報道発表資料

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1999年09月28日

「環境活動評価プログラム」の改訂について

環境庁は、中小規模の事業者を含む幅広い事業者の環境保全の取組を促進することを目的とした「環境活動評価プログラム」の大幅な改訂を行った。
 改訂の主なポイントとしては、本年中の発行が予定されているISO14031(環境パフォーマンス評価)との整合性を確保し、そのガイドとして利用できるようにしたことが挙げられる。また、環境政策の進展等を踏まえ、化学物質の排出量等の把握手法及び二酸化炭素の排出量の算出手法等の改訂を行った。

 今後、従来から普及事業を担当している(社)全国環境保全推進連合会及びその地域団体に加え、広く地方公共団体や環境カウンセラー等の協力を得て、幅広く普及を図っていくこととしている。

(注)「環境活動評価プログラム」は、平成8年9月に環境庁が策定し、普及を進めてきたもの。二酸化炭素や廃棄物などの環境負荷の状況と環境保全の取組の状況についての自己評価の手法を示すとともに、その結果をもとにした環境行動計画づくりの方法を示すことにより、中小規模の事業者を含む幅広い事業者を対象に、環境保全の取組を広げていこうとするものである。
[1].環境活動評価プログラムの趣旨

 事業者の環境管理の手法としては、ISO14001(環境マネジメントシステム規格)が制定されている。この規格は、環境保全の取組を進める上で有効なものであり、現在、多くの事業者がこの規格に沿って環境マネジメントシステムの構築に取り組んでいる。
 しかしながら、その一方で、我が国に存在する700万近い幅広い事業所の大多数は、環境活動への意欲はあったとしても、自らの事業活動と環境との関わりや行動の方法等についての情報が十分でなく、どこから手をつけてよいのかもわからないというのが現状ともいえる。こうした幅広い事業者に環境保全の取組を広げていくには、より簡易な手法を提供することも重要である。ISO14000シリーズにおいても、環境マネジメントシステムを構築していない事業者においても有効な手法として、ISO14031(環境パフォーマンス評価)が発行されようとしているところである。
 「環境活動評価プログラム」は、そうした大多数の事業者が、簡単な方法により、自主的に「環境との関わりに気づき、目標を持ち、行動する」という地球市民としての役割を果たし、具体的な環境活動が展開できるようにするための手法を提供するものである。その内容は、事業活動に伴う環境への負荷の簡易な把握の方法や、環境保全のために事業者に期待される具体的な取組のチェックリストを示し、自己チェックの結果を基とした計画づくりと取組の推進の手法を示すものである。

[2].今回改訂のポイント
1.

ISO14031(環境パフォーマンス評価)との整合性の確保
 「環境活動評価プログラム」は、元来、環境パフォーマンス評価と密接に関連しており、ISO14031の事例集であるTR14032においても、本プログラムで取組を始めた新潟県の食品会社の事例が掲載されることとなっている。
 今般、ISO14031のDIS投票が終了し、規格の内容がほぼ固まったことを受けて、その考え方を随所に盛り込み、整合性を確保して、そのガイドとして使用できるようにした。

(改訂内容の例)

  • 環境への負荷と環境保全の取組の自己チェックを行う評価項目について、事業の特性等を踏まえて、自ら選択しやすいようにした。(P.7)
  • 評価項目の選択に始まり、自己チェックの実施、環境行動計画の作成・実施、計画及び評価項目の見直しといった一連のプロセスを繰り返し行うことにより、取組の改善を進めていくことを強調した。(P.2)
2. 環境政策の進展を踏まえた自己チェック方法の改訂
(1) 化学物質対策
 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)の制定等を受けて、本法律の考え方に合わせて、化学物質排出量・移動量等の把握の方法を改訂した。(P.19)
(2) 地球温暖化対策
 二酸化炭素の排出量算出のための係数について、1997年度の温室効果ガスの排出量(平成11年7月発表)の算出に際して用いられた最新の係数(最新の科学的知見を基に修正されたもの。)に合わせて、改訂した。
 また、地球温暖化対策推進法の成立等を受けて、取組の自己チェックリストに、HFC,PFC,SF6等の温室効果ガスの排出抑制に関する内容を加えた。(P.28)
3.

参加の方法・手続きの柔軟性の向上
 環境活動評価プログラムへの参加届出に当たって、これまで環境行動計画の公表・提出を求めていたが、これを改め、以下の2種類の参加形態を選択できるようにした。
 なお、それぞれの届出方法毎に、参加事業者リストを作成し、環境保全に配慮して行動している事業者として(社)全国環境保全推進連合会のホームページ等で公表する予定。(P.4,49)
<参加届出方法>

○タイプ[1] ・環境行動計画を作成し、公表している事業者
→計画書を添付して届出
○タイプ[2] ・環境行動計画を作成している事業者
→事業所名と主な取組を届出

4.

普及方策の強化
 これまで普及活動を行ってきた(社)全国環境保全推進連合会及びその地域団体に加え て、広く地方公共団体や環境カウンセラーなどの協力も得て、幅広い普及を図っていくこ ととしている。(P.3)
 なお、大企業が子会社や調達先に環境対策を求める際のガイドライン等の形で活用されることも期待しており、こうした場合、自由に修正、加工して活用してできることを明記 している。(P.5)
5. .わかりやすさ、使いやすさの向上
 以上のほか、事業者の目からみてわかりやすく、また使いやすくなるよう構造や表現方法の修正を行った。
[3].改訂のための検討

 今回の改訂に当たっては、以下の「環境活動評価プログラム改訂検討委員会」において 3回にわたり、御議論、御検討いただいた。

座長 内藤 正明 京都大学工学研究科教授
  兼子 博吉 静岡県環境保全協会専務理事
  後藤 敏彦 環境監査研究会代表幹事
  竹内 敬二 (株)富士総合研究所主任研究員
  森口 祐一 国立環境研究所総合研究官
  森下 研 (株)エコマネジメント研究所代表
  矢部 浩祥 中央大学商学部教授
  山中 芳夫 大阪学院大学経営科学部教授
  横山 宏 (株)日立製作所環境本部地球環境推進センター長/環境管理規格審議委員会SC4小委員会委員長

(以上、敬称略)

参考:「環境活動評価プログラム」の請求先

(社)全国環境保全推進連合会
〒113-0033 東京都文京区本郷3-14-10泰生ビル2F
TEL 03-5684-5730  FAX 03-5684-5739

 ※返信用封筒(A4サイズが入る大きさ)に送付先を明記の上、300円分の切手を同 封して上記までお送り下さい。
 (プログラム改訂版1部希望とお書き下さい)

連絡先
環境庁企画調整局環境保全活動推進室
室   長 : 松村 隆  (6196)
 室長補佐 : 大熊 一寛 (6264)
 主   査 : 波村 多門 (6271)