報道発表資料
本発表会は環境庁に一括計上されている国立機関公害防止等試験研究費により実施された研究成果について広く行政機関、民間企業等に普及することにより、環境保全に関する試験研究及び関連施策の一層の推進を図るものである。
1.概要
環境庁においては、関係行政機関の試験研究機関等が実施する公害防止等に関する試験研究経費を「国立機関公害防止等試験研究費」として一括計上し、その配分を通じ、国の環境保全に関する試験研究の総合調整を図っている。
本研究発表会は、この研究費により実施している研究課題のうち、平成7年度に研究を終了した26課題(9省庁、25試験研究機関)について、その研究成果を紹介するものである。
2.日時
平成9年1月23日(木) 13:15~16:40
24日(金) 10:00~16:40
3.場所
第1会場 各省庁共用944号会議室
第2会場 各省庁共用933号会議室
(通商産業省別館9階:東京都千代田区霞が関1-3-1)
4.日程
別添プログラムのとおり
5.その他
参加は自由で事前登録は不要、参加料は無料
(参考)
(1) 環境庁設置法に基づき、関係省庁が行う公害の防止等に係る試験研究費について、環境庁が一括して予算計上しているもの。
一括計上における試験研究は、環境行政のニーズに対応するため、試験研究の重点的強化を図る必要がある事項を毎年定めるとともに、関連する研究分野ごとに総合研究プロジェクトを編成し、試験研究の総合的推進を図っている。平成8年度においては、大気、水、廃棄物、自然環境、環境リスク対策等のプロジェクトを編成し試験研究を実施している。
(2) 平成8年度においては、19億円強を予算計上し、13省庁44試験研究機関において99の研究課題(新規29、継続70課題)を実施している。
(参考)
(一部課題抜粋)
◎廃棄物プロジェクト
「ゴム及びプラスチック廃棄物の微生物処理技術の開発に関する研究」
通産省生命工学工業技術研究所、物質工学工業技術研究所、大阪工業技術研究所 |
ゴム及びプラスチックなどの固形廃棄物の生分解性に関与する因子を解明し、それらの生物処理のための評価方法を確立するとともに、天然ゴムや生分解性プラスチックなどの生分解性の高分子素材を含む廃棄物の微生物処理技術を確立することを目的として研究を行った。
ゴム製品の微生物処理は、比表面積を大きくすることにより効率が向上し、また、軟質ゴムを共存させることでその分解が促進されることが明らかとなった。
生分解性プラスチックの生分解性については、高分子の化学構造、結晶性、反応温度、土壌の種類が特に大きな影響を及ぼすことが分かった。これらは生分解性プラスチックの分子設計の指針となる。さらに、使用後の生分解性プラスチックの生物学的処理法として、コンポスト化法と発酵法が可能であることを見いだした。
◎排水・陸水プロジェクト
「有害有機化合物による陸水系汚染対策技術に関する研究」
通産省生命工学工業技術研究所、物質工学工業技術研究所、大阪工業技術研究所 |
有害有機化合物による陸水系の汚染の対策法として、分解反応による二次汚染を伴うことなく化学物質を分離、回収、再利用できる可能性を持った超臨界二酸化炭素による処理法を検討した。有機塩素系溶剤や農薬にこの方法を適用した結果、化学変化を伴うことなく処理、回収できることが分かった。地下水層に対しては、膜分離プロセスをコンパクト化、これを直接埋設して汚染除去を行うシステムを検討した。シリコンゴムをベースにフッ素系プラズマ重合膜を両面コーティングした膜を新たに開発し、丈夫な中空糸膜の束としてモジュール化し、太陽電池で動作するシステムによって、汚染は数千倍以上に濃縮されて地上で処理できるようになった。また、活性炭素繊維の改質による高性能な有機塩素化合物吸着システムのための材料開発を行った。ある種の活性炭素繊維の水素中加熱処理により繊維の強度及び有機塩素化合物の吸着性能が増大することが分かった。
◎海域プロジェクト
「日本近海における有機スズ汚染の評価方法並びに計測システムの確立に関する研究」
科学技術庁金属材料技術研究所 |
船底塗料や漁網防汚剤に広く用いられてきた有機スズ化合物の定量方法を研究した。試料としては、海水、低質土及び貝を対象とし、3Lの海水中の微量有機スズ化合物をわずか500mgの個体吸着剤で簡単に分離する方法を開発した。分析による環境汚染のリスクが低く、多数サンプル処理が可能であり人為的誤差の少ない定量方法を確立した。
◎自然プロジェクト
「南西諸島における海洋への土砂流出の発生機構の解明と防止技術に関する研究」
