報道発表資料
運輸省において、平成12年3月22日(水)午後1時30分より、港湾審議会第171回計画部会が開催され、宮古港をはじめとする6港湾の港湾計画の改訂等並びに大阪湾圏域広域処理場整備基本計画の変更について審議がなされた。当庁は、当該審議会の委員として、環境保全の観点から意見を述べた。
1.上程された港湾計画の概要
港 湾 名 | 種 別 | 港湾管理者 | 将来取扱貨物量 (目標年次) | 主 な 計 画 内 容 |
---|---|---|---|---|
宮古港 | 改 訂 | 岩手県 | 100万トン (平成20年代前半) |
・小型船だまりの整備(2箇所) ・マリーナの整備(1箇所) ・緑地の確保(2ha) ・大規模地震対策施設の整備 |
川崎港 | 改 訂 | 川崎市 | 9,980万トン (平成20年代前半) |
・臨港道路東扇島水江町線の整備 (4車線、延長約2.4km) ・廃棄物処理施設の整備(12.5ha) ・緑地の整備(0.9ha) ・大規模地震対策施設の整備 |
名古屋港 | 改 訂 | 名古屋港 管理組合 |
15,550万トン (平成20年代前半) |
・廃棄物処理計画の削減 (西部地区100ha:いわゆる藤前干潟) ・公共ふ頭の整備 ・航路の拡張・拡幅・新設 ・緑地(20.5ha)、海浜(550m、700m)の整備 ・大規模地震対策施設の整備 |
岩国港 | 改 訂 | 山口県 | 1,860万トン (平成20年代後半) |
・公共ふ頭の整備 ・専用ふ頭の整備 ・泊地の整備 ・小型船だまりの整備 ・臨港道路の整備(2車線、延長 約2.8km) ・緑地の整備(6ha) ・大規模地震対策施設の整備 |
熊本港 | 改 訂 | 熊本県 | 390万トン (平成20年代前半) |
・公共ふ頭の整備 ・防波堤の延長 ・マリーナ計画から小型船だまりへの変更 ・緑地の整備(30ha) ・海浜(790m)の整備 ・大規模地震対策施設の整備 |
苫小牧港 | 一部変更 | 苫小牧港 管理組合 |
・緑地の位置及び面積の変更 (12ha → 10ha) |
2 大阪湾圏域広域処理場整備基本計画の変更の概要
- 大阪沖埋立処分場(面積95ha、埋立容量1,400万m3)を追加する。
- 廃棄物受入量を6,000万m3から7,400万m3に変更する
- 埋立期間を「平成元年から約17年間」から「平成元年から約21年間」に変更する。
- 工事期間を「昭和62年から約17か年」から「昭和62年から約23か年」に変更する。
3.環境庁意見
- 【宮古港】
意見なし【川崎港】
周辺地域においては、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質に係る環境基準が継続的に達成されておらず、自動車NOx 法の特定地域にも指定されている。また、道路交通騒音についても非達成の状況が継続している。係る状況を踏まえ、港湾管理者におかれては、関係機関と協力しつつ、下記の大気・騒音対策を実施されたい。
(1) | 内陸部における沿道環境負荷を低減させるため、港湾関連車両の適切な経路への誘導を行うこと。また、臨港道路東扇島水江町線の道路構造の具体化に際しては、環境影響低減の観点からも十分検討を行うこと。 |
(2) | 貨物輸送の合理化により港湾関連交通を低減するよう関係者に要請すること。 |
(3) | 船舶における使用燃料の良質化及び荷役時間の短縮を要請すること。 |
(4) | 臨港地区における立地企業等に対して低公害車の普及及び自動車騒音対策等、道路沿道環境対策に係る普及活動を推進すること。 |
【名古屋港】
(1) | 周辺地域においては、道路交通騒音に係る環境基準の超過が継続しており、また、大気質に関しても、浮遊粒子状物質に係る環境基準が達成されておらず、二酸化窒素濃度は比較的高い水準で推移している。 係る状況を踏まえ、港湾管理者におかれては、関係機関と協力しつつ、臨港鉄道の整備の推進及び貨物積載の効率化の要請等による港湾関連交通量の低減並びに港湾関連車両の適切な経路への誘導等の対策を講じられたい。 |
(2) | 自然環境や生態系などに配慮して新たに整備する海浜については、自然環境に係る調査を行い、具体的な整備内容、整備手法を検討すること。 |
【岩国港】
意見なし【熊本港】
意見なし【苫小牧港】
意見なし【大阪湾圏域広域処理場整備基本計画の変更】
(1) | 瀬戸内海の埋立抑制の観点から、引き続き廃棄物の発生量抑制、有効利用、減量化を推進することにより、広域処分場のさらなる延命化に努め、それらに対応した適切な基本計画の見直しを実施すること。 特に、陸上残土については、総合的な減量化施策が着実に推進され、安易に広域処理場に依存することとならないよう措置すること。 |
(2) | 大阪沖埋立処分場について、建設工事、環境保全措置、環境監視の具体的な検討及び実施に関しては、大阪港新島地区埋立事業との連携・調整を図り、護岸を段階的に海面上に出現させるなど慎重な工事の施工や環境監視結果に基づくレビューを実施し、必要に応じ対策を実施する等により慎重に事業を進め、環境保全に万全を期すこと。また、大阪湾内における広範な関係者と環境監視等について連携を図ること。 |
- 連絡先
- 環境庁企画調整局環境影響評価課環境影響審査室
室 長 :小林 正明(6231)
審査官 :水谷 泰史(6236)