処理施設の整備等が推進されるとともに、水質汚濁防止法等に基づき閉鎖性3海域(東京湾、伊勢湾、瀬戸内海)について、昭和54年にCODの総量規制が導入され、現在まで4次にわたる対策が講じられてきている。また、湖沼水質保全特別措置法に基づき、琵琶湖、霞ヶ浦等の指定10湖沼について総合的な対策が実施されている。
 有機汚濁や、それと密接に関わる全窒素及び全燐による水質汚濁の改善にはなお努力が必要な状況にある。また、生活排水対策の一層の推進も必要とされている。
 このため、平成16年度を目標年度とする第5次総量規制を実施すべく、現在、準備が進められており、この規制対象項目として新たに全窒素及び全燐が追加されることとなっている。また、平成12年6月の浄化槽法の改正により、平成13年4月以降、新たに設置される浄化槽は、原則として合併処理浄化槽とすることが義務づけられており、生活排水による水質汚濁の改善効果が期待されるところである。

 

本公表資料は、環境庁ホームページhttp://www.eic.or.jp/eanet/(平成13年1月6日からは環境省ホームページhttps://www.env.go.jp/)に掲載されます。

添付資料

連絡先
環境庁水質保全局水質規制課
課 長 :吉田 徳久(内線6640)
 補 佐 :川端 毅生(内線6643)
 担 当 :片山 真人(内線6646)