報道発表資料

この記事を印刷
2013年10月28日
  • 総合政策

竹原火力発電所新1号機設備更新計画に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)

 環境省は、10月28日、広島県竹原市で実施予定の「竹原火力発電所新1号機設備更新計画」(電源開発株式会社)に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。
 本事業は、運転開始から40年程度が経過した石炭火力発電所2基を、同程度の発電出力を持つ石炭火力発電設備1基に更新(リプレース)するものである。石炭火力発電はLNG発電等と比べれば環境負荷は高いが、本事業では最も熱効率が良い発電技術を利用し、最適な環境保全を講じることとしていることから、環境負荷は低減することが見込まれる。
 これを踏まえて、環境大臣意見では、[1]大気環境保全、騒音振動対策等の環境保全措置を適切に講じること、[2]温室効果ガスについて、排出削減を一層図ること、電力業界全体での排出削減枠組が構築された後は発電段階での低炭素化が確保されるよう確実に二酸化炭素排出削減に取り組むこと及びCCSの導入に向けて所用の検討を行うこと、[3]今後PM2.5についても必要な措置を検討及び実施すること等を求めている。

1.背景

 環境影響評価法及び電気事業法は、出力11.25万kw以上の火力発電所の設置又は変更の工事を対象事業としており、環境大臣は、事業者から提出された環境影響評価準備書(※)について、経済産業大臣からの照会に対して意見を経済産業大臣に言うことができるとされている。
 本件は、電源開発株式会社の竹原火力発電所新1号機設備更新計画(出力60万kW)に係る環境影響評価準備書について、この手続きに沿って意見を提出するものである。
 今後、事業者は、環境大臣及び関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、法に基づく環境影響評価書の作成等の手続が求められる。

環境影響評価準備書:環境影響評価の結果について環境の保全の見地からの意見を聴くための準備として、調査、予測及び評価、環境保全対策の検討を実施した結果等を示し、環境の保全に関する事業者自らの考え方を取りまとめた文書。

2.事業の概要

 本事業は、広島県竹原市に設置されている竹原火力発電所において、運転開始から40年程度が経過した石炭を燃料とする既設1号機(25万kW)及び既設2号機(35万kW)を、合計出力が同規模の石炭火力発電設備1基(60万kW)を設置した後に、既設1・2号機を撤去(更新(リプレース))するものである。

 石炭火力発電はLNG発電等と比較すると、周辺環境及び地球環境への負荷は高いものであるが、本発電所で用いられる発電技術は石炭火力発電としては最も熱効率の良いものの一つ(USC:超々臨界圧発電方式)であり、また、最適な環境保全対策を講じることとしているので、施設更新に伴い、環境負荷は低減することが見込まれている。

3.環境大臣意見の概要

(1) 総論

 排ガス処理設備の適切な運転管理及び点検、工事中及び稼働中の騒音及び振動対策、工事中及び稼働時に発生する排水の管理、海水浴場等の人と自然とのふれあいの活動の場への配慮並びに石炭灰等の廃棄物の適正処理等の環境保全措置を適切に講じること。

(2) 温室効果ガスへの対策

[1]
本設備の二酸化炭素排出原単位が石炭汽力としては最も低い水準である間、本設備の利用率をできる限り高い水準に保つことにより、事業者として二酸化炭素の排出削減を一層図ること。
[2]
「東京電力の火力電源入札に関する関係局長級会議取りまとめ」(平成25年4月25日経済産業省・環境省)(※)を満たすこと。また、電力業界全体の実効性のある温室効果ガスの排出削減の枠組が構築された後は、小売段階が調達する電力を通じて発電段階での低炭素化が確保されるよう、確実に二酸化炭素排出削減に取り組むこと。
石炭火力の新増設について、電力の安定供給の確保、燃料コストの削減、環境保全に取り組むための対応について経済産業省及び環境省で取りまとめたもの。
[3]
本設備は2050年においても稼働していることが想定されることから、将来の二酸化炭素回収・貯留(Carbon Dioxide Capture and Storage; CCS)の導入に向けて、設置までのスケジュール等を念頭におき、国の検討結果を踏まえて、本発電所に二酸化炭素分離回収設備を設置するための所要の検討を行い、必要な措置を講じること。また、二酸化炭素分離回収設備の実用化に向けた技術開発を含め、今後の革新的な二酸化炭素排出削減対策についても継続的に検討を進めること。

(3)環境保全対策

 今後、PM2.5の拡散状況や寄与濃度を予測できる精度の高い手法が確立された際には、必要な調査及び影響予測を行い、本発電所からの影響が大きい場合には、大気保全に関する必要な措置を検討し、実施すること。

(4)その他

 これらの環境保全措置を講じた上で、本事業による環境保全上の優位性に鑑み、本事業を着実に進め、できる限り早期の運転開始を目指すこと。

4.その他

 本件は、火力発電所を更新(リプレース)するものであることから、「火力発電所の環境影響評価について審査期間の短縮を発電所設置の際の環境アセスメントの迅速化等に関する連絡会議」(平成24年11月27日、環境省・経済産業省)に基づき、審査期間の短縮に取り組むこととした案件であり、従前270日程度必要であった審査期間を約90日程度短縮し、180日程度で審査を行う見込みである。

[参考]

事業概要
・名称
竹原火力発電所新1号機設備更新計画
・事業者
電源開発株式会社
・計画位置
広島県竹原市忠海長浜二丁目1番1号他(電源開発竹原火力発電所構内)
・燃料
石炭
・発電方式
汽力
・出力
130万kW(現状:130万kW)
・CO2排出原単位
0.785kg-CO2/kWh(現状:0.829kg-CO2/kWh)
環境影響評価手続(環境影響評価法及び電気事業法に基づく手続)
【方法書の手続】
 
・縦覧
平成22年12月22日~平成23年1月27日(住民意見113件)
・広島県知事意見提出
平成23年4月27日
・経済産業大臣勧告
平成23年6月15日
【準備書の手続】
 
・縦覧
平成25年5月15日~平成25年6月14日(住民意見134件)
・広島県知事意見提出
平成25年10月25日
・環境大臣意見提出
平成25年10月28日

添付資料

連絡先
環境省総合環境政策局環境影響審査室
(代表:03-3581-3351)
(直通:03-5521-8237)
室長   :瀬川 恵子 (内6231)
室長補佐:長谷川敬洋(内6233)
審査官  :柏谷 和久 (内6253)

Adobe Readerのダウンロード

PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Readerが必要です。Adobe Reader(無償)をダウンロードしてご利用ください。