報道発表資料

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2014年04月24日
  • 自然環境

(お知らせ)第一期ライチョウ保護増殖事業実施計画の策定について

環境省では、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)に基づく国内希少野生動植物種のライチョウについて、保護増殖事業計画に基づき、「第一期ライチョウ保護増殖事業実施計画(計画期間:平成26年4月から平成31年3月)」を取りまとめましたので公表します。
今後、本実施計画に沿って、具体的な取組を進めていきます。


1 策定の背景について

環境省は、文部科学省と農林水産省とともに平成24年10月に「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」に基づく「ライチョウ保護増殖事業計画」を策定しました。

本実施計画は、効果的に保護増殖事業を実施していくため「ライチョウ保護増殖事業計画」に基づき、中・長期(10~20年)も含めた目標を設定し、特に当面5年間における取組目標や事業の実施方針を定めたものです。これに基づき環境省が中心的に取組を進めるほか、様々な関係者が一体となって取り組むことによって、ライチョウの保全に資することを目的としています。

本実施計画は、「ライチョウ保護増殖検討会(環境省長野自然環境事務所設置)」における専門家等の意見を踏まえて作成しました。

2 概要

(1)本実施計画の目標

○ 最終的な目標である「本亜種が自然状態で安定的に存続できる状態とすること」を達成するため、概ね10年から20年の中・長期を含めた今後の取組目標を検討し、具体的な5年間の取組目標(表1)を設定しました。

(2)事業実施の基本的な方針

○ ライチョウは5つの山域別に生息域が分かれると考えられており、特に南アルプスでの減少傾向が強く、緊急度が高いと考えられることから優先して対策を講じます。

○ 生息域内保全に係る取組(生息状況調査、減少の影響要因調査及び対策等)と、生息域外保全に係る取組(飼育下繁殖の技術確立等)を、相互に情報共有を図りながら、連携して実施します。

○ 多くの関係者間の連携を図る必要があり、様々な主体が連携・協力して、生息状況調査や保護活動・普及啓発等の取組を進めます。

(3)実施する事業内容

○ 生息域内保全については、各山岳の生息状況のより詳細な把握や減少の影響要因の解明のための調査等と、効果的な対策実施を、並行して行います。

○ 生息域外保全(飼育下繁殖等)については、(公社)日本動物園水族館協会と連携し、できるだけ早期のライチョウの生息域外個体群の確立・維持に向け、技術確立や実施工程等の検討に取り組みます。

○ 生息地周辺における巡視、登山者など国立公園利用者への普及啓発、(公社)日本動物園水族館協会と連携した来園者等への普及啓発を行います。

○ 長期的な視点に立った人材育成、生息域内及び生息域外保全関係者の交流など実施体制の強化に取り組みます。

表1 本実施計画における5年間の短期目標

■全体:

ライチョウ保護増殖事業の中・長期目標(10年~20年)について、より具体的な内容及び指標を設定する。

■生息域内保全:

ライチョウの生息状況等のより詳細な現状把握を進め、減少の影響要因の解明に取り組みつつ、効果的な保全策を検討し、優先度及び緊急性が高い事業から実施する。

(※その他重要な検討事項:野生下における餌の現存量と摂食量の推定、野生復帰の必要性及び実施可能性に関する検討)

■生息域外保全:

別亜種スバールバルライチョウで蓄積されてきた飼育・繁殖技術の評価を踏まえ、ライチョウの飼育下個体群の確立及び維持に必要な技術確立方針、実施工程及び実施体制の検討を行い、ライチョウの飼育下繁殖の取組に着手し、飼育・繁殖技術と実施体制を確立する。

(※その他重要な検討事項:野生復帰させ得る資質を有する個体を想定した飼育・繁殖技術のあり方、人工餌と自然の餌に関する検討)

※ライチョウ保護増殖検討会において、計画早期から考慮すべき点として有識者の指摘があったもの

添付資料

連絡先
環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室
直  通:03-5521-8283
代  表:03-3581-3351
室  長:安田 直人(6677)
室長補佐:加藤 麻理子(6464)
係  長:三宅 悠介(6687)

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