報道発表資料

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2000年02月09日

「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」に係る対象化学物質、製品の要件及びPRTR対象事業者に関する中央環境審議会答申について

本日(2月9日)開催された中央環境審議会環境保健部会(化学品審議会安全対策部会との合同会合)において、昨年9月10日付けで内閣総理大臣が諮問した「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律に基づく第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質の指定について」等に関し、国民から寄せられたご意見を踏まえた審議が行われた。その結果を踏まえて、同法に係る対象化学物質に関する報告並びに製品の要件及びPRTR対象事業者に関する報告が取りまとめられ、これらを受けて、本日、中央環境審議会会長から内閣総理大臣に対する答申及び環境庁長官に対する答申が行われた。
 環境庁では、答申を踏まえ、関係省庁と協力して、対象化学物質、製品の要件及びPRTR対象事業者を定める政令を、本年度内を目途に制定したいと考えている。
 なお、昨年11月19日から12月18日まで実施したパブリックコメント手続きにおいて寄せられた御意見及びそれに対する考え方・対応についての審議結果も同部会でとりまとめられた。

1. 「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」に係る対象化学物質についての答申(平成11年9月10日付け内閣総理大臣諮問に対する答申)の要点

 法第2条第2項に規定している「第一種指定化学物質」については、別表1に掲げる化学物質(354物質;物質群を含む、以下同じ。)とし、法第2条第3項に規定している「第二種指定化学物質」については、別表2に掲げる化学物質(81物質)とすることが適当である。

2. 「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」に係る製品の要件及びPRTR対象事業者についての答申(平成10年7月15日付け環境庁長官諮問「今後の化学物質による環境リスク対策の在り方について」に対する第二次答申)の要点

2-1 製品の要件について
 法第2条第5項第1号及び法第2条第6項に規定している「製品であって政令で定める要件に該当するもの」とは、以下のとおりとすることが適当である。
[1] 気体又は液体状の混合物
[2] 固体状の混合物のうち粉末等の固有の形状を有しないもの
[3] 固有の形状を有する混合物のうち取扱いの過程で指定化学物質を溶融、蒸発又は溶解する可能性のあるもの
[4] 石綿を含有する製品であって取扱いの過程で精製や切断等の加工が行われるもの
のいずれかに該当するものであって指定化学物質を1質量%以上(ただし、発がん性の物質であることが知られている化学物質(発がん性クラス1の指定化学物質)については0.1質量%以上)含有するもの。ただし、上記[1]~[4]に該当する製品のうち以下の製品は除く。
主として一般消費者の生活の用に供される製品のうち指定化学物質が排出されないよう容器等に密閉包装された状態で流通し、販売・提供されるもの
密閉されたままの状態で使用される形態の製品
譲渡、提供され再生される製品(再生資源)

2-2 PRTR対象事業者について
 法第2条第5項に規定している「政令で定める業種に属する事業を営むものであって当該事業者による第一種指定化学物質の取扱量等を勘案して政令で定める要件に該当するもの」とは、以下の(1)から(3)のすべての要件に該当する事業者とすることが適当である。
(1) 対象業種:別紙のとおり
(2) 従業員数:常用雇用者数21人以上の事業者
(3) 取扱量:いずれかの第一種指定化学物質の年間取扱量が1t以上である事業所を有する事業者(当初2年間は、いずれかの第一種指定化学物質の年間取扱量が5t以上である事業所を有する事業者)
ただし、特別の要件として、
[1] 人に対して発がん性がある物質(対象物質選定において発がん性のクラスが1の物質)の年間取扱量0.5t以上の事業所を有する事業者
[2] 下水道業又は廃棄物処理業を営む者にあっては、下水道終末処理施設又は廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく許可又は届出の対象となる施設を設置する事業者
[3] 天然物を原料とする場合は、含有化学物質の環境への排出に関し、関係法令に基づく届出、認可等の対象となる施設を設置する事業者
[4] 法令に基づきダイオキシン類の排出濃度の実測義務が課せられている事業者
も対象となる。

