報道発表資料

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2000年12月20日

平成12年度冬期観察の実施計画及び平成12年度夏期観察の結果について

1. 全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)は、肉眼や双眼鏡等を使った身近な方法による星空観察を通じ、参加者に光害など大気環境問題への関心を高めてもらうことを目的に、昭和63年(1988年)から、環境庁と(財)日本環境協会が都道府県・政令指定都市・中核市を通じ参加団体を募り実施している。
 
2. 平成12年度冬期観察は、平成13年1月14日(日)から1月27日(土)までを観察期間として実施する。参加方法等についての詳細に関する問い合わせは、各都道府県・政令指定都市・中核市の大気保全担当部局まで。
 
3. 平成12年度夏期観察の結果は以下のとおりであった。
(1) 参加団体は47都道府県の491団体、参加人数は延べ11,422人(過去最高)であった。
(2) 観察の結果において、星の観察に適していた場所の上位は、青森県岩崎村、沖縄県竹富町、福島県鮫川村など

全国星空継続観察
(スターウォッチング・ネットワーク)

1 平成12年度冬期観察の実施計画

(1) 観察期間: 平成13年1月14日(日)から1月27日(土)まで
(この期間中に1日以上観察)
 
(2) 観察方法:
[1] 肉眼により、高度の異なる天の川の3部分(ペルセウス座付近、ふたご座付近、いっかくじゅう座付近)を観察する。
[2] 双眼鏡を用い、すばる(プレアデス星団)のラケットの中の星を観察し、何等級の星まで見えたかを記録する。
[3] おうし座の1等星アルデバランを中心とする夜空をカラースライド写真に撮影する。
 
(3) 参加方法: 都道府県・政令指定都市・中核市の大気保全担当部局(別表参照)へ参加申込みを行い、「観察の手引き」に基づき観察を実施し、その結果を大気保全担当部局まで報告する。

2 平成12年度夏期観察の結果

(1) 観察期間: 平成12年7月21日(金)から8月3日(木)まで
(この期間中に1日以上観察)
 
(2) 観察方法:
[1] 肉眼により、高度の異なる天の川の3部分(白鳥座付近、たて座付近、いて座付近)を観察する。
[2] 双眼鏡を用い、こと座の1等星(ベガ)を含む3つの星の作る三角形の中の星を観察し、何等級の星まで見えたかを記録する。
[3] こと座のベガを中心とする夜空をカラースライド写真に撮影する。
 参加団体から報告された3項目の観察結果については、(財)日本環境協会及びスターウォッチング研究会(座長村山定男国立科学博物館名誉館員)が集計・解析を行った。
 
(3) 参加団体・参加者数: 全国で47都道府県の491団体、延べ11,422人(過去最高・前年度比1,099人増)が参加
 
  表1 観察参加団体・人数の推移(冬期)
年度
参加団体数 都道府県 市区町村
参加延べ人数
昭和63年度
平成元年度
平成2年度
平成3年度
平成4年度
平成5年度
平成6年度
平成7年度
平成8年度
平成9年度
平成10年度
平成11年度
 68団体 37  65
153団体 44 150
204団体 45 197
187団体 44 170
247団体 47 222
245団体 44 208
408団体 47 340
429団体 47 341
454団体 47 345
431団体 47 341
499団体 47 360
545団体 47 391
3,157
5,658
5,511
5,220
7,186
5,732
9,948
9,987
10,393
8,336
8,884
10,323
平成12年度
491団体 47 352
11,422
(4) 観察結果
[1] 天の川の観察結果
  星空を観察する際、観察する部分の高度が低いほど、大気環境の影響を受けやすくなり、星が観察しにくくなる。
 夏期観察では、天空(高度の高い位置)から順に、「白鳥座付近」、「たて座付近」、「いて座付近」の天の川の観察状況を調査している。
 平成12年度夏期における部分別の観察状況(天の川の見えた地点の割合)は、「白鳥座付近」54.5%、「たて座付近」41.5%、「いて座付近」35.5%であった。
 また、「白鳥座付近」の天の川を観察できた割合を、都市の規模別に見ると、巨大都市(人口100万人以上)7.1%、大都市(人口30万人以上100万人未満)21.3%、「中都市(人口10万人以上30万人未満)33.3%、小都市(人口10万人未満)74.2%であり、都市の規模により観察状況に大きな差が生じている。
[2] 双眼鏡による観察結果
  参加者各人に双眼鏡を用い、こと座の1等星(ベガ)を含む3つの星の作る三角形の中の星を観察し、何等級の星まで見えるかを観察してもらい、その結果を基に、都市の規模別の平均観察等級(観察できた星の等級の平均)を算出した。(表2・図1参照)
 
