報道発表資料
環境省は、本日、岡山県で実施予定の「高梁川水系小田川付替事業」(事業者:国土交通省中国地方整備局)に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見を国土交通大臣に提出しました。
環境大臣意見では、[1]自然環境の再生を図るため、水生生物、特に在来のタナゴ類の生息環境の保全を図ること、[2]多様な生物群集が形成されるよう、魚類等の上下流への移動確保策等を実施すること、[3]有害物質の水質監視を行うこと等を求めています。
今後、事業者は、今回の環境大臣意見を勘案した国土交通大臣からの意見を踏まえた環境影響評価書の補正及び公告縦覧を行い、その後、事業が実施されることとなります。
1.背景
環境影響評価法は、100ha以上の土地改変等を伴う放水路を新築する河川工事を対象事業としており、環境大臣は、環境影響評価書(※)について、主務大臣からの照会に対して意見を述べることができるとされている。
本件は、岡山県の高梁川水系小田川付替事業(土地変更面積:約107ha)に係る環境影響評価書について、この手続きに沿って意見を提出するものである。
今後、事業主体である国土交通省は、意見の内容を検討し、必要に応じて見直した上で評価書を確定し、公告縦覧等を行うこととなる。
- ※
- 環境影響評価書:環境影響評価の結果について記載した準備書に対する意見を踏まえて、必要に応じてその内容を修正した文書。
2.事業の概要
本事業は、高梁川水系の小田川について、柳井原貯水池を河道化することにより、高梁川と小田川の合流点を付替える事業である。本事業の実施により、柳井原貯水池は付替え河道として小田川の一部となる等事業実施区域及びその周辺の環境は大きな変化が生じることとなる。
3.環境大臣意見の概要
(1)改変・造成がなされる河川区間における環境配慮について
河川の自然環境の再生を図るため、改変・造成がなされる河川区間の河岸形状等の詳細な設計、構造の決定及び施工を行うに当たっては、水生生物の生息や河川の動植物に配慮すること。
(2)在来のタナゴ類の生息環境の保全について
本事業により在来のタナゴ類の生息に適さない環境となることが予測される区間においては、在来のタナゴ類の生息にとって良好な環境の再生を図ること。また、水位及び流速が変化する区間において、生息・生育環境の状況の監視を行い、その結果に応じて適切な環境保全措置を講じること。
(3)小田川付替え河道の水位等の予測・評価について
詳細な設計、構造等の決定及び施工の検討に当たっては、検討の実施と併せて、必要に応じて、当該区間及びその上下流の予測・評価を行い、適切な環境保全措置を講じること。
(4)小田川付替え河道の多自然川づくりについて
多自然川づくりの検討を行うに当たっては、順応的管理を通じて、小田川の在来水生生物の生息環境が確保され、多様な生物群集が形成されるよう、魚類等の上下流への移動確保や外来種対策を行うこと。
(5)小田川付替え河道における有害物質の監視について
柳井原貯水池の底質からは、鉛及び砒素が確認されていることから、小田川付替え河道の区間においても、鉛や砒素等の有害物質を対象とした水質監視を行うとともに、影響が認められる場合には、適切な環境保全措置を講じること。
参考
- ○
- 事業概要
- ・事業者
- 国土交通省中国地方整備局
- ・事業地
- 岡山県倉敷市及び総社市
- ・土地改変面積
- 約107ha
- ・事業概要
- 高梁川と小田川の合流点について、洪水時の水位低下を図るため、柳井原貯水 池を河道化することにより、合流点を現在より約4.6km下流に付替える事業であ る。
- 連絡先
- 環境省総合環境政策局環境影響審査室
室長 :瀬川 恵子 (内 6231)
室長補佐:長谷川敬洋 (内 6233)
審査官 :田中 準 (内 6248)
電話 :03-3581-3351 (代表)
03-5521-8237 (直通)