報道発表資料

この記事を印刷
2014年07月03日
  • 総合政策

福島復興大型石炭ガス化複合発電設備実証計画(勿来)に係る計画段階環境配慮書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、3日、福島県いわき市で計画されている「福島復興大型石炭ガス化複合発電設備実証計画(勿来)計画段階環境配慮書」(東京電力(株)・常磐共同火力(株))に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、温室効果ガスの排出量が多い石炭火力発電設備としては最高水準の効率となる世界最新鋭の50万kW級石炭ガス化複合発電(IGCC)設備を新たに設置し、高出力・高効率化、多炭種対応等の実証を行うものである。
 このため、環境大臣意見では、環境影響の回避・低減を求めるとともに、できる限り早期に実証を終了させ、信頼性が確保された発電技術として確立するよう、実証項目の合理化等による実証期間の短縮化を行うこと等を求めている。
 また、経済産業省に対して、電力業界全体で二酸化炭素排出削減に取り組む枠組の構築に向けて、電力業界及び東京電力(株)に取組を促すよう求めるとともに、経済産業省自ら、枠組構築に向けた検討の進捗を把握し、内容を確認し、実効性ある取組を確保するよう求めた。

1.背景
 環境影響評価法及び電気事業法は、出力11.25万kW以上の火力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、提出された計画段階環境配慮書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して意見を言うことができるとされている。本件は、この手続に沿って意見を提出するものである。
 今後、経済産業大臣から事業者である東京電力(株)及び常磐共同火力(株)に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は、意見の内容を検討した上で事業計画を決定し、事業段階の環境影響評価(環境影響評価方法書、準備書、評価書)を行うこととなる。

※計画段階環境配慮書:配置・構造又は位置・規模に係る事業の計画段階において、重大な環境影響の回避・低減についての評価を記載した文書。

2.事業の概要
 本事業は、東京電力(株)及び常磐共同火力(株)が、福島県の常磐共同火力勿来発電所内及びその隣接地において、出力50万kW級の石炭ガス化複合発電設備を設置し、高出力・高効率化、多炭種対応等の実証事業を行うものである。本事業は東京電力における福島の復興に向けた取組の一部に位置付けられており、事業の実施により、福島県の経済復興や雇用回復・創出に資することが期待されている。

3.環境大臣意見の概要

(1)前文
 経済産業省に対して、電力業界全体で二酸化炭素排出削減に取り組む自主的枠組(以下「枠組」という。)の構築を電力業界に促すよう求めるとともに、特に、東京電力に対して枠組の構築に向けて主体的に取り組むよう促すよう求める。また、枠組の構築に向けた検討の進捗を把握し、内容を確認し、二酸化炭素排出削減の実効性のある取組を確保することを求める。

(2)総論
 【1】 常磐共同火力(株)が所有する情報を最大限活用し、環境情報の収集に十全を期すこと。
 【2】 今後、必要に応じて専門家等の助言を受けた上で、調査、予測及び評価並びに環境保全措置の検討を行うこと。
 【3】 地元自治体の意見を十分勘案し、住民関与についても十全を期すこと。

(3)各論
 【1】大気環境
   1) 既存の発電所からの排ガスとの重合も踏まえた上で、短期高濃度条件等の影響についても考慮し、適切な環境保全措置を検討すること。
   2) 資材の運搬に用いる車両の運行に伴う影響について調査、予測及び評価を行うとともに、関係事業者と連携して環境保全措置を講じることにより、大気質、騒音及び振動に係る影響を回避・低減するよう配慮すること。
 【2】温室効果ガス
   1) 福島復興大型石炭ガス化複合発電設備実証計画(広野)で同様の設備について並行して実証を行う利点を活かして、実証項目の合理化を図ること等により実証期間の短縮化を図ること。また、実証を通じて送電端熱効率の適切な維持管理を図り、環境負荷を可能な限り低減すること。
   2)  枠組の早期構築に向けて、事業者として可能な限り取り組むこと。
   3) 事業者である東京電力は、枠組が構築された後には遅滞なく参加し、その下で二酸化炭素排出削減に取り組むこと。また、枠組が構築されるまでの間は、天然ガス火力を超過する分に相当する純増分について海外での削減に係る取組を行うなどの環境保全措置を講じることを、本事業における運転開始までに満たすこと。また、環境保全措置の内容について、その具体化の状況に応じて、方法書以降の図書に可能な範囲で記載すること。
   4)  「2050年までに80%の温室効果ガス排出削減」を目指すとの国の長期目標との整合性を確保するため、二酸化炭素分離回収設備の実用化をはじめとした技術開発状況を踏まえ、本発電所について、二酸化炭素分離回収設備に関する所要の検討を行うこと。
   5) 本事業を含め、事業者における長期的な二酸化炭素排出削減対策について、所要の検討を行い、事業者として適切な範囲で必要な措置を講じること。


【参考】

○事業概要
・名  称:福島復興大型石炭ガス化複合発電設備実証計画 (勿来)
・事 業 者:東京電力株式会社、常磐共同火力株式会社
・計画位置:福島県いわき市
・燃  料:石炭
・発電方式:ガスタービン及び汽力(コンバインドサイクル発電方式)
・出  力:出力約50万kW

○環境影響評価に係る手続
・平成26年 5月19日経済産業大臣から環境大臣への意見照会
・平成26年 7月3日  環境大臣意見の提出

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
03-3581-3351(代表)
03-5521-8236(直通)
室  長:瀬川 恵子(内6231)
室長補佐:長谷川敬洋(内6233)
係  長:金子 浩明(内6239)
係  長:中村  祥(内6234)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。