報道発表資料
同会合の実行委員会事務局である北九州市の発表資料は、別添のとおり。
内容についての北九州市の問い合わせ先は、
環境局環境保全部環境管理課長 苦瀬 雅仁 093-582-2238
(別添)
(市長サミット後記者会見資料) 平成9年1月19日
「政令指定都市環境サミット'97」市長サミットの結果について
【概要】 政令指定都市の市長が、環境会議としては初めて一堂に会して、新しい世紀における環境保全のための大都市の変革に向けた理念と方向性を明らかにするため議論を行った。 会議の結果「政令指定都市環境宣言」を決定し、環境負荷の少ない「持続可能な都市」の実現に向けて都市を挙げて取り組むこと、及びその実現のためにあらゆる主体の積極的な取組とその連携、すなわち良好な「パートナーシップ」の構築が重要であることを2つの柱として、今後の理念と取組の方向をまとめ、今後も確実なフォローアップを行うこととした。 |
1会議趣旨
人口や産業の集積から環境への負荷が大きく、また、従来から環境問題の解決に積極的に取り組んできた政令指定都市のリーダーが、環境都市問題や地球環境問題の解決に向けて何をなすべきなのかについて意見を出し合い、新しい世紀における大都市の環境保全に向けた理念と方向性を明らかにする。
2 開催の日時及び場所
(初日市長サミット)
日時:平成9年1月19日午後1時~午後5時40分
場所:北九州国際会議場(北九州市小倉北浅野三丁目)
3 主催者等
主催:12政令指定都市
後援:環境庁、地球環境行動会議、国連環境計画国際環境技術センター
4 参加者 政令指定都市の市長 来賓:環境庁 石井道子長官 [挨拶] 同 :地球環境行動会議 小杉隆代表幹事(文部大臣) [記念講演] 同 :同 青木正久事務総局長(元環境庁長官) 同 :同 岩垂寿喜男事務総局参与(前環境庁長官) 同 :同 小林料委員(東京電力顧問) 同 :国連環境計画環境技術センター 佐々木馨上級審議官 など パネルディスカッション参加者等が傍聴
5 会議の経過
「都市と環境問題」及び「都市としてのパートナーシップの在り方」をテーマとして、各市長から環境問題解決のための取組状況や今後の理念と方向についての意見発表があり、これをもとに議論を行った。
その結果を「政令指定都市環境宣言」として採択した。(全文別紙)
6 宣言の概要
(1)「持続可能な都市」の実現
○ 人間活動の基盤である環境を保全するために、都市全体として環境負荷の少ない「持続可能な都市」の実現を目指すことを決意。
○ 取組の方向については、
・ 行政全体の各分野を持続可能な都市づくりに向けたものとすること、
・ 数値目標を含む各市の「率先実行計画(取組方針)」を策定し、実行すること、
・ 二酸化炭素排出量を各市で把握し、地球温暖化防止のための各種の取組を総合的計画的に進めること などの5項目を決定。
(2)都市におけるパートナーシップの在り方
○ 持続可能な都市づくりのためには、行政のみならず、市民、事業者、NGO等あらゆる主体の取組とその連携が重要であることを確認。
○ それを推進するための取組の方向として、
・ 各主体の取組への支援、
・ 各主体間の連携体制の整備、
・ 国内における都市間協力、
・ 国際的都市間協力
の4項目を決定。
(3)宣言内容の推進
実施状況の把握等を定期的に行う場を設定し、各市が連携して宣言内容の確実な推進に取り組むことを決定。
7 成果
(1)政令指定都市の市長が環境会議として初めて一堂に会し、新しい世紀における環境保全のための変革に向けた理念と取組の方向について議論し、その結果を「政令指定都市環境宣言」として採択したこと。
(2)宣言内容での成果
・環境負荷の少ない持続可能な都市の実現
・良好なパートナーシップを構築
という2つの理念を確認し、これに基づく各分野にわたる取組の方向を決定したこと。
(3)宣言のフォローアップを行い、宣言内容を確実に実施することまで含めて決定したこと。
8 本会議成果の国際的な反映
「政令指定都市環境宣言」等の本サミットで得られた成果は、本年3月に予定されている「地球環境パートナーシップ世界会議」の場において発表される予定である。
また、6月の「環境と開発に関する国連特別総会」等のその後の環境に係る重要な国際会議等にも本会議の成果が反映されるよう鋭意調整を行うこととしている。
(参考)
「政令指定都市サミット'97」第2日「交流シンポジウム」について
日時:1月20日(月)午前9時20分より(12:50分終了)
場所:リーガロイヤルホテル小倉4階ロイヤルホール(一般公開・入場無料)
内容:1 市長サミットの成果報告(市長サミット議長)
2 パネルディスカッション
各界代表者による「都市における環境保全のためのパートナーシップ」についての議論。
政令指定都市 環境宣言 (北九州宣言) |
平成9年1月19日 政令指定都市サミット'97 札幌市長 桂 信雄 仙台市長 藤井 黎 千葉市長 松井 旭 川崎市長 高橋 清 横浜市長 高秀 秀信 名古屋市長 西尾 武喜 京都市長 桝本 頼兼 大阪市長 磯村 隆文 神戸市長 笹山 幸俊 広島市長 平岡 敬 北九州市長 末吉 興一(議長) 福岡市長 桑原 敬一
日本の12の政令指定都市の市長は、1997年1がつ19日、「政令指定都市サミット'97」として、北九州市に集まり、新しい世紀における環境保全のための変革に向けた理念と 方向性を明らかにするため熱心な討議を行った。