農林水産省九州農業試験場他、建設省土木研究所 |
南西諸島沿岸海域の生態系の保全と維持管理を図るため、農林地からの土砂流出・流下の機構を解明し、土砂流出防止技術、さらに、土砂流出を軽減するための流域管理手法の開発を行った。森林伐採や農地の植被管理等が土砂流出に及ぼす影響を解明し、それによる土砂流出を軽減する管理法が得られた。農地からの土砂流出防止のため、土壌の界面化学的特性の解明と土壌の団粒化促進及び耕うん法等の圃場管理作業による土壌の物理的特性改善策が得られた。流域からの流出土砂を制御し、流出軽減のための排水路・沈砂池・集水池・砂防ダムなどの施設構造等が明らかになった。
◎大気プロジェクト
「中・重量ガソリン貨物車に対する低NOx化技術の適用に関する研究」
運輸省交通安全公害研究所 |
有害成分のCO、HC、NOxを触媒反応で浄化する装置(三元触媒システム)を中・重量ガソリン貨物車に適用した場合、排出される有害な窒素酸化物(NOx)量の大幅な低減が期待される。しかし、車重の増加によりエンジンに高負荷・高回転で使われる頻度が多くなるため、触媒への熱負荷が激しくなり、触媒の熱劣化が起こりやすくなる。
本研究では、加減速の激しい運転となる都市内を走行する総重量4トンクラスのガソリン貨物車を対象として、エンジン出口ガス状態と三元触媒の反応、排出ガスの浄化機能、並びに触媒層の発熱特性、温度上昇との関連性を調べた。また、触媒実験試料を電気炉で一定時間高温加熱して、各段階での触媒層表面の物性分析を行うことにより、熱劣化が発生するメカニズムを研究した。
◎生体影響プロジェクト
「水生生物の細胞遺伝毒性を指標とした水質汚染モニタリング法の開発に関する研究」
厚生省国立衛生試験所 |
水質汚濁モニタリングのための新しい手法として、汚染現場に生息する生物に対する遺伝毒性を直接検討する方法の開発を行った。魚、貝、ウニを材料として用い、遺伝子の担い手である染色体やDNAが異常にならないかを検討することが可能となった。この手法は実際に奈良県富雄川や静岡県沿岸で採集した魚等に応用可能なことも判明し、水質汚染モニタリング手法の候補であることが判明した。
プ ロ グ ラ ム
1 日時
平成9年1月23日(木) 13:15~16:40
平成9年1月24日(金) 10:00~16:40
2 場所
通産省別館各省庁共用会議室(9階)
(東京都千代田区霞が関1-3-1)
第1会場 944会議室
第2会場 933会議室
3 発表内容
平成7年度に終了した26テーマについて研究分野別のプロジェクトごとに発表します。
第1会場 | 第2会場 | |
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23日 午後 | 廃棄物プロジェクト | 排水・陸水プロジェクト |
午前 24日 午後 |
海域、自然プロジェクト | 生体影響プロジェクト |
大気プロジェクト | ― |
参加は自由で無料です。 主催:環 境 庁 平成8年度環境保全研究発表会プログラム 【1月23日(木)】
第1会場(944号会議室) |
◎ 開会 13:15 環境庁挨拶 環境庁企画調整局長 ○ 廃棄物プロジェクト(座長 平岡:13:30~16:40)
発表時間 | 研究課題名 | 担当機関 |
---|---|---|
13:30~14:10 14:10~14:40 14:40~15:10 15:10~15:40 15:40~16:10 16:10~16:40 |
1. ゴム及びプラスチック廃棄物 の微生物処理技術の開発に 関する研究 2. プラスチック廃棄物中の塩素の 除去技術の開発に関する研究 3. ハイブリッド法による廃棄物 関連有害物質の高感度形態 分析技術に関する研究 4. バーゼル条約規定廃棄物有害 特性の簡易判定試験法の開発 に関する研究 5. 下水汚泥の無害化処理に 関する研究 6. 生物系有機性産業廃棄物の |
通商産業省 生命工学工業技術研究所 物質工学工業技術研究所 大阪工業技術研究所 通商産業省 北海道工業技術研究所 通商産業省 資源環境技術総合研究所 労働省 産業安全研究所 建設省 土木研究所 通商産業省 資源環境技術総合研究所 |
第2会場(933号会議室) |
○ 排水・陸水プロジェクト (座長 鈴木:13:30~16:20)
発表時間 | 研究課題名 | 担 当 機 関 |
---|---|---|
13:30~14:00 14:00~14:30 14:30~15:10 15:10~15:40 15:40~16:20 |
