報道発表資料

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2014年07月17日
  • 地球環境

「気候変動に関する非公式閣僚級会合 ペータースベルク気候対話V」の結果について(お知らせ)

平成26年7月14~15日、「ドイツ・ベルリンにて気候変動に関する非公式閣僚級会合ペータースベルク気候対話V」が開催されたところ、以下の通り概要をお知らせいたします。

会合の概要

(1)日程・場所

7月14~15日 於:ドイツ・ベルリン

(2)主催

ドイツ及びペルー(共同議長:バーバラ・ヘンドリクス環境・自然保護・建設・原子炉安全大臣、プルガル・ビダル・ペルー環境大臣)

(3)出席者等

ドイツ及びペルー並びに以下の国・地域・国際機関等が出席した(下線は閣僚級が参加)。

  豪州、バングラディシュ、ボリビア、ブラジル、中国、コロンビア、デンマーク、EU(欧州委員会)、フランスガンビア、インド、インドネシア、マーシャル諸島メキシコニュージーランドノルウェーポーランドサウジアラビア、セネガル、シンガポールスーダン南アフリカ、韓国、スイス、タンザニア、英国、米国、ベネズエラ、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局、ADP共同議長

日本からは尾池外務省地球規模課題審議官、吉田外務省気候変動課交渉官、三田経済産業省大臣官房審議官、田中環境省大臣官房審議官他が出席。

議論の概要

(1)2015年合意のあり方

1.2015年合意を一般国民にむけて説明するにあたっての定義付け、2.2015年合意の要素に関する議論の収斂点、3.2015年合意に向けた3つの最大の課題とは何か、について議論された。

1.については、すべての国の参加を確保するもの、2℃目標に向けた取組を行うもの等の緩和を中心に捉える定義付けを先進国がしていたのに対し、島嶼国や後発開発途上国(LDC)等の脆弱国からは、地球温暖化の影響を食い止め存続を維持するためのものとの定義付けもなされ、気候変動対策が喫緊の課題との認識が述べられた。

2.については、各国とも立場により様々な見解が示され、3.については、多くの国が、附属書Ⅰ国と非附属書Ⅰ国の差異化、2015年合意の法的性質、2015年合意における資金のあり方等を挙げた。

(2)各国が自主的に決定する約束草案(INDC)

1.各国の準備状況、2.事前コンサルテーションの在り方、3.INDCの提出から2015年合意に書き込まれるまでの間のプロセス、4.INDCの法的性質、について議論された。

1.については、米、EU、中国、コロンビア、ノルウェーが2015年第一四半期にINDCを提出する意向である旨発言した。

2.については、事前コンサルテーションの目的は,互いのINDCに対する理解を深めることであるという意見が述べられる一方、2℃目標に向けて総体としての努力を計るためのプロセスとすべきと述べる国もあった。

3.については、各国の貢献の「後退」は許されないとの共通の基本認識に立ちつつ、一度INDCが提出された後に数値の変更が可能か否かで議論が分かれた。

4.については、国際的な法的拘束力を持つ議定書の一部であるべき、国際的な法的拘束力を持つ文書の外に位置付けられるべき、国内法で拘束力が担保されるべき、一部については「留保(opt-out)」「参加(opt-in)」の権利が認められるべき等様々な意見が述べられた。

(3)メルケル・ドイツ首相及びウマラ・ペルー大統領の基調講演

会合中、メルケル・ドイツ首相及びウマラ・ペルー大統領による基調講演が行われ、以下の指摘があった。

1.メルケル・ドイツ首相

・IPCCの報告書を踏まえれば、気候変動対策には一刻の遅れも許されず、対策が遅れれば遅れるほどリスクが拡大することを強く認識すべき。

・主要な排出国はINDCを2015年春までに提出すべき。

・米国が既設の石炭火力発電所規制を導入すること、中国がINDCを第一四半期に提出すること等各国の努力を歓迎する。

・欧州委員会は2030年にGHG排出量1990年比40%削減の目標を掲げることを提案しており、EUとして10月に本目標を決定する予定。ドイツとしても再エネの導入拡大などさらに野心的なエネルギー政策を掲げている。排出量取引、炭素価格は有益な気候変動対策であると認識しており、世銀による新市場メカニズムに関する取組を支援している。

・ドイツとして、緑の気候基金(GCF)に7.5億ユーロを上限として拠出する予定。

2.ウマラ・ペルー大統領

・ペルーで開催されるCOP20では、パリで法的拘束力のある文書に合意するための政治的モメンタムを高める必要があり、地方自治体、民間企業、NGO、市民を巻き込んだものとする。

・COP19で決定されたとおり、各国は透明性のある形でINDCを提出し、互いに自らのINDCの野心度を説明することが重要。

・ペルーは豊かな生物多様性に恵まれた国であるが、気候変動の影響には脆弱な国であり、生物多様性や国民の生活に大きな影響を受けている。

・CBDR-RCに基づく資金や技術移転に関する具体的なルールが必要である。

・途上国は、工業化、経済成長による利益を享受しつつ、気候変動対策に取り組む必要があり、ポストミレニアム開発目標の動きともリンクすべきである。

・GCFへの早期の拠出に期待。

(4)2020年以前の野心の向上

 米国の既設石炭火力発電所規制や再エネ導入量の拡大、中国の化石燃料使用量の削減など各国の取組が紹介された。多くの途上国からワークストリーム2は具体的な取組の実施の段階へと進むべきであり、GCFが重要な役割を果たすことへの期待が述べられた。また、各国から本年9月に開催される国連気候サミットにおける更なる気候変動対策へ向けた政治的モメンタム向上への期待が述べられた。2020年以前の野心向上のための具体的な分野として、森林保全、化石燃料補助金の削減、HFCのフェーズダウン等が挙げられた。

(5)COP20までに及びCOP20において達成すべきもの

 COP20までに及びCOP20において達成すべき成果物について議論された。2015年合意に含まれる要素、INDCの範囲・詳細に関する共通理解、INDCの提出の際の情報(Up Front Information)の特定、2020年以前の野心向上に関する決定、GCFへの拠出、改訂京都議定書の批准、適応や実施手段に関する議論を深めること等が挙げられた。

(了)

連絡先
環境省地球環境局国際地球温暖化対策室
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8330
室 長:大井 通博
交渉官:水谷 好洋
担 当:東 実希