1992年の「環境と開発に関する国連会議(UNCED)」では、地球環境の危機的状況が認識され、これを世界の持続可能な開発の実現によって克服するための合意がなされた。そ の実現においては、人口や経済活動が集中し、環境への負荷の面でも大きな割合を占める大都市の役割と責任は重大である。
われわれ日本の大都市である政令指定都市(日本の人口・GDPの2割程度を占め、GDPは欧州主要国の1/2程度)は、激甚な産業公害を克服し、さらに、地球環境問題や都市環境問題に対して積極的に取組を進めているが、地球環境のさらなる悪化が懸念される今日、その解決のためには一層の取組が必要である。
本会議の開催に当たっては、政令指定都市の取組が持続可能な社会の構築に向けた国際的なレベルでのパートナーシップの一環であることから、地球環境行動会議(GEA)及び環境庁と連携・協力してきた。
われわれは、本サミットの成果が、3月に開催される地球環境行動会議主催「地球環境パートナーショップ世界会議」、6月の「国連特別総会」、及び12月に京都市で開催される「気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)」における討議及び成果に反映されることを期待しつつ、ここに、政令指定都市が地球環境問題をはじめとする環境問題を解 決するために進んで一層強力な取組を行っていくことを改めて決意し、今後の行動の理念と取組方向について次のとおり宣言する。
1「持続可能な都市」の実現に向けた取組
環境に大きな負荷を与えその保全に重要な責務を負っている政令指定都市は、「環境への負荷の少ない持続可能な都市」を構築するとの理念のもと、都市環境の保全・創造はもとより地球温暖化等の地球環境問題の解決に向け積極的に取り組んでいかなければならない。
(1) 諸施策の総合的・計画的かつ組織的な実施
「環境基本計画」、「ローカルアジェンダ21」等の環境保全に関する総合的な計画に基づき、また、「持続可能な都市」の実現に向けた各市の体制を整備することにより、各分野の施策を総合的に推進する。
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各政令指定都市の取組例 ・ 環境基本計画で複数の定量目標を設定、達成状況を定期的に把握・評価 ・ 環境基本計画の振興管理のための年次報告を公表し、市民意見を聴取 ・ 各種施策の総合的推進のための行政体制の整備 |
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(2) 事業者・消費者としての率先実行
政令指定都市全体として環境負荷を削減するため、数値目標を含む各市の「率先実行計画(取組方針)」を策定し、事業者・消費者として環境保全に向けた行動を率先して実行する。
(3) 地球温暖化防止に向けての取組
温室効果ガスの排出量について2000年までに1990年レベルで安定化を図るとの原則を認識し、地球温暖化の防止に向けて以下のような取組を総合的計画的に進める。また、地球温暖化防止京都会議の成功を期待し、これに対し連携して取り組むとともに、同会議でなされる2000年以降についての合意内容を踏まえ、一層の取組を進める。
・ 二酸化炭素排出量の把握
・ 二酸化炭素排出量の少ない都市整備の推進
・ 新エネルギー・未利用エネルギーの活用
・ 「共同実施活動ジャパン・プログラム」参加に向けての検討 等
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各政令指定都市の取組例 ・ 地球温暖化防止対策地域推進計画の策定(予定を含む)とその推進 ・ 環境基本計画でCO2、エネルギー等の目標を設定 ・ 新エネルギービジョンの策定(予定を含む) ・ 温暖化対策パイロット事業の実施 ・ 海水温度差を利用した地域冷暖房システムの導入 ・ スーパーごみ発電・水道施設を利用した発電の実施 ・ 中国友好都市との「共同実施活動ジャパン・プログラム」の参加 |
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(4) 「資源循環型社会」構築へ向けた取組
「資源循環型社会」の構築に向けて、廃棄物の減量化・資源化、水資源の有効利用、フロン回収等を推進するとともに、リサイクル産業等エコビジネスの育成に努める。
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各政令指定都市の取組例 ・ ごみ減量・リサイクル行動計画の展開 ・ リサイクルセンターの整備(資源物の分別、再生・展示・提供) ・ 地域完結型の他見を避ける(秘密)文書サイクルシステムの構築 ・ 下水道処理水など未利用都市エネルギー利用による流雪溝や融雪槽の設置 ・ フロン破壊実験への広域的な参加・協力 ・ 販売店からの廃家電フロンの回収・処理の仕組みを構築 |
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(5)都市問題への取組
都市における環境問題を解決し、より良い環境を保全・創出するため、環境汚染物質排出の一層の削減、交通需要のマネジメントの導入や低公害車の普及による環境への負荷の少ない交通体系形成へ向けた取組、自然環境を活かした快適な都市環境の創造などを進める。
