報道発表資料

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2014年11月18日
  • 自然環境

ライチョウ生息域外保全実施計画の策定について

 環境省では、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)に基づく国内希少野生動植物種のライチョウについて、保護増殖事業計画に基づき、「ライチョウ生息域外保全実施計画」を取りまとめましたので公表します。
 今後、本計画に沿って、具体的な取組を進めていきます。

1 策定の背景について

 環境省は、文部科学省と農林水産省とともに平成24年10月に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」に基づく「ライチョウ保護増殖事業計画」を策定しました。
 本計画は、ライチョウ保護増殖事業計画に基づき、飼育・繁殖技術の確立、飼育下個体群の維持、科学的知見の集積を目的として、生息域外保全の基本的な考え方や今後の進め方を示したものです。
 今後は本計画に基づき、環境省及び公益社団法人日本動物園水族館協会が連携して、ライチョウの生息域外保全に取り組んでいきます。
 本計画は、「ライチョウ保護増殖検討会(環境省長野自然環境事務所設置)」における専門家等の意見を踏まえて作成しました。

2 概要

(1)目的
○ 野生復帰させ得る資質を有する本種の生息域外保全個体群の形成を念頭に飼育・繁殖等の技術を確立し、遺伝的多様性を考慮した保険としての種の保存(保険個体群の維持)を図るとともに、科学的知見の集積を図ることを目的とする。

(2)実施主体及び実施体制
○ 環境省、公益社団法人日本動物園水族館協会(以下、日動水)及び同協会正会員所属園館により実施。
○ 日動水と環境省の間で平成26年5月に締結した「生物多様性保全の推進に関する基本協定書」に基づく取組として位置づける。

(3)生息域外保全の基本的な考え方
○ 生息域外保全は、生息域内保全の補完として実施するものであり、常に生息域内保全と連携を図りながら実施する。また、野生復帰を見据えて生息域外保全をどのように保護増殖事業に活用すべきかを十分に検討する。
○ 過去の飼育繁殖の経験や近縁種での技術開発の状況を踏まえ、できるだけ早期のライチョウの生息域外個体群の確立・維持に取り組む。
○ これまでの遺伝解析の結果等から、頸城山塊、北アルプス、乗鞍岳、御嶽山、南アルプスの5つの個体群を基本として保全施策を検討する。ただし、今後の遺伝解析研究の進展を踏まえ、適切な保全単位の設定に関する検討を行う。
○ 生息域外保全には段階的に取り組むこととし、第一段階として乗鞍岳の個体群からファウンダー(野生下から飼育下に導入する個体)を確保して技術開発を目指す。第二段階では近い将来存続が困難になる危険性のある個体群について保険個体群を確立する。第三段階では野生復帰をさせ得る資質を有する個体の創出及び確保を目指す。

(4)生息域外保全の実施方法
○ ファウンダーの確保は、生息域内個体群への影響が最小限となるよう配慮する必要がある。適切な確保数、確保時期等については生息域内保全と生息域外保全の関係者が協働して具体的な計画を作成した上で実施する。
○ 大町山岳博物館における過去の飼育・繁殖事例や、近縁亜種のスバールバルライチョウの飼育繁殖によって蓄積された知見を活用し、これらを応用してライチョウの飼育繁殖技術開発に着手する。飼育開始に向けては、日動水の関係者によりライチョウの飼育に関する計画を作成した上で着手する。
○ 将来的な野生復帰の可能性を念頭に置き、第一段階において技術・体制確立にある程度目途がついた段階で、野生復帰の技術開発に関する試験等も同時並行で進めていく。
○ 生息域外個体群の維持に寄与しない余剰個体については、可能な限り生じさせないことが望ましいが、やむを得ず生じた余剰個体についは、保全に関する研究目的での利用や普及啓発の効果を期待した展示個体として活用していく。

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室
直通:03-5521-8283
代表:03-3581-3351
室長  :安田 直人(6677)
室長補佐:笹渕 紘平(6464)
係長  :小林 靖英(6687)

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