報道発表資料

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2014年12月11日
  • 自然環境

第17回日豪渡り鳥等保護協定会議、第15回日中渡り鳥等保護協定会議及び第12回日韓渡り鳥保護協力会議の結果概要について(お知らせ)

第17回日豪渡り鳥等保護協定会議、第15回日中渡り鳥等保護協定会議及び第12回日韓渡り鳥保護協力会議が11月12日から14日にかけて中国・徳清県で開催されました。各国における渡り鳥の保全施策や研究成果等の情報交換や、絶滅危惧種やその生息地の保全、陸生鳥類のモニタリング、鳥インフルエンザ等に係る協力のあり方について意見交換を行い、日豪、日中、日韓それぞれの間で、渡り鳥の保全やその生態の解明に向けて協力を一層推進することを確認しました。

1.開催日程及び場所

(1)日時:

 平成26年11月12日(水)4カ国全体会議

13日(木)第17回日豪渡り鳥等保護協定会議(午後)

14日(金)第15回日中渡り鳥等保護協定会議(午前)

 第12回日韓渡り鳥等保護協力会議(午後)

(2)場所:

中国・徳清県

2.各会議の概要

(1)4ヶ国全体会合

 会期の前半に、日豪中韓の4ヶ国が一堂に会し、共通の議題についての報告等を行うことにより、その後の二国間会議における議事進行の円滑化を図りました。前回会議以降に各国が講じた渡り鳥保全施策、渡り鳥の標識調査、個体数のカウント調査、人工衛星追跡調査及び鳥インフルエンザ関連調査の実施状況とその結果、並びにシギ・チドリ類の減少要因の分析結果等の報告や、黄海沿岸域をはじめとする干潟環境の保全に関する提案等が行われました。また、渡り鳥の保全に向けて、4ヶ国が協力して一層の取組を行う必要があることを確認しました。

(2)第17回日豪渡り鳥等保護協定(注1)会議

○協定付表の改正

 前回の会議以降、両国の環境省間で、最新の鳥類目録等を踏まえた協定付表(日豪間の渡り鳥リスト)の改正案について一致し、現在は外交ルートを通じた調整が行われていることについて、作業の進展を評価するとともに、付表改正が早期に実現するよう引き続き両国で取り組むことを確認しました。

○シギ科鳥類の保全

 日本及び豪州において渡り性シギ科鳥類が急速に減少していること、特に、黄海沿岸の干潟を利用する種については日本及び豪州双方での研究において共通して減少傾向が認められていること、加えて日本においては水田等の内陸の湿地への依存度が高い種で減少傾向が顕著であること等、シギ科鳥類に関する双方の国での最近の研究成果について共有しました。シギ科鳥類の保全に向けて、今後も両国間で情報交換を進めていくことを確認するとともに、衛星追跡による詳細な渡り経路や重要な中継地に関する情報を拡充することが重要であるとの認識を共有しました。

 また、豪州より、豪州の環境保護及び生物多様性保全法に基づく絶滅危惧種のリストに絶滅危惧ⅠB類(EN)として新たに加わる見込みであるホウロクシギについて、来年1月に釧路で開催される東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップ(注2)の第8回パートナー会議(MOP8)において、同パートナーシップの下で保全行動計画を策定することを提案したいとの意向が示され、MOP8までに具体的な内容等について両国で調整を図ることを確認しました。

○干潟生息地の再生・代替地の創出に関する検討

 豪州より、特に黄海沿岸において渡り性水鳥にとって重要な干潟生息地が急速に減少していることを踏まえて、干潟生息地の再生又は代替地を創出する方法を検討していくことについて提案があり、まずは両国での類似事例を収集及び交換し、成功事例の特徴等を整理することを確認しました。

○その他

 日本より、コアジサシ及びオオミズナギドリの繁殖状況等に関する調査結果を報告し、これらの種の保全について意見交換を行いました。

 東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップの設立を主導した国として、MOP8の成功や同パートナーシップの推進に向けて、引き続き両国で協力していくことを確認しました。

次回会議はおおむね2年後にオーストラリアで開催することが合意されました。

(3)第15回日中渡り鳥等保護協定(注3)会議

○協定付表の改正

 日本より、第13回会議までに進めた作業を基礎として、最新の鳥類目録等を踏まえて協定付表(日中間の渡り鳥リスト)の改正案を作成すること及び次回会議までに付表改正のための作業を終了させることを目標とすることを提案し、合意されました。

○渡り鳥の捕獲規制の実施状況に関する意見交換

 協定第2条に基づく渡り鳥の捕獲等の規制の重要性に鑑みて、両国での規制の実施状況や関連する取組について共有し、意見交換を行いました。日本からは鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律に基づく規制内容、市民団体による密猟対策の取組等について紹介し、中国からは規制内容の紹介の他、中国の一部の地域では野生動物を食べる習慣があるが、保護対象の鳥類と知りながら購入し食用に供した者に対してこの春より罰則を適用することができるようになったこと等、規制強化を図っている旨の報告がありました。

