報道発表資料

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2013年10月24日
  • 自然環境

生物多様性条約第17回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA17) の結果について(お知らせ)

 生物多様性条約の実施に係る科学技術的事項について検討を行う第17回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA17)が、10月14日(月)~18日(金)に、モントリオール(カナダ)で開催されました。
 会合では、来年10月に韓国のピョンチャンにて開催予定の第12回締約国会議(COP12)に向けて、生物多様性戦略計画2011-2020の実施及び愛知目標の達成に係る科学技術的手段による円滑化等について議論され、3件の勧告が採択されました。

1.会議名称

日本語:
第17回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA17)
英 語:
The sixteenth meeting of the Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice

2.開催期間:

平成25年10月14日(月)~18日(金)

3.開催地:

モントリオール(カナダ)
【本会合の公式ウェブサイト】http://www.cbd.int/doc/?meeting=sbstta-17

4.会議の概要

 本会合では、SBSTTAの効果を向上させるための方法に関する決定X/12及びX/13に基づき、より議論が科学技術的議論に絞られるよう、勧告案が事前に準備されずにパネルディスカッションを中心に課題を抽出する等、これまでと異なる議論形式が用いられました。そして、生物多様性戦略計画2011-2020の実施及び愛知目標の達成に向けた科学技術的課題等について科学技術的観点から議論が行われた結果、合計3件の勧告が採択されました。なお、本会合には、締約国代表の他、国際機関、NGO、研究者等計約450名が参加しました。
 我が国からは、科学技術的ギャップを埋めるために実施している事業や、他国にも紹介できる先進的な事例として、生物多様性の主流化、アジア国立公園会議、SATOYAMAイニシテティブ、外来生物対策、希少種保護、環境研究総合推進費で実施している「アジアア規模での生物多様性観測・評価・予測に関する総合的研究」等の取組を紹介するとともに、勧告のポイントとなる「主要な科学技術的ニーズ」のとりまとめに地域代表として参加するなど、積極的に議論に貢献しました。

5.採択された勧告案の概要

(1) 生物多様性戦略計画2011-2020の実施に関する科学技術的ニーズ

 締約国会議に対し、今回の会議で抽出された主要な科学技術的ニーズ(社会科学の活用、データと情報、評価とアセスメント、計画と主流化、科学と政策の統合、生態系の維持、保全及び回復、経済的措置、伝統的知識、科学技術協力、異なる手法)を留意・活用するとともに、勧告の添付文書I・IIにまとめられた愛知目標1~15達成への科学技術的ニーズに関する各国の意見に留意すること、また、事務局長が主要な科学技術的ニーズへの対応策に関する報告書を作成することが勧告されました。
 また、同勧告では、締約国会議が、地球規模生物多様性観測ネットワーク(GEO-BON)の観測システムや生物多様性モニタリングへの活用を要請することや、締約国会議が事務局長に対して、技術協力を促進するためのクリアリングハウスメカニズムの活用、愛知目標の指標設定に向けた取組の促進や、第5回国別報告書等を参考にして、政策評価や愛知目標達成状況評価に関する手法の評価等を行う事を要請することが勧告されました。

(2) 新規事項

 ネオニコチノイド系殺虫剤の生物多様性への影響については、条約の新規事項としてのクライテリアには合致するものの、農業と生物多様性に関する作業計画や受粉に関する国際イニシアティブで検討できる課題であることから、条約の新規事項としては考慮しないよう締約国会議に要請する勧告が採択されました。

(3) IPBESに対する条約の貢献

 生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)の作業計画案を歓迎するとともに、事務局長に対し、IPBES作業計画の策定や実施への更なるIPBESとの協力や、今回議論された生物多様性戦略計画2011-2020の実施に関する科学技術的ニーズに関する情報のIPBESへの伝達などを要請する勧告が採択されました。また、同勧告では、締約国会議に対して、IPBESが今後実施する生物多様性及び生態系サービスに関する地球規模評価との重複を避けること等を目的として、SBSTTAで地球規模生物多様性概況(GBO)の将来的なあり方を含む事項について評価することが要請されました。

6.サイドイベント

 下記2件のサイドイベントを主催し、生物多様性国家戦略2012-2020等を紹介した。
 「社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープのレジリエンス指標」
 「生物多様性国家戦略策定に関するブラジル、日本、フィンランド、グルジアの経験」
 また、条約事務局が主催するサイドイベント「生態学的・生物多様性保全上重要な海域(EBSA)特定への科学技術情報の活用」にパネリストとして参加し、重要海域抽出の取組を紹介した。

7.次回会合の予定

 第18回科学技術助言補助機関会合は、2014年6月23日(月)~27日(金)にカナダ・モントリオールで開催される予定。

連絡先
環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性地球戦略企画室
直通   :03-5521-8275
代表   :03-3581-3351
室長   :奥田 直久(内 6480)
企画官  :柴田 泰邦(内 6488)
室長補佐:中山 直樹(内 6485)