報道発表資料
環境省は18日、交通政策審議会第55回港湾分科会において審議される港湾計画(7件)のうち稚内港港湾計画の改訂に対して、環境保全の観点からの意見を提出しました。
稚内港港湾計画の改訂では、新たに再生可能エネルギー源を利活用する区域(洋上風力発電施設の立地を想定する区域)を設定することとしています。
環境省意見では、宗谷地域がオオワシ及びオジロワシの重要な渡り経路及び越冬地となっていることから、[1]風力発電事業者を公募する前に、専門家の意見や助言を聞くこと、[2]今後設置される予定の協議会において重大な影響が懸念されると判断された場合には、事業の中止を含め必要な措置を講じることについて言及しています。
なお、環境省意見は国土交通省を通じて、港湾管理者に伝達されます。
1.港湾計画に対する意見提出について
本日開催の交通政策審議会第55回港湾分科会において港湾計画改訂(3件)及び一部変更(4件)について諮問及び審議されることとなっている。
環境省は、このうち、稚内港湾計画の改訂について、環境保全の観点から、以下の意見を提出した。
※【改訂】稚内港、衣浦港、徳山下松港 【一部変更】御前崎港、大阪港、東予港、八代港
2.稚内港港湾計画改訂の概要及び環境省意見の概要
(1)計画改訂の概要
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- サハリンプロジェクトに対応(物流機能、船舶修理機能の強化)するため、陸域のゾーニング変更及び、航路計画等を変更をする。
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- クルージング需要の増大に対応するため、公共埠頭を旅客船埠頭として計画する。
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- 港湾において発生の見込まれる浚渫土砂を処分するため、海面処分用地を計画する。
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- 船舶の修理需要に対応した機能確保のため、公共埠頭計画を変更する。
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- 再生可能エネルギー源を利活用する区域(洋上風力発電施設の立地を想定する区域)を設定する。
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- 将来構想(計画策定後も引き続き検討を続ける地区)を設定する。
(2)環境省意見
本計画改訂において、再生可能エネルギー源を利活用する区域(以下「区域」という。)が新たに設定されることとなっているが、宗谷地域は、文化財保護法に基づく天然記念物であり、環境省レッドリスト絶滅危惧 II 類に分類されているオオワシ及びオジロワシの重要な渡り経路及び越冬地の一つとなっており、環境省のオオワシ・オジロワシ保護増殖事業越冬個体数等調査により港湾周辺においてもこれらの生息が確認されている。
また、規模の大きな風力発電施設では鳥類が風車のブレードに衝突して死亡する事故(以下「バードストライク」という。)の発生事例がある。このため、風力発電施設が設置されることにより、バードストライクが発生することが懸念され、区域の設定段階から十分な調査、予測及び評価を踏まえた検討を行い、バードストライクの回避及び低減に努めることが重要である。
しかしながら、区域の設定段階では、これら鳥類への影響について調査、予測及び評価の結果を踏まえた検討が行われておらず、専門家の意見や助言も受けていないことから、バードストライクに対する懸念が払拭しがたい。
このため、風力発電事業者の公募を実施する前に、専門家の意見や助言を聞き、今協議会において重大な影響が懸念されると判断された場合には、 バードストライクの回避及び低減のため、事業の中止を含め必要な措置を講じられた い。
- 連絡先
- 環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8237
室長 :瀬川 恵子 (内6231)
室長補佐:長谷川敬洋 (内6233)
審査官 :田中 準 (内6248)