○渡り性スズメ目のモニタリング

 中国より、統一した調査手法により日中韓でスズメ目のモニタリングを実施し、結果を共有していくことについて提案があり、日本からは標識調査やモニタリング1000での陸生鳥類調査の実施状況について紹介しつつ、意見交換を行った結果、まずは専門家によりモニタリング手法について検討する場を設けることで合意しました。

○日中韓ズグロカモメ共同調査

 日本より、日中韓ズグロカモメ共同調査の今後の実施内容として、渡りルートの更なる解明のため、衛星追跡調査を継続することを提案し、合意されました。また、来年の調査は中国で実施する方向で一致しました。

○高病原性鳥インフルエンザに係る協力

 鳥インフルエンザ発生時の対応等に関する両国の体制について共有し、両国で窓口を定め、鳥インフルエンザ発生時に迅速に情報交換を行うことを確認しました。また、日本からは、4月の熊本県における鳥インフルエンザの発生状況や、直近の出来事として島根県において採取されたコハクチョウの糞便から高病原性鳥インフルエンザウィルスH5N8型が検出されたとの発表を11月13日に行ったことを報告しました。

○その他

 ナベヅルやタンチョウ等のツル類の両国での分布状況等について意見交換を行いました。

 日本から、シギ科鳥類に関する最近の研究成果について紹介し、シギ科鳥類の保全に向けて両国間で情報交換を促進していくことを確認しました。

 来年1月に釧路で開催される東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップのMOP8の成功や同パートナーシップの推進に向けて、引き続き両国で協力していくことを確認しました。

 次回会議はおおむね2年後にオーストラリアで開催することが合意されました。

(4)第12回日韓渡り鳥等保護協力会議

○渡り鳥保護協定に関する意見交換

 日韓の渡り鳥保護協定の締結に向けた両国での作業状況について共有し、今後の作業として、まずは、協定の付表として位置づけられることとなる日韓間の渡り鳥リストについて、第9回会議で合意した内容を最新の鳥類目録等を踏まえて見直すことを確認しました。

○高病原性鳥インフルエンザに係る協力

 鳥インフルエンザ発生時の対応等に関する両国の体制について共有するとともに、前回の会議で定めた鳥インフルエンザに係る情報交換の窓口の更新について確認しました。また、鳥インフルエンザに感染した野鳥については、他の地域に拡散しないように静かに見守ることを第一とすべきことを意見交換しました。加えて、日本からは、4月の熊本県における鳥インフルエンザの発生状況や、直近の出来事として島根県において採取されたコハクチョウの糞便から高病原性鳥インフルエンザウィルスH5N8型が検出されたとの発表を11月13日に行ったことを報告しました。

○日中韓ズグロカモメ共同調査

 日本より、日中韓ズグロカモメ共同調査の今後の実施内容として、渡りルートの更なる解明のため、衛星追跡調査を継続することを提案し、合意されました。また、来年の調査は中国で実施する方向で一致しました。

 韓国からは、韓国でのズグロカモメの繁殖状況に関する報告や、ズグロカモメ個体数の把握のための日中韓同時調査や情報共有のためのワークショップ開催の提案があり、これらの提案については中国も加えた三ヶ国で今後検討していくこととなりました。

○陸生鳥類のモニタリング

 韓国より、日中韓露で陸生鳥類のモニタリングを実施しその結果を共有していくことや、モニタリング手法やデータ管理方法等についての検討を行う会議を開催することについて提案があり、意見交換の結果、中国からも同様の提案があったことを踏まえて、今後の進め方については中国も加えた三ヶ国で調整していくこととなりました。

○その他

 日本から、シギ科鳥類に関する最近の研究成果について紹介し、シギ科鳥類の保全に向けて両国間で情報交換を進めていくことを確認するとともに、関係国による衛星追跡調査の共同実施の重要性について確認しました。

 カンムリウミスズメに関する双方の国での最近の研究成果を共有し、同種が主に分布する日本と韓国とで共同研究や情報交換を進める重要性を確認しました

 来年1月に釧路で開催される東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップのMOP8の成功や同パートナーシップの推進に向けて、引き続き両国で協力していくことを確認しました。

 次回会議はおおむね2年後にオーストラリアで開催することが合意されました。

注1)正式名称「渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定」:昭和56年4月30日発効

注2)平成18年11月に発足した、アジア太平洋地域の渡り性水鳥の保全のための枠組み。法的拘束力を持たず、アジア太平洋地域の政府機関、国際機関、NGO等計34主体が参画し、情報交換や共同保全事業を行っている。WSSDタイプⅡパートナーシップ及びラムサール条約の地域イニシアティブとして認められている。

注3)正式名称「渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定」:昭和56年6月8日発効

連絡先
環境省自然環境局野生生物課
代表 :03-3581-3351
直通 :03-5521-8284
課長 :中島 慶二(内線 6460)
補佐 :河野 通治(内線 6465)
専門官:辻田 香織(内線 6468)