報道発表資料

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2000年02月15日

森林に関する政府間フォーラム(IFF)第4回会合の結果について

 1月31日から2月11日まで米国(ニューヨーク)で「森林に関する政府間フォーラム(IFF)」の第4回会合(最終会合)が開催された。
 今回の会合では、森林問題に関する「国際的な取決め・メカニズム」等について検討が行われ、国連持続可能な開発委員会(CSD)の第8回会合に提出する報告書が とりまとめられた。
 報告書には、[1]国連に新たに「国連森林フォーラム(UNFF)」を設立して関係機関、各国等の取組の促進・調整を行うこと、[2]各国等の取組の進捗状況の 評価に基づき、5年以内に森林に関する法的拘束力を有する文書(条約等)の作成について検討すること等の提案が盛り込まれた。

1.参加国等

 約90のメンバー国及びオブザーバー国、ITTO、FAO等関係国際機関、約20のNGO等の参加を得て、1月31日(月)から2月11日(金)まで米国 (ニューヨーク)で開催された。我が国からは、外務省、環境庁、林野庁が参加した。

2.検討項目

 IFFでは、第1回会合で決定された以下の検討項目について検討を行った。

I.a IPF行動提案(参考を参照。)の実施促進方策
I.b 持続可能な森林経営の進捗状況のモニター
II.a 新たな国際基金の創設、その他の資金調達方法
II.b 貿易と持続可能な森林経営の調和方策
II.c 持続可能な森林経営のための環境保全上適正な技術移転の方策
II.d その他のIPF検討項目で更なる検討が必要な事項の検討
II.e 国際機関、森林関連諸条約の役割、活動等の分析
III. 国際的な取決め及びメカニズムの検討

3.検討結果

 今年の4月から5月にかけて開催される第8回の国連持続可能な開発委員会(CSD)に提出する報告書がとりまとめられた。

 報告書では、検討項目のI及びIIについては、「結論」及び各国、関係機関等に対する「行動の提案」が、検討項目IIIについては「森林に関する国際的な取決め」 がとりまとめられた。

 特に、「森林に関する国際的な取り決め」では、国連に新たに「国連森林フォーラム(UNFF)」を設立して関係機関、各国等の取組の促進・調整を行うこと、各国 等の取組の進捗状況の評価に基づき、5年以内に森林に関する法的拘束力を有する文書(条約等)の作成について検討すること等の提案が盛り込まれた。

4.検討の概要

(1)森林に関する国際的な取り決め及びメカニズム(検討項目III)

 今回の会合では、森林に関する将来の国際的な取決め・メカニズムの内容、機能等に関して議論が行われた。

 カナダ、ロシア、スイス、マレイシア等の森林条約作成推進派は、既存の様々な関連条約、取決め等の間の調整を行い、新たな資金を確保し得るものは、法的拘束力 をもった条約のみであると主張し、条約作成のための交渉委員会(INC)の設立を求めた。

 一方、米国、ブラジル、ニュージーランド、コロンビア等は、すでに国際的に合意された森林原則声明、アジェンダ21、IPF行動提案等の実施を促進することが 最大の課題であると主張し、INCの設立に強く反対した。

 また、米国、ブラジル等は、森林問題を包括的に扱う国際的な枠組として国連の下に新たな組織を設立することを提案し、それを受けて「国連森林フォーラム(UNFF)」の設立が検討されたが、条約作成推進派と反対派の間の調整が難航 した。

 我が国は、森林の保全と持続可能な経営を世界的に達成するためには、今後、何らかの枠組みが必要であるとの認識の下、コンセンサスづくりに前向きに参加した。

 最終的には、国連及び経済社会理事会に対し、以下のような事項を提案する報告書がとりまとめられた。

[1]UNFFを設立すること。
[2]UNFFで行われる各国、関係機関等の取組の進捗状況の評価に基づき、5年以内に、法的拘束力を有する文書を作成するための権限の要素を勧告するために検討を行うこと。

(2)その他の検討項目

 検討項目III以外の検討項目については、今回の会合では、これまでに合意が得られなかった資金問題(検討項目II.a)、貿易問題(検討項目II.b)、技術移転の 問題(検討項目II.c)等を中心に議論を行った。

 途上国は、持続可能な森林経営のためには、資金と技術移転が不可欠であるとし、「グローバル・フォレスト・ファンド」の設立や技術移転のための新たなメカニズム の設立等を要求し、これに反対する先進国との間で調整が難航した。報告書では、一部の記述が合意されず、その旨が明記されて採択された。

 貿易問題についても、貿易自由化との関係で議論が対立し、一部の記述が合意されないまま、その旨を明記して採択された。

 その他の検討項目については、第3回会合までの検討結果をもとに報告書がとりまとめられた。

5.今後の予定

 今年4月から5月にかけて第8回CSDがニューヨークで開催され、今回とりまと められた報告書をもとに、UNFFの設立等が決められる見通し。

(参考)森林問題に関する国際的な検討の経緯について

  • いわゆる「森林条約」については、「気候変動枠組条約」、「生物多様性条約」等と 同様に、1992年の地球サミットの準備段階からその必要性が議論されてきたが、国際的に複雑な利害関係があること等から合意に至らず、地球サミットでは「森林 条約」に代わるものとして法的拘束力のない「森林原則声明」が採択された。
  • その後、1995年4月に開催された第3回国連持続可能な開発委員会(CSD)で は、森林問題に関する各種の課題について広範に検討を行うため、CSDの下に「森林に関する政府間パネル(IPF)」を設置することを決定した。
  • IPFは、95年9月の第1回会合以降計4回の会合を開催し、97年2月の第4回 会合で、国家森林プログラムの策定、世界的な森林資源の評価等に関する約150の「行動提案」をとりまとめたが、森林条約の作成の必要性については、国際的な コンセンサスが得られなかった。
  • IPFの報告書を受け、97年6月の国連環境開発特別総会(UNGASS)では、「行動提案」の実施促進、資金問題や技術移転の問題等の検討、森林条約などの 国際的な取り決め等の検討・コンセンサスづくり等を行い、99年及び2000年のCSD会合にその結果を報告することを目的として、CSDの下に新たに「森林に 関する政府間フォーラム(IFF)」を設置することを決定した。
  • IFFは、97年10月の第1回会合(ニューヨーク)、98年8月~9月の第2回会合(ジュネーブ)、99年5月の第3回会合(ジュネーブ)で検討を行ってきた。
連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課
課 長  竹本 和彦 (内線6740)
  室 長  谷津龍太郎 (内線6283)
  補 佐  藤田 賢二 (内線6286)
  担 当  三宅 雄士 (内線6760)