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各政令指定都市の取組例 ・ 自動車公害対策の計画的推進(パーク&ライドシステムの導入、アイドリングストップバスへの切り替えなど) ・ 低公害車普及促進施策(計画的率先的大量導入・融資制度・COP3記念低公害車フェア開催など) ・ ガイドウェイバス・中央走行方式の基幹バスの導入 ・ 事業者との自動車公害防止協定の締結 ・ 廃棄物鉄道輸送事業 ・ 緑の基本計画の策定(予定を含む) ・ ビオトープ創造ガイドラインの策定(予定) ・ 市民参加による河川環境復元に向けた事業や音の視点から地域の個性を捉え直す事業の実施 |
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2 都市におけるパートナーシップの在り方
「持続可能な都市づくり」のためには、国や地方公共団体の行政施策が重要であることはもちろん、実際の生産・流通・消費・廃棄といったあらゆる段階で、これらに関わる事業者や市民、さらには民間団体(NGO)等のあらゆる主体が環境負低減に向けた行動を起こすことが重要である。
そして、これらの各主体が、国の内外を問わず、あらゆるレベルで、一層良好なパートナーシップを構築し、経験・知識の交換や連携した取組を進めていく必要がある。
(1) 行政と事業者・市民・NGOとの連携
ア 行政による他の主体の自主的取組への支援等
市民の生活様式の変革へ向けた意識の向上のための情報提供、環境にやさしい商品の購入(グリーン購入)の推進、環境学習施策の推進など、市民・NGOの自主的取組への支援・誘導策を講じていく。
環境管理・環境監査の導入促進、製造工程全体の環境負荷削減政策(クリーナープロダクション)の促進など、事業者の自主的取組への支援・誘導策を講じていく。
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各政令指定都市の取組例 ・ 環境保全に対する助成事業の実施 ・ 地域における環境保全に係るリーダーの養成 ・ まちづくりボランティアの総合支援(ボランティア20万人計画の樹立・推進) ・ 市民・企業向け環境保全行動ガイドの作成 ・ ISO14000Sの普及促進対策の実施 |
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イ 連携体制の整備
「地球環境パートナーシッププラザ(東京・青山)」の活用等による情報収集提供体制の整備、地域における産学官民が連携したシステムづくりなど、連携体制の整備に努める。
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各政令指定都市の取組例 ・ 市民・事業者・NGO・行政により構成された環境保全に関する会議の設置 ・ 市民・事業者・行政により策定された市民行動計画に基づき実践活動を推進 ・ 環境教育拠点施設の建設 |
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(2) 都市間協力の強化
ア 国内における都市間協力
都市に共通する環境問題について、行政及び研究分野での自治体相互及び国等との連携や、ごみ減量化のPR等に係る指定都市の共同キャンペーンなどの具体的取組を一層推進する。また、それぞれの都市圏における環境保全に係る中核的な都市としての役割を果たしていく。
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各政令指定都市の取組例 ・ 隣接自治体間での自動車公害対策等の共同実施 ・ 近隣県及び韓国の都市との協力による一斉清掃 ・ 都市圏一体となった散乱ゴミの防止とその再資源化に関する条例の制定 ・ 近隣県の子どもたちによる子ども地球環境会議の開催 |
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イ 国際的都市間協力
国際環境自治体協議会(ICLEI)等の各種組織等との連携を図りながら、アジアをはじめとした国外の都市に適用可能な技術の提供など対話を越えた具体的な協力をも行う。
この際、すぐれた技術を有する事業者や独自の経験をもつNGOを含めた各政令指定都市の得意分野を活かし、都市間や国等との連携を図りながら環境国際協力を推進する。
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各政令指定都市の取組例 ・ 「持続可能な都市のための20%クラブ」への参加検討 ・ 地理的に関係の深い都市間での市長会議の開催 ・ アジア・太平洋地域温暖化セミナー、環境都市セミナーの開催 ・ エコアジアこども交流事業の実施 ・ 中国・南米の都市との環境保全に関する技術交流 ・ 県等との共同により中国友好都市に酸性雨研究交流センターを設置 ・ ODA活用による中国友好都市の環境のモデル地区建設計画への支援 ・ 54都市による世界歴史都市連盟を設立 |
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3 宣言内容の推進
この宣言で述べた各種事項についての実施状況や成果の把握等を定期的に行う場を設定し、各市が連携して本宣言内容の確実な推進に取り組む。
- 連絡先
- 環境庁企画調整局環境計画課
課長 :一方井誠治(6220)
課長補佐:平瀬 敏郎 (6282)