1. 有機系排水処理の高度化に 関する研究 2. 公共用水域における窒素系 汚染物質の利水障害とその 制御に関する研究 3. 農林生態系利用による浅層 地下水の水質浄化技術の開発 に関する研究 4. 化学還元法を用いた有機性 有害化合物の処理に関する 研究 5. 有害有機化合物による陸水系 汚染対策技術に関する研究 |
通商産業省 物質工学工業技術研究所 厚生省 国立公衆衛生院 農林水産省 農業研究センター 農業環境技術研究所 農業工学研究所 森林総合研究所 通商産業省 北海道工業技術研究所 通商産業省 資源環境技術総合研究所 物質工学工業技術研究所 大阪工業技術研究所 |
【1月24日(金)】
第1会場(944号会議室) |
○ 海域プロジェクト(座長 平野:10:00~11:50)
発表時間 | 研究課題名 | 担当機関 |
---|---|---|
10:00~10:40 10:40~11:10 11:10~11:50 |
1. 内湾域の流動・水質環境に及 ぼす成層の影響に関する研究 2. 日本近海における有機スズ汚 染の評価方法並びに計測シス テムの確立に関する研究 3. 多雪地域における地下水の汚 染機構の解明及び涵養手法の 開発 |
通商産業省 中国工業技術研究所 海上保安庁水路部 科学技術庁 金属材料技術研究所 環境庁 国立環境研究所 科学技術庁 防災科学技術研究所 山形県環境保全センター 岐阜県保健環境研究所 沖縄県衛生環境研究所 |
○ 自然プロジェクト (座長 糸賀:11:50~13:00)
発表時間 | 研究課題名 | 担当機関 |
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11:50~12:20 12:20~13:00 |
1. 地域自然環境データ利用手法 の開発に関する研究 2. 南西諸島における海洋への土 砂流出の発生機構の解明と防 止技術に関する研究 |
建設省 国土地理院 農林水産省 九州農業試験場 農業環境技術研究所 農業工学研究所 国際農林水産業研究 センター 森林総合研究所 建設省 土木研究所 |
(休憩)
○ 大気プロジェクト(座長 永田:13:30~16:40)
発表時間 | 研究課題名 | 担当機関 |
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13:30~14:10 14:10~14:40 14:40~15:10 15:10~15:40 15:40~16:10 16:10~16:40 |
1. ディーゼルNOx低減のため の機能複合型触媒システムに 関する研究 2. トンネル等閉鎖空間の大気汚 染浄化技術に関する基礎的研 究 3. ディーゼル機関の中後期燃焼 活性化による排気浄化に関す る研究 4. 中・重量ガソリン貨物車に対 する低NOx化技術の適用に 関する研究 5. 石綿状浮遊粒子の偏光式リア ルタイムモニタ装置の開発に 関する研究 6. 環境影響物質輸送立体観測用 レーダの開発に関する研究 |
通商産業省 資源環境技術総合研究所 物質工学工業技術研究所 大阪工業技術研究所 通商産業省 機械技術研究所 通商産業省 機械技術研究所 運輸省 交通安全公害研究所 郵政省 通信総合研究所 通商産業省 通信総合研究所 |
【1月24日(金)】
第2会場(933号会議室) |
○ 生体影響プロジェクト(座長 遠山:10:00~12:00)
発表時間 | 研究課題名 | 担当機関 |
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10:00~10:30 10:30~11:00 11:00~11:30 11:30~12:00 |
1. 生活関連材料の熱分解反応生 成物の変異原性と反応性に関 する研究 2. 水生生物の細胞遺伝毒性を指 標とした水質汚染モニタリン グ法の開発に関する研究 3. 脂溶性環境汚染物質の低濃度 暴露における体内分布と代謝 及びその制御因子と毒性評価 に関する研究 4. 呼吸器疾患モデル動物を用い た環境汚染物質の生体影響評 価手法の開発に関する研究 |
厚生省 国立公衆衛生院 厚生省 国立衛生試験所 厚生省 国立健康・栄養研究所 労働省 産業医学総合研究所 |
- 連絡先
- 環境庁企画調整局環境研究技術課
課長 :古市 正敏(内6240)
調整専門官:鈴木 孝一(内6244)
担当 :土井 智史(内6246)