報道発表資料

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2013年12月02日
  • 総合政策

交通政策審議会第54回港湾分科会に係る環境省意見について (お知らせ)

 環境省は、本日開催の交通政策審議会第54回港湾分科会において審議される港湾計画のうち舞鶴港港湾計画及び石垣港港湾計画の改訂に対して、環境保全の観点からの意見を提出しました。
 環境省意見では、路線変更又は形状変更される臨港道路による動植物への影響の回避、低減に努めること(舞鶴)、港湾区域に存在するサンゴ群集及び海草藻場等の保全に努めること(石垣)等について言及しています。
 なお、環境省意見は国土交通省を通じて、各港湾の港湾管理者に伝達されます。

1.港湾計画に対する意見提出について

本日開催の交通政策審議会第54回港湾分科会において港湾計画改訂(2件)及び一部変更(4件)について諮問及び審議されることとなっている。
 環境省は、このうち、舞鶴港港湾計画及び石垣港港湾計画の改訂について、環境保全の観点から、以下の意見を提出した。

【改訂】舞鶴港、石垣港 【一部変更】石狩湾新港、相馬港、木更津港、博多港

2.各港湾計画改訂の概要及び環境省意見の概要

(1)舞鶴港港湾計画改訂

[1] 計画改訂の概要

外航・内航クルーズ需要に対応するため、既設の公共ふ頭を旅客船ふ頭に転換する。
公共埠頭計画に対応して、泊地及び航路・泊地の規模を見直す。
港湾における交通の円滑化を図り、港湾と背後地域とを結ぶための、臨港道路3路線の規模・形状に係る計画を変更する。
浚渫土砂及び建設残土約20万㎥を埋立て処分するため、海面処分・活用用地5㏊を計画する。

[2] 環境省意見

本計画改訂において路線変更又は形状変更が予定されている3路線の臨港道路は、大気質、騒音及び振動について環境影響の調査、予測及び評価が行われているが、これらについては、内陸部を通過し、自然環境の残された土地の改変を伴う区間もあり、動植物への影響が懸念される。このため、各路線の事業実施に当たっては、改めて動植物への影響について検討し、必要に応じて、動植物への影響について調査、予測及び評価を行い、専門家の意見を聞いた上で環境保全措置を講じるよう努められたい。

    

(2)石垣港港湾計画改訂

[1] 計画改訂の概要

鉱産品等の外貿及び内貿貨物を取り扱うため、公共ふ頭を計画する。
外航クルーズ船の大型化等に対応するため、旅客ふ頭を計画する。
係留施設を含むふ頭の計画に対応して、航路、泊地及び航路・泊地の規模を見直す。
港内の静穏及び船舶航行の安全を図るための、外郭施設計画を変更する。
小型船だまり(新港地区)の静穏及び船舶航行の安全を図るため、防波堤を計画する。
港湾における交通の円滑化を図り、港湾と背後地域とを結ぶため、臨港道路を新規に計画する。
需要の見直しにより、小型船だまり(新川地区)を縮小する計画とする。

[2] 環境省意見

(イ)サンゴ群集及び海草藻場等の保全について

本計画改訂の対象海域は、一部に被度の高いサンゴ群集や海草藻場が分布するほかソメワケグリ等存続基盤が脆弱な海生生物が確認されており、保全すべき貴重な自然環境が存在している。このため、本計画改訂においてもサンゴ群集に配慮した防波堤位置の検討や海草藻場を分断する航路の掘削幅縮小の配慮がなされている。
 しかしながら、航路、泊地及び航路・泊地の確保のための掘削並びに新たな防波堤の設置が行われることとなれば、サンゴ群集や存続基盤が脆弱な海生生物の生息環境の改変、被度の高い海草藻場の分断による環境影響が生じることが懸念される。
 このため、今後の事業の実施に当たっては、個別事業の計画段階からサンゴ群集、海草藻場や存続基盤が脆弱な海生生物の生息・生育への影響を最小限とするよう、必要に応じて専門家の意見や助言を受けた上で、これらに配慮した慎重な検討を行い、サンゴ群集や海草藻場の移植その他の適切な環境保全措置を講じるよう努められたい。
 また、事業実施後においては、必要に応じてモニタリングを行い、サンゴ群集、海草藻場や存続基盤が脆弱な海生生物の生息・生育への影響を把握するとともに、その結果に応じて追加的な環境保全措置を検討し、実施するよう努められたい。

(ロ)臨港道路による騒音影響について

本計画改訂では、新たに臨港道路新港3号線が計画されているが、当該臨港道路に隣接する地区においては、交通量の増加による騒音が懸念される。

このため、騒音による影響を低減させるため、事業の実施に当たっては、必要に応じて関係機関と調整し、港湾関連車両や工事関連車両の運行について、できるだけ市街地を通過しない経路の選択や、市街地を通過する場合は、混雑時間帯や、早朝・夜間は避ける等、適切な環境保全措置を講じるよう努められたい。

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
代表:03-3581-3351
直通:03-5521-8237
室長 :瀬川 恵子 (内6231)
審査官:田中 準  (内6248)
担当 :笠原 文子 (内6232)