報道発表資料

この記事を印刷
2000年01月21日

鳥類の鉛中毒事故の防止について

環境庁は、本日、鉛散弾の使用規制を行う水辺域の選定基準を定めた「鉛散弾規制 地域選定要領」を都道府県に対して通知する。
  また、平成12年度猟期から、北海道における鉛ライフル弾の使用を禁止すること とし、そのための所要の手続を開始する。

1.水辺域における鉛散弾の使用規制について

(1)経緯

 近年、水辺域の底泥中に残留している鉛散弾を、ハクチョウ等の水鳥が小石と 間違って飲み込むことによる鉛中毒事故死が全国各地で発生しており、本問題の 抜本的解決策として、鉛以外の無毒性の材料(軟鉄、ビスマス、スズ等)を使用した 代替散弾への切替えが強く求められているところである。

(2)対応

 代替散弾への切替えには、代替散弾に対するハンターの習熟、代替散弾の安定 供給等の課題があり、一挙に行うことは困難である。
  このため、平成12年度の猟期より地域を限定した規制(都道府県が規制)から 開始し、その推進状況を勘案しながら、逐次、規制を強化し、しかるべき時期に 速やかに全国の水辺域全域における規制(環境庁が規制)を行う方針である。

(3)鉛散弾の使用規制地域の選定基準の通知

 環境庁は、1月21日、都道府県が鉛散弾の使用規制を行う水辺域の選定基準を 定めた「鉛散弾規制地域選定要領」(別紙1)を都道府県に対して通知する。
 本要領においては、各都道府県に対し、少なくとも一地域以上の水辺域を選定し、 各都道府県の告示により、平成12年度の猟期より、当該地域における鉛散弾の使用 を禁止することを求めている。

2.北海道における鉛ライフル弾の使用禁止措置について

(1)経緯

 平成9年頃から、北海道の道東地域を中心に、種の保存法に基づき希少野生 動植物種に指定されているオオワシやオジロワシが死亡する事例が多発している。 北海道の調査の結果、山野に放置されたエゾシカの死骸を食べたオオワシや オジロワシが、肉片に含まれる鉛ライフル弾などの破片を摂取することにより鉛中毒 が発生していることが明らかになっている。

(2)対応

  オオワシやオジロワシの保護の重要性にかんがみ、早急に鉛ライフル弾の使用禁止 と無毒の代替弾への切替えが必要であることから、平成11年5月の国会答弁に おいて、環境庁長官は、「2年以内に鉛ライフル弾の規制措置を実施する」と表明 したところである。 このような考え方を踏まえ、環境庁は、代替ライフル弾(銅製)への切替えに 向けて、北海道や関係団体と調整を図ってきたところである。

(3)北海道における鉛ライフル弾の使用禁止措置

 以上の状況を踏まえ、今般、平成12年度猟期から、北海道における鉛ライフル弾 の使用を禁止することとし、そのための所要の手続を開始する(規制の具体的な実施 方法等については、本日、北海道が別紙2のとおり発表)。 (なお、鉛スラグ弾(散弾銃に装てんする鉛の単体弾)については、代替スラグ弾の 安定供給の確保、スラグ弾専用銃への買替え等の課題があるため、平成13年度の 猟期を目途に規制を開始する考えである。)

※参考

 環境庁は、無毒性の代替装弾(銅製のライフル弾、軟鉄製の散弾等)への切替えを 円滑に推進するため、平成11年度第2次補正予算(9千万円)により、無毒性の 代替装弾のモニター事業(実際に一般のハンター(1都道府県当たり約100人程度 )に無毒性の代替散弾等を率先して使用してもらうもの)及びパンフレットの作成等 による普及啓発事業を実施している。

添付資料

連絡先
環境庁自然保護局野生生物課鳥獣保護業務室
課長:森 康二郎(6460)
室長:上河  潔(6470)
補佐:東海林(6471)