報道発表資料

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1997年01月21日

砂漠化防止条約政府間交渉委員会第10回会合の結果について

砂漠化防止条約政府間交渉委員会第10回会合は、1月6日(月)から17日(金)まで、ニューヨークの国連本部で開催され、本年9月29日から10月10日までローマで開催される砂漠化防止条約第1回締約国会議に向けた準備が進められた。
 今回の会合では、前回会合に引き続き、条約上定められている資金メカニズム(グローバル・メカニズム)が如何に資金を動員等するかについての議論が焦点となり、同メカニズムが資金を直接に提供する機能を持たせるべきとする途上国と、資金の導入等の触媒的機能を果たすべきとする先進国との間で議論が紛糾し、最終的には、第10回会合継続会議を8月18日から22日までジュネーブで開催し、この点に絞った検討を行うこととなった。
 しかしながら、第1回締約国会議の開催に向けての諸準備は、懸案となっていた手続規則についても暫定的な合意が得られるなど相当程度進み、第1回締約国会議が大きな混乱を生じることなく開始できる条件を概ね整えることができたと評価できる。               

1.日程等

日 時 1月6日(月)~17日(金)
場 所 ニューヨーク(国連本部)
出席者 108ヶ国の政府代表、200人余りのほか、17国際機関、NGO37団体が出席した。

 
2.本会合のポイント

 砂漠化防止条約政府間交渉委員会第10回会合は、砂漠化防止条約が1996年12月26日に発効したことを受けて、本年9月29日から10月10日までローマで開催されることとなった第1回締約国会議に向けた最終の準備会合であり、前回会合までに合意できなかった資金メカニズム(グローバルメカニズム)や条約事務局の設置場所等について具体的な討議を進めることを目的に開催された。
 
(1)資金メカニズム(グローバル・メカニズム)の機能等
 
 条約第21条に基づき、砂漠化の被影響国の取組を支援するために設置されることとなっているグローバルメカニズムの諸機能のうち、資金の動員等に関することに関し、途上国と先進国の意見に隔たりが大きく、連日夜までの非公式折衝が行われた。触媒的機能を想定している条約の規定にかかわらず、G77・中国側は、資金を直接途上国に供与し、資金を提供する機能を持つものであるとして譲らなかった。これに対し、先進国側も、グローバルメカニズムが資金の導入等の触媒的機能をどのようにして果たすことができるのかを具体的に説明することができず、最終的には、第10回会合継続会議を8月18日~22日にジュネーブで開催することが決定された。
 このほか、資金動員メカニズムを除いたグローバルメカニズムの機能については合意が行われ、グローバルメカニズムのホスト機関の決定については、ホストを申し出ているUNDP及びIFAD(国連国際農業開発基金)に対し更なる提案を行うよう要請を行った。
 
(2)その他の第1回締約国会議に向けた諸準備
 
 条約常設事務局の設置機関に関しては、これまで、UNEPと国連が併記されていたところ、国連に委託することが合意された。なお、設置場所については、ドイツ、スペイン、カナダの3ヶ国が誘致を表明しているが、誘致を行っている3ヶ国とビューローとの間で非公式協議が続けられており、今回会合では特段の公式議論は行われなかった。
 科学技術委員会の準備のために、各国が、第1回科学技術委員会で取り上げるべき事項について意見を提出すること、関係分野の専門家の登録を行うこと等が決定された。
 このほか、手続規則について、これまで合意の得られていなかった締約国会議副議長の数を、暫定的に9人とすることが合意された。
 以上により、第1回締約国会議が大きな混乱を生じることなく開始できる条件を概ね整えることができたと評価できる。
 
(3)条約への加入状況
 事務局からの報告によれば、1月6日にブルンディとアルゼンチンが加入し、締約国数は60ヶ国となっている。
 
3.今後の予定

 グローバルメカニズムの機能に関する第10回会合継続会議が8月18日~22日にジュネーブで開催され、同継続会議で砂漠化防止条約政府間交渉会議は終了する。
 第1回締約国会議が本年9月29日から10月10日までイタリア・ローマで開催される。
 
4.我が国(環境庁)としての対応
 
 我が国は、同条約の政府間交渉委員会のビューローメンバーであり、資金メカニズムや手続規則に関する合意形成に向け、非公式にも尽力したところである。今後は、第10回継続会議が成果を収め、イタリアでの第1回締約国会議の準備が全て整うよう引き続き努力する必要がある。  また、同条約への加入手続を早急に進めるよう関係省庁と協力するとともに、同条約が、「砂漠化を地球全体の問題として国際的に協力して解決していこうとする趣旨のものであること」、その際には、「地域の住民の日常的な参画を得るなど、砂漠化被影響国の社会に根差した対策実施が重要であるとしたこと」などに配慮し、環境庁としては、{1}国際的な砂漠化対策に向けた国民意識の啓発、{2}対策技術などの科学的側面についての知見の集約と国際的提供、{3}普通の村落の日常活動に即した砂漠化防止対策の開発や実施について取組を強めていくこととしている。
 
*プログラムは添付ファイル(0121.txt)参照。 

連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課長 小林   光(6740)
 補佐 島田 幸司(6763)
 係長 中尾   豊(6738)
 担当 菅原 雅彦(6738)