報道発表資料

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2014年09月11日
  • 総合政策

つがる南風力発電事業に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、11日、青森県で実施予定の「つがる南風力発電事業」(まほろば風力発電株式会社)に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、総出力25,290kWの風力発電設備を青森県つがる市に設置するものである。
 環境大臣意見では、風力発電設備がベンゼ湿原越しの岩木山の稜線を切断しない配置等の見直しや、設備の色彩等を関係地方公共団体の意見を聴取した上で決定すること等を求めている。

1.背景
 環境影響評価法及び電気事業法は、出力10,000kw以上の風力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、事業者から提出された環境影響評価準備書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して経済産業大臣に意見を言うことができるとされている。
 本件は、まほろば風力発電株式会社の「つがる南風力発電事業」に係る環境影響評価準備書について、この手続に沿って意見を提出するものである。
 今後、事業者は、環境大臣及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、法に基づく環境影響評価書の作成等の手続が求められる。

※環境影響評価準備書:環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測及び評価、環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。

2.事業の概要
 本事業は、つがる市に、総出力25,290kW(2,300kW×11基)の風力発電所を新設するものである。
 本事業の対象事業実施区域及びその周辺は、様々な鳥類の生息に適した湿地等の多様な環境を有しており、チュウヒやオオタカの繁殖が確認されるとともに、多数の渡り鳥が飛来する重要な自然環境となっている。また、対象事業実施区域の西側は、津軽国定公園に指定され、優れた自然景観の保全、利用が行われている。

3.環境大臣意見の概要
(1)総論

  • 総出力25,290kWを超過して発電することがないよう、風力発電設備の出力管理等を適切に行うこと。
  • 事後調査又は環境モニタリングを適切に実施し、その結果を踏まえ、追加的な環境保全措置を講ずること。
  • 追加的な環境保全措置の具体化に当たっては、内容が十全なものとなるよう客観的かつ科学的に検討すること。また、検討スケジュールや方法、専門家等の助言、主要論点及びその対応方針等を公開し、透明性及び客観性を確保すること。
  • 事後調査又は環境モニタリングの結果については、本事業による環境影響を分析し、調査により判明した環境の状況に応じて講ずる環境保全措置の内容、効果及び不確実性の程度について報告書として取りまとめ、公表すること。

(2)騒音等について
 採用する風力発電設備の正確な騒音のパワーレベルを把握し、調査、予測及び評価を再度行い、その結果に応じて、専門家等から助言を聴取し、配置の再検討等の適切な環境保全措置を講ずること。
 また、事後調査の結果に応じて、稼働時間の調整等の適切な環境保全措置を講ずること。

(3)風車の影について
 風車の影に係る事後調査の結果に応じて、稼働時間の調整等の適切な環境保全措置を講ずること。

(4)動物、植物、生態系について
 [1]生態系について

  • 調査結果やこれまでの解析結果を踏まえ、要すれば風力発電設備の配置や構造の変更等を検討し実施すること。また、事後調査の結果に応じて、秋から春にかけての渡来期の稼働停止等の環境保全措置を講ずること。
  • 鳥類の誘引が確認された場合等、環境保全措置について検討し実施すること。
  • 死亡個体等の確認を高い頻度で実施し、原因分析及び救命を行うため、関係機関と連絡調整、個体の搬送、原因分析への協力を行うこと。

 [2]水生動植物について
 本事業に伴う基礎掘削土の埋立予定場所における水生動植物等に関する調査を再度実施し、必要に応じて埋立場所の位置を見直すこと。

(5)景観について
 ベンセ湿原展望台から見る風力発電設備がベンゼ湿原越しの岩木山の稜線を切断しないよう、11号機の設置の必要性を再検討するとともに、設置の必要性があれば稜線を切断しないよう配置及び高さを見直すこと。また、風力発電設備の色彩、明度等について、関係地方公共団体の意見も聴取した上で決定すること。

4.その他
 本件は、「発電所設置の際の環境アセスメントの迅速化等に関する連絡会議中間報告」(平成24年11月27日、環境省・経済産業省)に基づき、審査期間の短縮に取り組むこととした案件である。

<参考>
○事業概要
 ・名 称 つがる南風力発電事業
 ・事 業 者 まほろば風力発電株式会社
 ・計画位置 青森県つがる市木造出来島及び木造吹原地区 各地内
 ・出  力 25,290 kW(2,300kW×11基)

○環境影響評価手続(環境影響評価法及び電気事業法に基づく手続)
【方法書の手続】
 ・縦覧          平成24年3月21日~平成24年4月20日(住民意見0 件)
 ・経済産業大臣勧告   平成24年11月30日
【準備書の手続】
 ・縦覧      平成26年4月26日~平成26年4月27日(住民意見2件)
 ・青森県知事意見提出  平成26年9月10日
 ・環境大臣意見提出   平成26年9月11日

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8237)
室  長:神谷 洋一(内6231)
審 査 官:田中 友之(内6236)
担  当:給田 周作(内6236)

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