3. 今後の予定
 環境庁では、答申を踏まえ、関係省庁と協力して、対象化学物質、製品の要件及びPRTR対象事業者を定める政令を、本年度内を目途に制定したいと考えている。


<参考1> パブリックコメントの概要

○受付意見件数 :合計164通 (企業:96通、事業者団体:28通、労働団体:2通、NGO:15通、個人:23通)
○受付意見の概要(延べ件数):合計470件
・対象化学物質について:224件  
・PRTR対象事業者について:152件
・製品の要件について:51件
・その他:43件


<参考2>

中央環境審議会環境保健部会委員名簿
平成12年2月9日現在

部 会 長   井形 昭弘   (財)愛知県健康づくり振興事業団理事長
部会長代理   安原  正   さくら総合研究所特別顧問

 委 員    浅野 直人   福岡大学法学部教授
  〃     江頭 基子   全国小中学校環境教育研究会名誉会長
  〃     奥田  碩   (社)日本自動車工業会副会長
  〃     角田 禮子   主婦連合会参与
  〃     北野  大   淑徳大学国際コミュニケーション学部教授
  〃     小早川光郎   東京大学大学院法学政治学研究科教授
  〃     近藤 雅臣   大阪大学名誉教授
  〃     櫻井 治彦   労働省産業医学総合研究所所長
  〃     佐和 隆光   京都大学経済研究所教授
  〃     清水  誠   日本大学生物資源科学部教授
  〃     鈴木 継美   東京大学名誉教授
  〃     竹宇治聰子   日本マスターズ水泳協会理事
  〃     竹内 輝博   (社)日本医師会常任理事
  〃     野中 邦子   全国人権擁護委員連合会理事
  〃     宮本  一   関西電力(株)取締役副社長
  〃     森嶌 昭夫   上智大学法学部教授

特別委員    宇野 則義   (財)日本自動車輸送技術協会会長
  〃     大澤  進   社会福祉・医療事業団理事
  〃     香川  順   東京女子医科大学教授
  〃     木原  誠   (社)日本鉄鋼連盟環境政策委員会委員長
  〃     西山 紀彦   (社)日本化学工業協会総合対策委員会技術環境部会長
  〃     林  裕造   北里大学薬学部客員教授
  〃     眞柄  泰基   北海道大学大学院工学研究科文部教官教授
  〃     横山 長之   (財)日本気象協会首都圏本部参与

(五十音順、敬称略)


<参考3>

審 議 経 過

平成10年7月15日 諮問「今後の化学物質による環境リスク対策の在り方について」
(平成10年11月30日   我が国におけるPRTR制度の導入についての中間答申)
平成11年9月10日 諮問「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律に基づく第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質の指定について」
平成11年10月8日 第1回PRTR法対象物質専門委員会
(生活環境審議会環境部会PRTR法対象化学物質専門委員会及び化学品審議会安全対策部会化学物質管理促進法対象物質検討分科会との合同会合)
平成11年11月4日 第2回PRTR法対象物質専門委員会
(生活環境審議会環境部会PRTR法対象化学物質専門委員会及び化学品審議会安全対策部会化学物質管理促進法対象物質検討分科会との合同会合)
平成11年11月16日 第20回環境保健部会
(化学品審議会安全対策部会との合同会合)
平成11年11月19日
          ~12月18日
パブリック・コメント手続(国民からの意見の募集)
平成12年2月1日 第3回PRTR法対象物質専門委員会
(生活環境審議会環境部会PRTR法対象化学物質専門委員会及び化学品審議会安全対策部会化学物質管理促進法対象物質検討分科会との合同会合)
・専門委員会報告を取りまとめ
平成12年2月9日 第21回環境保健部会
(化学品審議会安全対策部会との合同会合)
・ 答申「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律に基づく第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質の指定について」
・ 答申「今後の化学物質による環境リスク対策の在り方について(第二次答申)」

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局環境保健部環境安全課
課  長  : 上田 博三(内線 6350)
課長補佐  : 早水 輝好(内線 6353)
専門官   : 長坂 雄一(内線 6358)

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