報道発表資料

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1999年12月16日

中央環境審議会大気部会悪臭専門委員会報告「悪臭防止対策の今後のあり方について(第三次報告)」について臭気指数規制に係る排出水の規制基準の設定方法について

12月17日(金)に開催予定の中央環境審議会大気部会悪臭専門委員会(委員長:猿田勝美神奈川大学名誉教授)において、臭気指数規制に係る排出水の規制基準の 設定方法を内容とする「悪臭防止対策の今後のあり方について(第三次報告)」がまとめられる。
 本報告案について中央環境審議会大気部会での審議・答申の後、悪臭防止法施行規則の改正等所要の手続きを進めることとしている。

1.経緯

 平成7年3月3日の中央環境審議会(会長:近藤次郎(財)国際科学技術財団理事長)からの「悪臭防止対策の今後のあり方について」の第一次答申を受けて、同年の 悪臭防止法改正において、従来の特定悪臭物質規制に加えて、複合臭気の問題等に対応するため嗅覚測定法による臭気指数規制の導入が行われるとともに、臭気指数規制に 係る敷地境界線における規制基準(第1号規制基準)が総理府令において設定された (平成8年4月1日施行)。その後、平成9年11月21日付けの気体排出口に係る 規制基準(第2号規制基準)の設定方法に関する第二次答申を受けて、平成11年3月 12日に気体排出口に係る規制基準に関する総理府令の改正が行われた(同年9月 13日施行)。

 排出水における規制基準(第3号規制基準)については、「悪臭防止対策の今後の あり方について」の平成7年3月の中央環境審議会第一次答申において、排出水から 拡散した臭気が地上 1.5 m 地点で敷地境界線における規制基準(第1号規制基準) に適合するよう定めることとされており、今回の報告は、この考え方に基づいて 第3号規制基準の設定方法をまとめたものである。

2.「悪臭防止対策の今後のあり方について(第三次報告)」の概要

(1)臭気指数第3号規制基準とは

 工場・事業場の排出水から拡散した臭気が、水面上 1.5 m の地点において、敷地 境界線における規制基準(第1号規制基準)の臭気指数と等しくなるよう、排出水 から拡散した臭気を規制するもの。

(注)第1号規制基準は、臭気指数が10から21の間の値であって、都道府県知事 (指定都市・中核市にあってはその長)が定める値。

(2)臭気指数第3号規制基準の設定方法

ア排出水に係る臭気指数の測定法

 排出水に係る臭気指数の測定法については、第一次答申の中で、排出水を無臭の 水で段階的に希釈した試料の一定量を容器にとり、容器内の空気のにおいの程度に ついて三点比較式臭袋法と同様の手順により算出する方法を基本とするとされて いる。
  そこで、第一次答申の方法に基づいて、三点比較式臭袋法を基礎として、測定に 用いる使用器材及び操作方法を検討した結果、排出水の臭気指数による規制を 実施する場合の測定法として、試料を三角フラスコにとり、三角フラスコ内の空気 のにおいの程度について、三点比較式臭袋法と同様の手順により算出する三点比較 式フラスコ法が、その精度等においても十分な信頼性があるとの結論を得た。
  したがって、法規制に係る排出水の臭気指数の測定法は、三点比較式フラスコ法 とすることが適当である。
  なお、本測定方法と同様に無臭水で希釈した試料をフラスコを用いて嗅ぐ方法は、日本工業規格、上水試験法、下水試験法、ASTM(American Society for Testing and Materials)法などにおいて採用されている。

イ排出水に係る臭気指数規制基準の設定方法

 排出水に係る規制基準については、第1次答申において、排出水から拡散した 臭気が地上 1.5 m 地点で、第1号規制基準と等しくなるよう定めることとされて いる。この方針に基づいて規制基準の設定方法に係る調査検討を行った。 その結果、排出水における規制基準は、排出水臭気指数と排出水の水面から 1.5 m 上の地点における臭気指数( 1.5 m 上臭気指数)との関係を希釈度 (排出水臭気指数と 1.5 m 上臭気指数との比でどの程度薄まっているかをみる。) でとらえ、その平均値を基礎として、1.5 m 上臭気指数が第1号規制基準と等しく なるよう設定することとし、環境庁で行った排出水に係る臭気指数調査及び苦情 実態調査結果を踏まえ、希釈度を 16 に設定することが適当であるとの結論を 得た。
  したがって、排出水に係る臭気指数を Lw とし、第1号規制基準を L とした 場合、その関係は次の式で表され、これに基づき排出水に係る規制基準を設定する ことが適当である。具体的には、第1号規制基準は 10 ~ 21 の範囲で定めること となっているため、排出水に係る臭気指数規制基準は 26 から 37 の範囲の値と なる。
  なお、この設定方法の考え方は、悪臭防止法で定められている、特定悪臭物質 濃度における排出水に係る規制基準の設定方法の考え方と同様のものである。

Lw = L +16
Lw:排出水に係る臭気指数規制基準(第3号規制基準)
L :当該地域における敷地境界に係る臭気指数規制基準(第1号規制準)

 

連絡先
環境庁大気保全局企画課大気生活環境室
室   長 :藤田八暉(内6540)
 室長補佐 :高橋達男(内6542)
 担   当 :高橋一彰(内6545)