表2 平均観察等級の都市規模別比較
都市の規模
(人口)
巨大都市
(100万以上)
大都市
(30万以上
100万未満)
中都市
(10万以上
30万未満)
小都市
(10万未満)
全観察地点
の平均
昭和63年度
平成元年度
平成2年度
平成3年度
平成4年度
平成5年度
平成6年度
平成7年度
平成8年度
平成9年度
平成10年度
平成11年度
7.8
7.7
7.9
8.1
7.4
8.8
8.5
8
8.2
7.8
6.9
7.9
8
7.7
8.6
8.1
8.2
8.4
7.9
8.4
7.9
7.8
7.7
8.3
8.3
8.4
8.6
8.3
8.2
8.3
8.4
8.4
8.5
8.2
8.1
8.8
8.8
9.3
9.2
9.3
9.2
9.3
9.3
9.3
9
8.7
8.8
9.2
8.5
8.9
8.9
8.9
8.8
9
8.9
8.9
8.6
8.5
8.4
8.9
平成12年度 8.5 8.2 8.7 9.2 8.9
注) 星の等級について
  天体を地上で観測した時のみかけの明るさを表した数字。その星自体の明るさを表す絶対等級と区別して、みかけの等級ともいう。等級は数字が1減るごとに約2.5倍明るくなる。
 表2においては、数字が大きいほど暗い星まで見えることとなる。
 
図1 夏期における平均観察等級

 
[3] カラースライド写真から求めた「夜空の明るさ」
  夜空の明るさは、撮影範囲・露出時間等を一定条件にして撮影したカラースライド写真から、光の透過量を測定(測定機器:デンシトメーター)し、それから求めた夜空の明るさを星の等級に換算した値で求めており、数値が小さいほど夜空が明るく、大きいほど夜空が暗い状態を示す。(表3・図2参照)
 
表3 カラースライド写真から求めた「夜空の明るさ」の都市規模別比較
都市の規模
(人口)
巨大都市
(100万以上)
大都市
(30万以上
100万未満)
中都市
(10万以上
30万未満)
小都市
(10万未満)
全観察地点
の平均
昭和63年度
平成元年度
平成2年度
平成3年度
平成4年度
平成5年度
平成6年度
平成7年度
平成8年度
平成9年度
平成10年度
平成11年度
18
17.3
17.3
18.4
16.8
18.4
18.1
18
18.7
17.3
16.8
18.1
17.2
18.2
19.2
17.8
17.3
17.6
17.7
18.2
18.5
17.6
18
18.5
18.8
19.9
20
19.5
18.6
18.8
19.1
18.6
19.3
18.6
18.6
19.3
20.4
20.9
20.8
21
20.7
20.6
20.6
20.6
20.7
20.3
20.2
20.6
19.2
20.2
20.1
20
19.6
19.6
19.8
19.7
19.9
19.4
19.5
20
平成12年度 17.5 18.1 19.3 20.6 19.9
図2 夏期観察におけるカラースライド写真から求めた「夜空の明るさ」の推移

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局企画課大気生活環境室
室    長 :藤田 八暉(内線6540)
 室長補佐 :平塚 勉  (内線6541)
 担    当 :弥吉・佐藤 (内線6546)