報道発表資料

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2014年10月16日
  • 総合政策

(仮称)大豊風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、16日、高知県で実施予定の「(仮称)大豊風力発電事業」(株式会社ユーラスエナジーホールディングス)に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、総出力23,000kWの風力発電所を高知県大豊町に設置するものである。
 環境大臣意見では、騒音等の影響を回避低減するため風力発電設備の配置等の再検討及び低騒音型設備を採用すること、必要な猛禽類等調査を実施すること等を求めている。

1.背景
 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kw以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、事業者から提出された環境影響評価準備書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して経済産業大臣に意見を言うことができるとされている。
 本件は、株式会社ユーラスエナジーホールディングスの「(仮称)大豊風力発電事業」に係る環境影響評価準備書について、この手続に沿って意見を提出するものである。
 今後、事業者は、環境大臣及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、法に基づく環境影響評価書の作成等の手続が求められる。

※環境影響評価準備書:環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測及び評価、環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。

2.事業の概要
 本事業は、高知県大豊町に、総出力23,000 kW(2,300kW×最大10基)の風力発電所を新設するものである。
 本事業の対象事業実施区域の一部は梶ヶ森県立自然公園に指定されており、クマタカ等の猛禽類をはじめ重要な動植物の生息・生育が確認されている。また、山地稜線部を改変するため、発生土による水環境、動植物の生息・生育環境、生態系、景観等への影響が懸念される。

3.環境大臣意見の概要
【総論】
(1)事後調査及び環境モニタリングを適切に実施し、その結果を踏まえ、追加的な環境保全措置を講ずること。
(2)追加的な環境保全措置の具体化に当たっては、内容が十全なものとなるよう客観的かつ科学的に検討すること。また、検討のスケジュールや方法、専門家等の助言、主要な論点及びその対応方針等を公開し、透明性及び客観性を確保すること。
(3)調査の結果については、環境影響を分析し、環境保全措置の内容、効果及び不確実性の程度について報告書として取りまとめ、公表すること。
【各論】
(1)騒音等について
 1)レクリエーション施設では、騒音影響が予測されていることから、可能な限り回避・低減する観点から、風力発電設備の配置等を再検討するとともに、より低騒音型の設備を採用すること。また、環境モニタリングを実施し、風力発電設備等の稼働調整等追加的な環境保全措置を講ずること。
 2)工事用車両の運行に係る騒音の影響を低減するため、車両台数の平準化等の環境保全措置を講ずること。また、環境モニタリングを行い、追加的な環境保全措置を講ずること。
(2)水環境について
 年間降水量が3,000mmを超える多雨地域であるため、水環境に対する環境影響を回避・低減する観点から、調査、予測、評価を行い、適切な排水処理計画を策定するとともに、沈砂池等の配置や濁水処理等の環境保全措置を講ずること。
(3)動物について
 隣接地で繁殖するクマタカについては標準的な調査は行われておらず、環境影響の予測、評価には大きな不確実性が伴うため、環境影響を可能な限り回避・低減する観点から、「猛禽類保護の進め方(改訂版)」等の考え方に基づき、これまでに実施した調査結果及び専門家等からの助言を踏まえて、必要な調査を実施し、風力発電設備の配置や構造の変更を、適切に実施すること。
 特に、北東部に位置する2基の風力発電設備については、専門家等からの助言を踏まえて、風力発電設備の配置等を再検討するとともに、事後調査を実施し、風力発電設備の稼働調整等の環境保全措置を講ずること。また、事後調査により判明した内容に応じ、専門家等からの助言を踏まえて、追加的な環境保全措置を講ずること。
 併せて、死亡・傷病個体の確認を高い頻度で適切に実施し、原因の分析及び傷病個体の救命を行うため、関係機関と連絡・調整、個体の搬送、原因分析への協力を行うこと。
(4)植物について
 1)尾根筋において森林部を伐開すると、新たに生じた林縁部分が、乾燥や強風等による影響を受けやすいことから、風力発電設備等の検討に当たっては、無立木地や既存道路を可能な限り活用すること。
 2)希少な植物の移植に当たっては、移植方法及び移植先の適切な選定が、移植先への影響の回避及び移植の成否の重要な要素となることから、慎重に実施すること。
(5)人と自然との触れ合いの活動の場について
 梶ヶ森県立自然公園に指定されている区域においては、土地の改変の回避に努めるとともに、山頂利用の確保、眺望への配慮等を含めた環境保全措置を講ずること。
(6)廃棄物等について
 工事用道路の施工に伴う多量の発生土が見込まれるため、工事用道路の配置、規模等の見直しを含め、発生土を抑制するよう努めるとともに、土捨場の設置場所については、自然植生、湿地、希少な動植物の生息・生育地等をできる限り回避すること。

4.その他
 本件は、「発電所設置の際の環境アセスメントの迅速化等に関する連絡会議中間報告」(平成24年11月27日、環境省・経済産業省)に基づき、審査期間の短縮に取り組むこととした案件である。


[参考]

○事業概要
 ・名称:(仮称)大豊風力発電事業
 ・事業者:株式会社ユーラスエナジーホールディングス
 ・計画位置:高知県長岡郡大豊町穴内及び北川他 各地内
 ・出力:23,000 kW(2,300kW×10基)
○環境影響評価手続(環境影響評価法及び電気事業法に基づく手続)
 【方法書の手続】
 ・縦覧:平成25年3月19日~平成25年4月18日(住民意見0件)
 ・経済産業大臣勧告:平成25年8月20日
 【準備書の手続】
 ・縦覧:平成26年5月1日~平成26年6月2日(住民意見0件)
 ・高知県知事意見提出:平成26年10月15日
 ・環境大臣意見提出:平成26年10月16日

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8237)
室長   :神谷 洋一(内6231)
室長補佐:相澤 寛史(内6233)
審査官  :田中 友之(内6236)

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