報道発表資料

この記事を印刷
1999年09月30日

大阪都市計画都市高速鉄道に係る環境庁長官意見の提出について

環境庁は、大阪都市計画都市高速鉄道第8号線(井高野~今里)の環境影響評価書について、環境影響評価法第22条第2項の規定に基づき、運輸大臣及び建設大臣より環境の保全の見地からの意見を求められたことから、平成11年9月30日付けで、両大臣に対し、道路沿道環境対策、建設副産物対策及び地下水・地盤沈下対策等に関する環境庁長官意見を提出した。

【環境庁長官意見】

 大阪都市計画都市高速鉄道事業は、大気環境及び道路交通騒音が改善されていない地域において行われ、かつ、工事に際し多量の建設副産物を生じること、さらに、予測における不確実性の高い項目もあること等を勘案し、本事業の環境影響評価書について下記の意見を述べるものである
。  本意見に基づき、事業者への指導を徹底していただきたい。

1.大気環境関係

  事業区域周辺においては、現在、多くの大気測定局において二酸化窒素及び浮遊粒子状物質に係る環境基準が未達成であり、また、道路交通騒音についてもほとんどの地点で環境基準を超過している。このため、工事中の発生交通に起因する環境負荷を極力低減する必要があることから、ピーク時発生車両台数をより抑制した工事計画を立案し、道路沿道大気及び騒音に係る予測、評価を行うとともに、結果を評価書に記載すること。

2.発生土・廃棄物関係

  工事に伴う発生土については、事業内及び工事間における再利用を促進し、海面埋立処分量を最小限に抑制する必要がある。また、大阪府では、建設副産物再利用の定量的な目標を定めた建設リサイクル行動計画を策定している。このため、発生土の再利用率について、事業着手後具体的な目標を設定するとともに、発生量、再利用量及び埋立処分量について事後調査を行うこと。また、掘削土壌の汚染状況を監視すること。 さらに、建設廃棄物についても同様に目標の設定及び事後調査を行うこと。 上記の措置について評価書に記載すること。

3.地下水・地盤沈下関係

  事業区域では、工業用水法等に基づく地下水採取の規制が行われており、また、大規模な地下構造物の設置を伴う事業であることから、地下水・地盤沈下影響について下記の事項を評価書に記載すること。

  1. 工事中の土地の改変に伴う地盤沈下影響に加え、地下水影響に係る予測・評価
  2. 供用時の施設の存在に伴う地下水・地盤沈下影響について環境影響評価項目として選定しない詳細な理由
  3. 事後調査計画
4.事後調査関係

  供用時の電車走行振動及び換気施設騒音並びに工事中の建設作業騒音・振動及び発生交通量については、一部事業計画が未確定であること等による予測の不確実性を考慮すれば事後調査を適切に実施する必要がある。このため、項目、手法、公表方法等を含む具体的な事後調査計画について検討し、結果を評価書に記載すること。

5.その他

 環境影響評価法第21条第2項の規定を踏まえ、下記の事項について評価書を修正すること。

  1. 環境影響評価結果について、調査の結果の概要並びに予測及び評価の結果を環境影響評価の項目ごとにとりまとめる
  2. 環境影響評価結果について、対象事業に係る環境影響の総合的な評価を追記する
  3. 託先の氏名及び住所を追記する

【参考】

大阪都市計画都市高速鉄道第8号線(井高野~今里)について

1.事業の概要
(1) 事業名称 大阪都市計画都市高速鉄道第8号線(井高野~今里)
(2) 事業の種類 軌道の建設(軌道法)
(3) 都市計画決定権者 大阪府知事 山田勇
(4) 事業者 大阪市長 磯村隆文
(5) 通過地域 大阪市、守口市
(6) 建設延長  複線 12km、11駅
(7) 車両 非浮上式リニアモータ駆動車両
(8) 運転計画 4両4分間隔(開業時・ラッシュ時)
(9) 工事期間 平成11年度~平成17年度
(10)工事方法 シールド工法(駅間)+オープンカット工法(駅部)
(11)供用開始予定 平成18年度
(12)事業の目的 人口密度の高い市街地が形成されている大阪市東部地域における輸送需要への対応、同地域の慢性的な道路交通問題の解消及び、既設の都市高速鉄道の混雑緩和等を目的とした事業である。
2.主な手続きの経緯
平成11年5月21日~6月4日
府環境影響評価要綱に基づく準備書公告・縦覧
6月12日
環境影響評価法施行
8月2日
府知事意見
8月16日
建設省及び運輸省より法に基づき評価書送付・意見照会
連絡先
環境庁企画調整局環境影響審査室
室 長 :小林 正明(6231)
 審査官 :神谷 洋一(6233)