報道発表資料

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2000年01月14日

道路事業に係る環境影響評価書に対する環境庁長官意見の提出について

環境庁は、東金茂原道路(千葉県)及び都市計画道路北近畿豊岡自動車道(兵庫県)の環境影響評価書について、環境影響評価法第22条第2項の規定に基づき、建設大臣より環境の保全の見地からの意見を求められたことから、平成12年1月14日付けで建設大臣に対し、供用時の浮遊粒子状物質対策、工事中、供用後の騒音対策及びオオタカ、オオサンショウウオ等の希少な野生動植物への配慮等に関する環境庁長官意見を提出した。

1.事業の概要

  路 線 名
事 業 区 間
道路の規模等 計画交通量(24h) 主な手続きの経緯
東金茂原道路
(首都圏中央連絡自動車道)
千葉県東金市小野 ~
千葉県茂原市石神
一般国道・21.4km
4車線
22,000
 ~
24,400
準備書縦覧
H11/2/2~3/4
知事意見提出
H11/8/27
都市計画道路
北近畿豊岡自動車道
兵庫県養父郡八鹿町高柳 ~
兵庫県朝来郡和田山町市御堂
一般国道・13.4km
4車線
16,500
 ~
20,100
準備書縦覧
H11/5/11~6/9
知事意見提出
H11/10/22

2.環境庁長官意見

東金茂原道路

1.大気・騒音関係
(1)  供用時の道路交通騒音影響については、周辺地域における2階建て住居等の存在を勘案し高さ方向の騒音レベル分布について予測するとともに、等価騒音レベルを用いた予測についても、評価を明らかにすること。その際、一部地域で環境基準の超過が見込まれることから、適切な環境保全対策について複数案の比較検討等を行いつつ検討すること。また、以上の結果を評価書に記載すること。
(2)  計画地域の周辺においては、現在、道路交通騒音に係る環境基準を超過していることから、着工前に工事用車両の走行に伴う道路交通騒音影響について調査・予測・評価を行い、必要な対策を検討するとともに、その結果を公表すること。また、以上の措置を講じる旨評価書に記載すること。
(3)  計画地域周辺の一部大気測定局においては、現在、浮遊粒子状物質に係る環境基準を超過していることから、供用時の浮遊粒状物質影響及び工事中の粉じん等影響について予測・評価を行い、必要な対策を検討するとともに、結果を評価書に記載すること。
(4)  工事中、供用時を通じて、関係機関と協力しつつ、関連交通量、道路交通騒音及び浮遊粒子状物質等に係る監視を適切に実施すること。また、当該措置について評価書に記載すること。
2.自然関係
 計画道路周辺は自然環境豊かな地域であるとともに希少な野生動植物が確認されていることから、計画路線の詳細な構造及び施工計画を検討するに当たっては、さらに地形の改変を最小限にするよう努めるとともに、以下に掲げる措置を講じ、自然環境の保全に配慮する必要がある。
(1)  希少な植物の移植については、学識経験者からの意見の聴取を行い、最適な移植方法、移植に適した場所及びモニタリングの方法を検討し、その結果を評価書に記載すること。
(2)  希少な動物のうち、底生動物及び魚類に関して、生息確認地点を直接改変しない場合でも、工事に伴う汚水の流入や水文環境の変化など間接的な影響が考えられるので、工事実施にあたっては、補足調査を実施した上でこれらの種に与える影響について把握し、適切な対策を講じること。その旨を評価書に記載すること。
(3)  計画路線近傍においてオオタカの営巣が確認されていることから、専門家の意見を聞いた上で、道路構造等詳細な計画の検討に際して、営巣木周辺の環境保全にさらに配慮するとともに、営巣状況及び生息状況についての調査を継続して行うこと。また、工事実施にあたっては、専門家による保全対策検討委員会等における検討内容を確実に反映するとともに、営巣に影響を及ぼす可能性があると判断された場合は、営巣期の工事を避けることを基本とした必要な措置を講じること。また、 非営巣期についても、工事による生息への支障が生じないように工法を検討する こと。その旨を評価書に記載すること。
(4)  工事中に新たに希少な野生動植物が確認された場合、学識経験者から意見の聴取を行い、現地調査を実施した上で、これらの生息、生育環境に対する影響が最小限になるよう適切な保全対策を講じること。その旨を評価書に記載すること。
3.その他
 環境影響評価法第21条第2項の規定を踏まえ、以下の事項について評価書を修正すること。
(1)  対象道路事業の種類を追記すること。
(2)  環境影響評価結果(補足資料の内容を含む)について、調査の結果の概要並びに予測及び評価の結果を環境影響評価の項目ごとにとりまとめること。

都市計画道路北近畿豊岡自動車道

1.騒音関係
(1)  供用時の道路交通騒音影響については、一部地域で予測値が環境基準の上限値に達することから、事業実施に際しては、詳細設計結果等に基づき騒音影響について検討するとともに、結果を踏まえて所要の対策を講じること。また、周辺地域における2階建て住居等の存在を勘案し高さ方向の騒音レベル分布について予測・評価すること。
以上の措置及び結果について評価書に記載すること。
(2)  計画地域の周辺においては、現在、道路交通騒音に係る環境基準を超過していることから、着工前に工事用車両の走行に伴う道路交通騒音影響について調査・予測・評価を行い、必要な対策を検討するとともに、その結果を公表すること。また、以上の措置を講じる旨評価書に記載すること。
2.水質関係
 工事中の事後監視調査については2地点で実施することとしているが、計画路線が通過する河川の水質保全を図るため、和田山町市御堂の円山川横断部においても事後監視調査を実施すること。また、その旨を評価書に記載すること。
3.自然関係
 計画道路周辺は自然環境豊かな地域であるとともに希少な野生動植物が確認されていることから、計画路線の詳細な構造及び施工計画を検討するに当たっては、さらに地形の改変を最小限にするよう努めるとともに、以下に掲げる措置を講じ、自然環境の保全に配慮する必要がある。
(1)  河川に橋梁を設置する場合には、オオサンショウウオなどの水生生物の生息に配慮し、生息環境の改変を最小限にするとともに、橋脚設置等による濁水の流出を防止するなどの適切な対策を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。
(2)  生態系の環境影響評価に関し、上位性の観点から食物連鎖等の把握がなされるとともに上位に位置する猛禽類が注目種として挙げられているが、その予測においては注目種への影響のみ記述されている。そのため、生態系の構造・機能なども踏まえた当該計画の影響に関しても、本評価書の中で、具体的に記述すること。
(3)  工事中に新たに希少な野生動植物が確認された場合、学識経験者から意見の聴取を行い、現地調査を実施した上で、これらの生息、生育環境に対する影響が最小限になるよう適切な保全対策を講じること。また、その旨を評価書に記載すること。
4.その他
 環境影響評価法第21条第2項の規定を踏まえ、以下の事項について評価書を修正すること。
(1)  対象道路事業の種類を追記すること。
(2)  環境影響評価結果について、調査の結果の概要並びに予測及び評価の結果を環境影響評価の項目ごとにとりまとめること。
(3)  環境影響評価結果について、対象事業に係る環境影響の総合的な評価を追記すること。
(4)  委託先の氏名及び住所を追記すること。

 

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局環境影響審査室
室 長:小林 正明(6231)
審査官:福本 幸造(6232)